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2004.06.25

『コーヒーブレイクに地球科学を』 友田好文著

『コーヒーブレイクに地球科学を』 友田好文著 海猫屋 定価:本体2300円(税別)←アレッ?

同好の仲間である海猫屋さんの初出版物、ということで読みはじめたところだけれども、いろいろと面白い。

全体テーマである「地球科学」(地球「化」学じゃないんだな、と思って検索したら、「科学」の方がヒットは多かった。「地球化学会」はあっても「地球科学会」はない)が良いのだけれども、何といってもこの本の特徴は「文筆家の文章」を大坦に転載しているところだろう。科学者もたくさんでてはくるが、夏目漱石や三島由紀夫もでてくる。あとがきによれば、「パリに在住の作家、辻仁成氏から転載許可の通知が届き、転載許可の事務はすべて完了した」ということだそうで、さぞかし大変なことだったのだろう。総合索引はついていないが、「人名索引」がついているところが、特徴を物語っている。人名の中に「オポチュニティー」というのがあったので、スワ誤植か、と読んでみたら、〈火星に降り立ったロボットの「ひとり」〉のことであった。笑わせてくれます。

本の作りには、海猫屋さんらしい(といわれてもふつうの人にはわからないだろうけど)ところが随所に見られる。
転載、引用が多いために、ぼくのようなそそっかしい読者は、いま誰がしゃべっているのかわからなくなりそうなのだけど、インデントと傍線でわかりやすい。長い転載や引用が多いのは、仮説社の本の特徴でもあるのだけど、この本に〈文筆家の文章を転載する〉という発想は、著者の提案なのか、編集者とアイディアなのか興味のあるところ。 奥付のあとには「海猫屋エンドロール」として世話になった人たちの名前が書かれていて、さらには用紙は刷色の記号があった。パソコンソフトだったら、About...のどこかをクリックすると出てくるのだろうか。

一般の流通にはのっていないようなので、この本を買うには海猫屋に注文するか、仮説社に行くかすれば入手できます。

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Comments

ご紹介いただきありがとうございます。
著者の友田好文さんは,高橋秀俊さんの講義を受けたことがあるとおっしゃっていました。
「PC-1」の話もほんのちょっとでてきます。

最後のページの「エンドロール」は,本も〈映画の最後のように,かかわった人などをできるだけ載せたい〉という方針で設けました。(「エンドロール」という英語はないようですが……)

Posted by: uminekoko | 2004.06.26 02:09 AM

いま(04-06-26 14:08)Googleで「コーヒーブレイクに地球科学を」を検索したら、まだ海猫屋さんのところしか出てきませんでした。少し前に書いた「ブラウン運動と非平衡統計力学」は、書いた翌日にトップに躍りでて驚いたのですが。(今は4位)

PC-1のところ、今発見しました。(80ペ)




と書いてあってビックリしました。初めてじゃないかな、漢数字で書かれたのは:-)

坪井忠二さんのことは、よく知らないくせに「ツボチューさん」というニックネーム(そのまんまですが)だけはよく聞きました。
平田森三さんは、「平頭銛(もり)」という「捕鯨用の先のたいらなもり)を発明したそうで、「平頭もり」と「平田森」が似ていて面白いと思った記憶があります。

平田森三『http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150502870/qid%3D1073399172/249-5140013-2221123">キリンのまだら』というエッセイ集、面白そうですね。

Posted by: のぶ | 2004.06.26 02:22 PM

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