« 『On Radiation』John Tyndall | Main | ストレスって何? »

2005.01.30

ナノカーボンのパフォーマンス

夕方東急ハンズに行ったら、「ナノカーボン」(正式な商品名かどうかは知らん)の実演販売をしていた。
ナノカーボンというのは、ダイヤモンド(つまりカーボン=炭素ね)の細か~い粒を油みたいなものに混ぜたもので、こいつを電気の接点に塗ると、スキ間がカーボンで埋まって導通が良くなる、というシロモノです。

こいつを、客の携帯電話の電池やメモリーカードの接点に塗って見せるわけです。
ぼくのデジカメの電池が、充電したてなのにすぐ残り少なくなると思っていたのが、接点をヤスリで磨いたら良くなった、ということがあったので、「接触が悪いと、切れてしまうわけではないが、よろしくない」ということは理解しています。

しかし、しかしですよ、これを塗った効果を見せるために、何をすると思いますか?
1.まず、塗る前に携帯のカメラで写しながら、左右に振って「この時の画面の(追従の)遅れを覚えておいてください」といいます。
2.次に、カメラの前を手でふさいでからパッと離して「画面にピントが合うまでの時間を覚えておいてください」といいます。
3.携帯の電池を抜いてを切って、接点に「ナノカーボン」を塗ります。(あれこれ言いながら1分くらいかかる)
4.再び携帯の電源を入れて、1,2と同じことをします。
店員:「どうですか?」
客:「うーん、ちょっと速くなったような気がする」

店員はぼくにも薦めたので、よほどいろいろ聞いてやろうかと思ったのだけど、今日は心おだやかでいたかったので「ニヤっ」と笑っただけでその場を去りました。

前の客の「パフォーマンス」の時に、ぼくもうしろから画面を見ていましたが、もちろん速くなったかどうかなんてわかるはずはありません。 「でも、『速くなった』と言っている客がいたじゃないか」と思うかもしれませんが、速くなることを多少なりとも期待していて、さらに店員に「速くなったでしょう」と迫られればそんな気になることは不思議ではありません。

ファイテンという会社のRAKUWAとかいうブレスレットを売る時のパフォーマンスにこんなのがあるそうです。
1.まず、手を伸ばした状態で何かの包みを持たされる
2.RAKUWAを付ける
3.再び同じ包みを持つ
 すると「1」より「3」の方が「軽く感じる」のだそうです。それで「RAKUWAはすごい」と言って、みなさん買って帰る。(全日本のバレー選手もつけているらしい)
ちなみに、「レンガの入った包み」のように「予想外に重い」ものを、それも手を伸ばした状態で持たされると、ひどく重く感じるだろうと思いませんか? 次に、同じものを「重いものだ」とわかった上で持つと・・・。
(読者の中にはユーザーもいるかもしれないので、評価はいたしません)

というような例もあるので、「同じ速さの画面」であっても、2度目に見た時の方が速く見える、ということもあるのかもしれません。

で、「接点の導通が良くなる」のは、きっと本当でしょう。そう信じたい。 しかし、しかし、しかし、

デジタル機器の電源や、メモリーの接触が良くなったからといって、それでプログラムが速く動いたり遅くなったりするわけないだろぉぉぉぉぉが。

同じ客のMDウォークマンのジャックにもおクスリを塗って「ノイズが減りましたよね」くらいなら、まあウソでない可能性も残ってはいるが、携帯電話(=コンピューター)の電源を接触で速くなるだと!??

実は、1年くらい前にもパフォーマンス(ふつうはデモといいますが)をやっていて、その時は「携帯画面のスクロールが速くなります」というものだったのです。今日は、ウォークマンの方を先にやっていたので「さすがに、あれはヤバイからやめたのか」と思って、そう聞いてやろうかと思った矢先に「カメラの画面」だと。

こんなカタログがありました。
「スクロールスピードアップ」って書いてあるなぁ。 「電池長持ち」くらいだったら、まあ、ありえなくもないのだが。

|

« 『On Radiation』John Tyndall | Main | ストレスって何? »

Comments

いやぁ、ちょっと嬉しくなっちゃうくらい、絵に描いたような「似非科学」系商品ですねぇ。素人受け狙て意味もなく「ダイヤモンド」を持ってくる辺りなんか、中々香ばしいですな。だいたい接点の電気抵抗改善する言うのに電気通しにくいダイヤモンドやDLCを構造に導入する意味無いんやけどなぁ。細こうて電気通すんやったらカーボンブラック(煤)で充分やん。
効果の内容見ても接点抵抗と関係無いのがほとんどやし、聞いたことのない「ナノベアリング」なんて造語が出て来るし、とっても香ばしい。だいたい導通剤を電極に塗るって、素人が適当にやったら「ショート」の危険性増さへんか?
しかも、普通「カーボン」で「ナノ」言うたら「C60」とか「ナノチューブ」やろぉになぁ。それに接点綺麗にするだけやったら、KUREのCRC556で充分やし。
こんな製品広告を平気でうつ業者って、他の製品もたとえマトモでも買う気が失せますなぁ。

Posted by: 温泉カワセミ | 2005.01.30 11:57 PM

たまたまぼくが「接点接触の悪さ」を経験していたために、かなり「甘い」採点になっているかもしれませんが、温泉カワセミさんコメントを読んでいるうちに「なんでこんなものにまともにとりあったんだろう」という気がしてきました。

「ダイヤモンド」とだけ書いてしまいましたが、パンフレットによると「ダイヤモンドとグラファイト」と書いてあります。「ショートしてしまわないか」という点ですが、(アチラが言うには)炭素の粒が、液(油か?)の中に浮ている段階ではお互いに導通していなくて、コネクターなどのところで強く押されたところでだけ導通するということです。だから、ショートはしない、と。
このあたりは本当なのかなぁ、と思っていましたが、このあたりがマトモなのであれば、なにもあんなインチキ広告打たなくていいのになぁ、と思うので、全体がウソという気もしてきます。

Posted by: のぶ | 2005.01.31 08:49 AM

新しい乾電池で松下の「オキシライド乾電池」ってのがでていますが、CMで「ウォークマンの電池をこれに換えたら音が良くなった」というようなことを言っていました。電源や、導電性(?)がそういうものに影響するんでしょうか?

http://national.jp/product/conveni/battery/oxyride/lab/music/index.html

Posted by: uminekoko | 2005.02.02 04:50 AM

〈電池を変えて音が良くなる〉とすれば、元がよほどひどい状態だった時くらいではないだろうか。
・電圧が足りなかった
・端子が錆びていた (ナノカーボを塗ろう)
など。

調べてみます。(って、何を? どうやって?>自分)

別のところで、「オキシライドは?」という質問をもらったのだけど、そのことだったのか。

Posted by: のぶ | 2005.02.02 01:14 PM

The comments to this entry are closed.

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ナノカーボンのパフォーマンス:

« 『On Radiation』John Tyndall | Main | ストレスって何? »