はじまりは原子論
チンダルが〈筋金入りの原子論者〉と知って、今更ながらに『原子論の歴史』を読み終えた。実は、後半はまだほとんど読んでいなかったのである。原子論の「歴史」というくらいだから、科学の技術的なことよりも歴史の話が多いのは当然なのだが、正直なところその部分は少々読みにくかった。が、かつての原子論者たちが(キリスト教相手に)いかに苦労してきたか、が少しわかりはじめると、がぜん興味が湧いてくる。理科事典の「原子論」の項も読んでみると、原子論者というのはまさに今でいう"skeptic"なのだと感じる。
マックスウェル(James Clerk Maxwell)が1873の"Nature"誌に書いた"Molecules"という論文をNさんに紹介されて読んでいる。マックスウェルといえば「ファラデーの理論を数式化した人」というイメージと「マックスウェルの(悪)魔」しか知らなかったが、この論文は原子論全体を啓蒙的に書いている。 ちなみに"molecule"という単語の意味が今とは微妙に異なっていて、「moleculeはatomとは限らないが、atomは必ずmoleculeである .moleculeは、より一般的な言葉である」としている。が、考えてみたら、HeやArのような単原子分子は「原子が分子である」といえないこともないな。
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