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2005.05.26

アメリカの犯罪が激減した理由

"Freakonomics"面白すぎ

この前紹介したこの本、面白すぎ。なかなか読む時間がないので、電車の中とか歩きながらも読んじゃうんだけど、きのうは田園都市線を渋谷で降りたホームのベンチで1時間くらい読んでた。家に帰りたくないわけじゃないけど、何かと雑用に追われるからね。

さて「書評ベタ」のぼくとしては、どう書いたらよいのかわからないけど、

「世間で言われていること、信じられていることが、実は違うよ」

ということを、ちょっとした計算や、思いがけない視点から面白おかしく紹介してくれるという本だと思う。

章のタイトルは

1.学校の先生と相撲とりの共通点
2.KKK(ク・クルックス・クラン)が不動産屋と似ているところ
3.麻薬密売人はなぜ、いつまでも母親と一緒に暮しているのか
4.犯罪はどこへいったのか
5.完ぺきな親とはなにか
6.完ぺきな計画パート2。

といった感じで、どれも面白いんだけど、いちばん「重そう」な話題で、かつ、発表当時に物議をかもしたといわれるのが「犯罪はどこへいったのか」という話。

1989年、アメリカで犯罪件数がピークに達して(って、後から見たから「ピーク」なんだろうな)識者たちは「これからも犯罪が増え続けて大変なことになる」と言っていたそうな。 ところが1990年以降、犯罪は、ものすごい速さで「減り」はじめた。「予想」の外れた学者たちは、「元々『悪くなる』とは言っていない」などと言い訳をしたのに加えて、〈犯罪が減った理由〉をいろいろと考え出したそうな。

1.警察の革新的な戦略が功を奏した
2.刑務所の信頼性が上がった
3.麻薬市場の変化
4.人口の高齢化
5.拳銃保持制度の強化
6.経済の成長
7.警察官の増加
8.その他

それぞれについて、「いかにダメか」の説明があるのだけど、その中では「刑務所により多くの人を置いておけた」というのは、犯罪減少の理由としてそれなりに大きいだろうと著者は言っています。 刑務所に関しては、ひどい議論もあって「刑務所を増やすと犯罪が増える」といって建設反対運動があったそうです。そのことを「地元のチームがワールドシリーズに優勝して、市民たちが大騒ぎして祝うのを見て、その町の市長が、翌年は、シリーズが始まる前に、祝賀会をやるように言った」のと同じようなもんだ、と皮肉ってます。

で、著者(レビット)の考える「犯罪が減った理由」は、

1960年代以降から1973年の「Roe vs Wade」裁判にいたって「人工中絶が合法化」されたからだというのです。

1.特に貧困層において「望まれずに生まれた子どもたち」が非行に走る率は高い
2.中絶によって、その子たちが生まれてこなかったために犯罪は減った

という論法です。

この説は、当然のごとく「中絶を是認するのか」などなどの猛反発を受けたそうです。ぼくはまだ全部読んでいませんし、本人の意見だけを読んでもフェアでないので、いずれ反論も探してみようと思いますが、犯罪数の「激減」を説明できるものが他にないようであれば、悲しいけれどもこれが事実である可能性は高いと思っています。

他には、もっと笑える話がたくさんありますか、相撲の八百長の話は、いずれまた詳しく。

May 26, 2005 at 05:07 PM in 書籍・雑誌 |

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» Freakonomics by Steven D Levitt and Stephen J Dubner from Sophiestarfield's diary
Freakonomics applies micro-economic thinking about information and incentives to contemporary American socio-economic issues like crime, gangs, and education, and presents sometimes controversial conclusions in a very readable manner, in easy to unde... Read More

Tracked on Jul 30, 2005 10:59:13 PM

Comments

いま、アメリカでの論争をちょっとみているのですが、「レビットの推計は間違っている」といって、反論している人もいます。どちらの数字が正しいのかは、ぼくにはわからないのですが、ちょっと気にかかるのは「中絶反対」の話がどうしても混じることです。でも、仕方がないのでしょうね。中絶反対の人は、レビットの話を聞いて、まず理屈抜きに「許せない」と思って、そこから「どこか間違っているところはないか?」と調べるのでしょうから。

レビットは、人工中絶については「反対も賛成もしない。それは議論しない」て明言しているのですが、世間はなかなか許してくれなくて

《著者は、この世界がより良くなったのは、中絶合法化のおかげで、罪を犯すために生まれてくる、貧しいマイノリティーの子どもが少なくなったためと、暗示している》(Carolyn Gargaro)

なんて書かれてます。これを書いたのは pro-liferと呼ばれる、いわゆる「中絶反対活動家」なので、当然なのかもしれないけど、イヤな書き方だ。

Posted by: のぶ | May 28, 2005 11:17:50 AM

 つまりはマア、この議論に関しては3種類の人たちがいる。
 (1) レビットに賛成する人
 (2) レビットに反対する人
 (3) レビットを読んだ人

     ですねー(^^;)

Posted by: 塾長 | Jun 1, 2005 11:28:33 PM

はじめまして。

MIXIでFreaknomicsのReviewを書かれていたので、驚いてしましました。実は日本でこの本を読んでいる人はまだいないだろう。イッシッシィ~(笑)と思っていたのに先を越されてしまったのでショックだったのです。

私が特に感心したのは、麻薬世界の仕組みが一般企業とほぼ変わりない仕組みで構成されている、という事でした。Drug Dealer=Glamorous Lifeというのは幻想だったのですね…。

兎に角、Freakonomicsを面白い!と感じる日本人が存在すると分かっただけでも嬉しいです。では。

Posted by: もも | Jun 8, 2005 5:13:09 AM

ももさん、こんにちは。

>日本でこの本を読んでいる人はまだいないだろう…

ぼくも、ちょっとそんなこと思いながら読みました:-) でもNY Timesのベストセラーでamazonで2位(1位はHarry Potter)になっていたそうですから、誰か読みますよね。

どの程度知られているのかな、「山形浩生さんは読んでるだろうか」などと思ってちょっと調べてみたら、はたして山形さんはamazonでレビューhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/tg/cm/member-reviews/-/A187EW1SNGM2FV/1/ref=cm_cr_auth/249-6240903-5748347を書いていました。そりゃそうだなNew York Timesで紹介されてて、著者が「若手の経済学者のホープ」とくりゃあ、山形さんがチェックしないわけはない。 でも、2005/5/20というから意外に最近のレビューでした。

Drug dealerやKKK団の潜入取材にはビックリでしたね。

日本人Freakonomics読者が見つかって、ぼくも喜んでいます。これからもよろしくっ。

Posted by: のぶ | Jun 8, 2005 9:01:53 AM

急なトラックバックを失礼します。
本当は自分のブログにそちらの記事をトラックバックさせていただきたかったのです。
都合が悪ければ言ってください。

Posted by: sophiestarfield | Jul 30, 2005 11:02:39 PM

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