ハンコは誰のため?
印鑑登録したハンコ(実印)は、「本人が押したものである」ことを、かなり信頼できるものなので、意義はよくわかります。銀行印も同様。これらは、「照合」するために印影が登録されているから、本人ないしは名義人の特定に使えるわけです。
ところが、いわゆる「三文判」の使われ方というのはどうでしょう。
・書留郵便などの受取り時
・アルバイト料をもらった時
・回覧板
・署名運動
などなど、最近は「サインでいいです」ということが増えてきたとはいえ、ハンコを要求されることはまだまだ多い。しかし、「三文判でいい」ということは、「誰にでも買える」ということだから、「本人である」かどうかの証拠にはまるでなりません。そもそも、そのハンコの印影は他のどこにもないかもしれないから、「照合」しようにもやりようがありません。あるのは「高橋さんらしい人が、[高橋]というハンコを押した」ということだけ。
いくら「誰でも買える」とはいっても、自分の名前以外のハンコを持っていることは少ないので、「そのためにわざわざハンコを買う労力」分は、ハンコがない人よりも「本人である率は高い」と言えないこともないけれども、あまり説得力はありません。
こんなどうでもよいことなのに、郵便局で保険の支払いをもらう時など「ハンコがない」と決して許してくれません。 そのために引き返したこともあります。
この「登録されていないハンコ」の意義が、ずーっとわからなかったのですが、ようやくこの頃わかってきました。
実印や、銀行のハンコは「押す人」を「こいつは本当に当人だろうか?」と、いわば「疑っている」わけですが、三文判の場合は、そうではなく、どちらかというと「押させる側」の担当者を「疑っている」のだろうということです。
つまり、[高橋]というハンコを押した人が、実は「山本」であるかどうかを心配しているのではなくて、例えば配達員が「高橋に渡してもいないのに、渡したフリをする」ことを防ぐためのものなのだろう、と。
もちろん、「ハンコは誰でも買える」のですから、配達員が人のハンコを買ってくることもできますが、たくさんのハンコを揃えるのは大変ですから、「大量配達サギ」はやりにくい。
似たような話で、郵便局でお年玉付年賀ハガキで当選したハガキを持っていって賞品と交換する時のことがあります。10年くらい前まで、当選したハガキの下端の番号の部分はハサミで切り取られていました。おかげで、ハガキの裏に書かれた住所や絵などが切られれしまうということで、不満が出ていました。郵便局側は「不正を防止するために仕方ない」というのだけど、「それなら、番号のところにスタンプでも押せばいいだろう」と反論(誰が?)して、結局、今はそうなっています。
この時思ったのですよ。ああ「不正」というのは、われわれのことではなくて郵便局員のことなんだと。われわれ(客)にとっては、番号の上にスタンプを押されれば、もう2度と交換にはいけないから切り取られたのと同じことですが、これだと郵便局側には「交換した証」が残らないんですね。つまり局員か「交換したフリ」をすれば、いくらでも賞品を出せちゃうわけです。(ごめんなさい>郵便局のひと)
今はその状態といえばそうなんですが、交換した人は名前を書かされます。三文判みたいなもんですね。
「ハンコを押してください」と言われると、なんとなく自分が疑われているような気がしていたものですが、実は、目の前にいるかわいそうな担当者が疑われないためなのだ、と思えば少しは気持ちがラクになるかも。
しかしよく考えてみると、この説には無理なとこるがあるのですが、こう考えることによって、「ハンコを押してください」と言われた時に「ああ、この窓口の人が疑われたいなめに仕方ないな」と思えるなら、それもいいかなぁ、思うのでした。
March 30, 2005 at 02:58 PM in 日記・コラム・つぶやき | Permalink
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Comments
のぶさん、
なるほど、「押させる側を疑っている」んですか。う~む、それなら、ちょっとは納得できるかなぁ。
ただ、私はコイツ(↓)を買って「実印」で使ってみたい。市役所の窓口で怒られそうやけど。(チタンの実印の方もソソルけど)
http://www.hankodaisuki.jp/tanoshii/nikukiu_m.html
Posted by: 温泉カワセミ | Mar 30, 2005 11:24:18 PM
「肉球ハンコ」は
>●ひかえめなら銀行も結構いけるらしい
と書いてありますね。
そういえば、銀行印や実印のように「照合する」ものは、印影が何であろうと(名前と関係なくても)原理的には問題ないはずですが、「三文判」は、名前が入っていないとマズイわけで、なんか面白い。
「担当者が疑われないため」という意味であれば「肉球ハンコ」はベストかもしれない。
Posted by: のぶ | Mar 31, 2005 11:43:03 AM