いえ、別にマイナスイオンの摂取記録じゃありません。今日、東急ハンズで久しぶりに「アヤシイ商品巡り」をしたので、その記録です。
■トルン・ギア(と、その仲間たち)
「トルマリングッズ」はハンズ新宿店3階に定位置を構えて何年もたつので、今さらどうこうすることもないのだけど、つい立ち止まって声をかけられるのを待ってしまいました。
・商品名:トルン・ギア (TORUN GEAR)
・ウリ: メインの効果は「遠赤外線効果」だけど、本日目立っていたのは、トルマリンとゼオライトがマイナスイオンを発生させて携帯電話などの電磁波を吸収するということ。
製造元:外谷製紙株式会社
http://www.torun.co.jp/
説明員:肩こりとか気になりますか?
のぶ:いえ、別に。でも、これどうやって「電磁波を防ぐ」んですか?
説:はい、トルマリンとゼオライトからマイナスイオンが出て……
の:えっ! マイナスイオンが電磁波を吸収するんですか?
説:はい…。あのぉ、詳しくはホームページを見ていただければ。
の:マイナスイオン自体わけがわからないのに、それで電磁波吸収っていわれてもねぇ。
説:わが社はトルマリンがウリでして…。
の:そもそも「マイナスイオンって何?」
説:すみません、私、勉強不足で…。
の:えっ? トルマリンがウリの会社なのにマイナスイオンがわからないってことないでしょ。クルマ売ってる人が「勉強不足なんでエンジンのこと知りません」とは言えないでしょう(ダメなたとえだったな)
説:……。
の:わかりましたよ、ホームページ見ますよ。
説:はいっ、ぜひ書き込んでください。
相手が一枚上手って感じ。さわやかに終了。
私トルマリン、トルマリン。マイナスイオンや遠赤外、出してみんなを健康に、してるって、いうじゃなーい。
でも、あんたからホントに出ているのは、ウサン臭さですからぁぁ、ザンネン!
なんでもマイナスイオンのせいにするんじゃねーぞ、斬りっ!
■遠赤外線放射ライト ICアルファ
トルマリンを離れて上の階に行くと、いきなり妙な商品が。

「遠赤外線放射」というヨダレの出そうなネタに吸い寄せられてしまった。
この蛍光灯スタンドを黒く塗ったようなモノから「遠赤外線」が出るという。そりゃ出るでしょう、出なかったら大変だ。裏側をのぞくと、ふつうの蛍光灯と思われるものがついている。手をかざしても特に暖いとも感じない。
説明員:よろしかったら試していかれませんか?5分くらいで効果が出ることもあります。
のぶ:遠赤外線って、どんな周波数のが出ているんですか?
説:はい、こちらをご覧ください。(と、以下の資料のコピーを見せる)
黒体放射と比べてこれだけ赤外線を放射しますってことね。放射率が高い、というだけなんだけど、これ自体はまともな資料ではあります。ただし、商品の効果(なに?)の説明にはまったくなっていません。
の:遠赤外線なら、ここからも何からも出てますが何か特別なことあるんですか?
説:ICアルファという素材で…。
の:どんな素材でしょうね、放射率は表面の状態で決まるんですけど。
〈何言われたか忘れた〉
の:「仮性近視・老眼の方はお試しください」って書いてあるけど、よくなるんですか?
