空気はホントに乾燥しているのか?
メーリングリストで「ストーブで空気がカラカラに乾いた」という話を読んで、ふと「『乾く』ということは、その水分はどこへ行ったのだろう?」と疑問に思いました。
「湿度」は、
[空気中の水蒸気圧]
──────────────
[(その温度での)飽和水蒸気圧]
で表わされます。温度が上がると、分母(飽和水蒸気圧)が大きくなるので、空気中の水分(水蒸気圧)が変わらなくても湿度は〈相対的に〉下がります。(だから「相対湿度」か)
というわけで「ストーブをつけると湿度が下がる」というのは納得しましたが、次に、なぜ「体やモノが乾く」か・・・
1.温度が上がると[飽和水蒸気圧]が上がる
2.すなわち、〈空気中に存在できる水分の量〉が増える
3.体やモノの水分は空気中に出ていきやすくなる
4.だから〈体やモノ〉が乾燥する
なるほど「モノが乾く」のはわかったけど、はたしてこれを「空気が乾いている」といっていいのだろうか?
だって、ストーブを付ける前と後とでは部屋の空気中の「水分の量」は変わっていないではありませんか。乾いたのは、あくまでモノや人(の喉)であって、空気はちっとも乾いてないのではないか?
冬に外気が〈乾燥する〉というのは、夏の湿度の高い時と比べると、相対湿度が低いだけでなく、絶対湿度(空気中の水分の量)も小さいのですが、「ストーブによる空気の乾燥」はちょっと違うのではないだろうか?
なんていうのは、言いがかりであって、われわれにとっては「絶対湿度」よりも、「相対湿度」の方が、直感的であり、また役に立つからこそ、湿度といえば「相対湿度」のことを言うのですね。空気中の水分の絶対量が少なかったとしても、気温か低くて湿度が低ければ、結局洗濯物は乾かないのですから。
洗濯物自身の「乾き具合」に関しては、「水分があるかどうか」すなわち「絶対湿度」で決まるけれども、空気が「乾いているかどうか」は、あくまでも相対湿度が問題である、ということで納得。
The comments to this entry are closed.
Comments
仕事柄、ガラスの結露は重要な問題です。
設計の若手の人間を集めて、基礎教育をやりますが、
相対湿度と絶対湿度の違いや意味を、
きちんと把握している人が少なすぎます。
で、社団法人日本サッシ協会http://www.jsma.or.jp/では、
窓の結露を防止するために、
「室内で洗濯物を干さないように」
と言っています。
Posted by: みゃお | 2005.01.25 12:15 PM
わが家では住宅事情もあって、「室内干し」やってます除湿機つけてるからよく乾きます。結露がひどいのは居間で、ガラスに断熱材(といっても、エアーキャップみたいなもんですが)貼ったりしましたが、あまり効果なかったなぁ。「放射熱日記」で得た知識で、ガラスの外側にアルミ箔貼っちゃおうか。近所迷惑だろうな。
結露を考える時は相対湿度よりも絶対湿度が問題になりそうですね。部屋を暖かくするだけならいいんだけど、それで人やモノから湿気がでてくると空気中の水分の絶対量が多くなって結露しちゃうんでしょうね。
ああ、「空気が乾燥するから」といって、ストーブにヤカンをのせたり、加湿したりすると、どんどん結露の元が増えていくわけだ。
Posted by: のぶ | 2005.01.25 01:16 PM
湿気に関しての無駄話を一つ。
現在私の居住しているつくば市、とりわけ学研都市の辺りは非常に湿度が高いのです。これは地下水がかなり浅いところを流れていることに起因しているようです。特に夏場の湿気はヒドく、1mも穴を掘れば地下水が湧いてくるそうですし、夏の朝でも濃霧注意報が出たりするし、あちこちカビだらけになるし、一月ほど家を空けていたら家の中にキノコが生えてたなんて話も聞くほどです。
そういえば、こちらに越してきた2年前の「冬」は特に湿気の多い年で、ちょっと遅く帰宅する際には道路(地面)から霧がモクモクと湧き出してきて非常に恐い思いをしました。特にヒドかったことは、冬場1シーズン押入に入れてあった客用布団がカビだらけになってしまったのです。(T_T)冬場にカビるかぁ・・・
母が行き付けの美容院でその話をすると、みんなに「ダメよ、押入にお布団入れちゃ」と言われたそうです。ほな、ドコに布団しまっとくねん?!
