区民税(地方税)はどこでも同じ?
「世田谷区は区民税が高いから、あそこには引っ越さない」とか、「○○区は、企業が多くて裕福だから、区民税が安い」とかいう話があります。「あります」って言っちゃっていいのかな、実際は〈そういうことはない〉のです。
どこの区も市も同じなのだそうです。(わずかな例外については、あとで書きます)
地方税は、各行政で独自に税額を決めてもいいことになっています。しかしながら、現実にはそれを行使しているところは存在せず、全国どこの市町村で同じ税額になっています。
それなのに何故「住むところによって違う」という噂が広まっているのでしょうか。こんなことを専門に研究している人はいないでしょうが、ある人は「給料が変わったために税額が変わっただけ」なのに、それを地域のためだと思ったのではないかと書いていました。
ほかに考えられるのは、「豊かな区は、税金が安い」という話が、いかにももっともらしく聞こえるからでしょう。実際、お金のある区では、立派な施設ができたり、中学校の修学旅行の費用が安かったり、などという「地域間隔差」があるには違いありません。それとごっちゃになってしまうのかもしれませんが、「地方税が地域によって異なる」というのは、「神話」だと言っていいでしょう。
細かいことを言えば、「市町村税の均等割分」というのが、人口50万人以上、3000円、5万人以上、2500円、それ未満2000円、となっているので最大で1000円の差はでます。東京でいえば、人口80万人の世田谷区を筆頭に「50万人以上」の区は7つ。「5万人未満」の区は、千代田区だけですので、世田谷区と千代田区とを比べると1000円違います。「1000円は大きい」と言われればそれまでですが、これは月ではなく「年」あたりですから、月額にして83円、これをもって「高くなったぁ」などという人はいないでしょう。
税金への興味は、ニセ科学やオカルトとは無関係なのだけれど、「いい加減な情報が伝わって、信じられてしまう」という現象としては、よく似ているので、またまた面白くなってきました。
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