『熱力学』 =現代的視点から
『熱力学』 =現代的視点から
田崎晴明著 培風館
田崎さんは学習院大学の物理の先生で、「日々の雑感的なもの」というコラムを書いている。 ファンメールを送った縁で何回かやりとりをしたので、著書も読んでみようとは思っていて、今日ようやく紀伊国屋の本店で見つけたのだけど、いくらなんでも難しすぎる。いくら田崎さんでも、いくら「現代的視点」でもなぁ、と思って棚に戻す前に「あとがき」読んだら、やっぱりちゃんと読みたくなって、というよりは「お近づきになりたくて」買ってしまった。「まじめに熱力知りたいな」という気持ちも35%くらいはあるけどね。そうそう、もうひとつの理由は「動かせる把っ手のついたブラックボックス」という概念を高橋秀俊から借用した、という話があったから。立読みでは見つけられなかったが今見つけた。27ペに、こんな表記がある。
力学的な世界である外界から見た熱力学的な系は、いってみれば「動かせる把っ手(とって)のついたブラックボックス」のようなものだ(*)。把っ手を動かすことは、すなわち、示量変数を制御することである。われわれは外界の側に立って、これらの把っ手を---ときにはがちゃがちゃと激しく、時には慎重にゆっくりと---動かす。それによって、われわれは熱力学的な系をある程度コントロールできるのであり、また、その操作の際の「手応え」を通して熱力学的な系の「状態」を知るのである。ブラックボックス、つまり、熱力学的な系の内部でおきていることを覗いたり、想像したりは、あえてしない。あくまで、「把っ手」への操作とその「手応え」だけをもとにして熱力学的な系を理解していこうというのが、基本姿勢である。そして、脚注には、こう書いてある。
筆者は、このような表現を(そして、おそらくは、視点をも)高橋秀俊『物理学講義:物理学汎論』(丸善)から学んだ。
数式だらけの本文を見ると、およそ読める気はしないのだけど、目次で「侵透圧」なんていうのを見ると、「このくらいはわかるかな」と思ってページをめくってしまう。(もちろんわからなかった)
ともあれ、死ぬまでの間にはもう少し読むことはあると思う。
The comments to this entry are closed.
Comments