Posted by: 温泉カワセミ | 2005.01.25 11:54 PM
結露ネタ二つ。
NHKかどこかの自然ドキュメンタリーでヒマラヤやアンデスの乾燥地帯の植物を見ました。どちらも毛むくじゃらが多い。
乾燥地帯は昼夜の温度差が大きい。従って夜間は相対湿度が上がるので、この毛に結露させて水分を補給しているのです。たくましい奴らだと感心。平面に比べて毛の方が結露しやすいのどうしてだろうか?
風車にハマッていた頃、沙漠の水自動販売機を考えました。沙漠も昼夜の寒暖の差が大きいので夜間は湿度があがる。風車で直接冷凍機を動かして夜間水を作る。昼間は夜作った水をひたすら冷やす、というものでしたが湾岸地帯で実現できないかなぁ!
Posted by: 271828 | 2005.01.26 08:57 AM
>温泉カワセミさん
そんなわけで「温度があがるの湿度があがる」ということはわかったのですが、一般的に「湿度が高い」のはどんな理由からなんでしょうね。「地下水」が原因だとすると、地上にしみ出してきて蒸発してるのでしょうか。 気候による変化の方は、どこか遠くから湿気を含んだ空気が送られてくるということなのでしょうが。
急激な湿気の増加は経験したことがあります。家のリフォームのためにマンションの母の部屋に家族5人が加わってひと月ほど暮らしていたら、居間のソファのうしろの壁に、見事なばかりの「カビ」が生えていました。冬のことで、暖房で室温が上がって、5人分の吐いた息や汗からたっぷりと水蒸気が放出されて、それが夜になってどっと結露したのでしょう。
室内や押し入れの湿気は、外気の問題というよりも家の中の問題のような気もしますがいかがでしょう。
>271828さん
気温の低い夜の方が「結露しやすい」ということですか、ふむふむ。しかし、地面とか樹木(あるのか?)とか、〈恒温動物よりは冷たそう〉な物もあるけど、動物の「毛」に結露するんですね。熱容量は小さそうだし、通気もよさそうだから、夜になるとすぐに冷えるのかな。
空気中の水蒸気を〈冷やして水にする〉のって、量を稼ぐのが大変そう。わが家の除湿機は、冬になるとめっきり「収穫」が減ります。除湿の必要がないくらい乾燥してるってことですが。
Posted by: のぶ | 2005.01.26 04:32 PM
>「地下水」が原因だとすると、地上にしみ出してきて蒸発してるのでしょうか。
普通は気候的に湿気が高い地域は、水(海・湖・川)との位置関係と風向きなんでしょうが、つくばに関しては地下から蒸発してくる湿気のようです。霧の発生し始めなんか地面から湧き出てくるのが見えますからねぇ。
>室内や押し入れの湿気は、外気の問題というよりも家の中の問題のような気もしますがいかがでしょう。
いやぁ、もちろん人間の生活から出て来る湿気もあるんですが、ウチの近くでは外気の影響が大みたいです。なんせ築30年近くになろうと言う安普請のボロ官舎では気密性など期待すべくもないもんで。しかも建物の地階(我が家)と高層(3F・4F)では結露の状態が変わるし、部屋の中で一番結露とカビがヒドいのは、人があまり居ない玄関だったりするんですねぇ。玄関のドアノブは毎朝水が滴ってるし、なんせ木製の靴箱が内の外もカビだらけで・・・・(上で書いたキノコの生えた部屋なんか、1ヶ月無人でしたしねぇ)
よぉ考えたら、ガマガエル(筑波山の四六のガマ)で有名なんやから乾燥地帯な訳ないんですよね。どうやら研究所群のあるところは元々湿地やったみたいで、場所が空いてたと聞きました。これがもう少し霞ヶ浦に近付くとレンコンの泥田がいっぱいで、もっと湿気が高いらしいです。
Posted by: 温泉カワセミ | 2005.01.26 11:33 PM
なるほど、「通気性超良好」な家なのですね:-)
相対湿度はともかく絶対湿度の高さが問題のようです。
ガマガエルとかレンコンとかじめじめしたものが多いのかぁ、筑波は。研究学園都市のイメージとは違うな。(根拠なし)
湿気は多くても少なくても困りますが、生きていくためにはどちらといえば、ないよりはあるほうがいいかな。(カビが生えてくると気が変わります)
Posted by: のぶ | 2005.01.27 09:26 AM