説:いえ、よくなるとは書いてません。私たちは医者ではありませんので。
の:あ、そうか。「お試しください」ってだけね。
説:いかがですか? 楽になるかもしれませんよ。
の:うん、この点には反論するのやめました。
もういいかなと思って帰ろうとしたら、放射率の紙のコピーを取り上げて「それはお渡しできません」と妙に頑張られちゃった。「何かマズイことあるんですか?」と何度も迫ったけど結局もらえず。写真とってくればよかったかと思ったが、なんだwebにあるじゃないか。
これで3万円くらいとるらしい。いいのかい東急ハンズ。
大きな画面にサーモグラフィーが表示されていたので、これにあたっていると体表温度が上がるとかいう話だったのだろうが、それはやらずじまい(惜しかったな)。
http://www.icalpha.co.jp/
■SEセラミックシャワー ”JSKフリオン”
このトンデモシャワーについては、すでに話題にもなっているし、そのトンデモ度は群を抜いていますが、これを推薦する(売っているだけか?)ページの多さにはあらためてビックリです。
なぜか、製造元(SAISEI KO Co. Ltd.)のページは見つからないけど、他にいくらでも説明ページがあります。例:http://nst21.com/shower/
水道水の塩素を減らすというのに、フィルターではなく《塩素の化学記号も変化させ》などというスゴイことを言っています。
前に一度食いさがったことがあるので、その後は見過ごしていたのですが、今日、近くを通ると家族ずれに何やら説明しているのが聞こえます。立ち止まってみると「酸素が増えます」とか言っているじゃあありませんか。「え、どうやって酸素が増えるんですか?」と聞くと「マイナスイオンがでるので、そこに酸素が集まってくる」というではありませんか。「へぇー、そんなことが起きたらノーベル賞級ですが」などといろいろつっかかると、説明のおばちゃんは「私が確かめたわけではありませんが、そう聞いております」とか「マイナスイオン測定器で測ったところによると」とか言うので、そんなもん「バカ測定器で測った」というのと同じことですよなどと言ってやりましたが。当然ひるむわけもなく「いろいろな考えの方がいらっしゃいますから」とか言いながら、私を無視してお客さんの子どもに水あそびさせておりました。
今さらどうこういう必要のある商品でもないので、早々に切り上げて温度計などを見に、上の階に行く。
□そして事件が……
さて、そろそろ帰ろうかと歩いていると、むこうからやってくる30代後半くらいの男性が寄ってきて「あのー、ちょっとうかがいたいのですが」と言う。奥さんと子どもがいるのを見て「アッ」と思ったら、さっき「フリオンシャワー」のところにいた家族連れであった。
聞けば、さっきは「買おう」と思っていたところにぼくが割り込んでさんざん悪口を言ったので、上の階まで追いかけてきて話を聞きにきたのだそうだ。ぼくとしてはかなりビックりしたけれども、有難い話である。
「酸素が増えるっていうのは私もおかしいと思うんです」と奥様。「でも、塩素が除去される、とも言っているんですけど」と聞かれ、「フィルターであれば塩素を除く可能性はあるけれども、あのシャワーは〈フィルターではない〉と言っていますからねぇ」。そして男性は「この子がアトピーなもんで、これで治るものならと思って買おうとしていたんですが」という。どうやら、売り場に貼ってあった「こんなにひどいアトピーが3ヶ月で治りました」という写真とか、説明のおばさんが「娘がひどいアトピーだったのに治りました」などという言葉を真に受けているらしい。
・「私は治りました」という経験談は、科学的な意味はゼロです
・1000人のうち1人だけうまくいった時に写真かもしれませんよ
(ウソでないとしても)
・シャワーや浄水器を買ったことで、生活習慣が変わって治ったのかもしれませんよ。
などなど、説明しました。 また、「タタミをこの水でふくと雑菌効果でカビが生えないらしいです」とも言われたそうなので、「100万円賭けてもいいですけど、そんなことはありません」と言ってしまいました。
なんでも、ハンズに来たのは「いい掃除機を買って、ホコリをなくしてアトピーを治そう」ということだったのだけど、このシャワーを見て「この方がいいかな」と思ったそうです。なんということだ。ぼくは「そりゃ、掃除機の方がいいですよ。それでアトピーが治るかどうかわからないけど、仮に治らなくたって部屋がきれいになればいいじゃないですか」と言いました。
「こういうことを研究している方ですか?」と聞かれたので、正直に「大学では化学を専攻したが今は専門ではない。しかし、ニセ科学を批判する活動をしているので、専門家の知りあいはたくさんいる」と伝えました。
結局「またお話うかがいたいので名刺をいただけますか」と聞かれ、名刺はなかったので、メールアドレスを教えてメールをもらうことにした。
「アトピーに効く方法」を教えることはできそうにないけれども、ヘンなものにダマされないヒントくらいは教えることができるかもしれません。
売り場で「やめた方がいいですよ」という勇気はなかったけれども、こうして追いかけてきてくれた人にはちゃんと説明するしかありません。途中何度も「すでに買ってしまった人には決してこういう話はしないんですけどね」といいましたが、もはやこの一家は、「フリオンシャワー」を買ってもプラシボ効果ゼロ(マイナス?)だから、だめだろうなぁ。
今日は、獲物が3件もあった上に、思いもかけぬ訪問者を得て、元気のでる一日となりました。(弘前の桜の話も書かないうちに……)