『On Radiation』John Tyndall
チンダル先生が1865年5月16にケンブリッジ大学の人たちを相手に「放射」に関して講演したものをまとめた本。
何度もここで紹介してきた『Heat (considered as) a Mode of Motion」の中に放射熱(radiation heat)のことが、詳しく書かれていることを知って、さらには『On Radiation』(放射について)という、そのものズバリを本があるとわかったのでひと月ほど前にBook Finder経由で注文したものが、つい先日届いた。本文が62ページの小冊子。$29.95+送料$7.49は高いようではあるが、江戸時代末期に書かれた原本だと考えると骨董的な価値もあるのだろう。12/27に注文して届いたのが1/24だったかな、船便だろうからまあまあ。
さて、肝心の中身は・・・の前に、まず、この本、あまりに古くてボロボロと表紙やページが外れるので、最初にしたことはコピー。60ページほどなのであまり時間はとられずにすんだ。続いて製本。「製本屋さん」という「手動製本機」を使う。最後に、原本の修復。どうせ読むのはコピーなんだから、原形を留めておいた方がいいかなとは思いつつも、骨董品じゃあないからと割り切って、不細工に修復。
内容は、まだ数ページ読んだところながら期待どおり。プラチナ線に電気を流して熱していくと、まず暖かくなって、赤くなり、オレンジになり、ついには白くなる。そこからの光をプリズムで分けて、などという話から入る。「人間がものを見るためには視神経に何かがぶつからなければならないが」というようなことも。
ここでは、光や熱の波は「エーテル」を媒質として伝わっていることになっている。「ああ、まだそんな時代だったのか」と思う一方で、「ぼくが知りたいようなことは、エーテルで説明がついてしまうのかも」とも。たまたま並行して読んでいる『アインシュタイン 16歳の夢』(戸田盛和著 岩波ジュニア新書)では、エーテル説が打ち破られるところなので、そのちょっと前の時代の人たちがどう考えていたのかを考えると面白い。
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