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2005.10.30

「発熱素材」とは何か?

『通販生活』2005冬号の特集に

《発熱素材って、どうして暖かいのか不思議で不思議で》

という記事が出ていて東洋紡の「モイスケア」という素材についていろいろ書かれています。
「モイスケア」については、東洋紡のホームページにもいろいろと情報があります。

当社が開発したモイスケアはこの問題を解決し、綿、ナイロンの約7倍という高い吸湿性を備え、また環境条件により吸放湿(呼吸)を長期的に繰り返し、吸湿時には吸着熱を発生するという、ユニークな性能を持ったアクリレート系繊維です。

人間の肌から蒸発した汗を吸い取った時の「吸着熱」によって体を暖める

ということなのだけど、この「吸着熱」とは、いったい何か?
シリカゲルが水を吸った時にも発熱するけれども、一度水を吸ったら元に戻すのは大変なので同じことは繊維でやるわけにはいかないだろう。

ちょいと調べると「吸着」という現象には「化学吸着」と「物理吸着」というのがあっていろいろ難しそうだけれども、どうやらこの繊維でいう「吸着熱」というのは、「吸湿発熱」と呼ぶのが妥当な気がする。

つまり、体表面から出てきた汗が蒸発して水蒸気となったものを、繊維が受け止めて液体の水になる時に発生する「凝縮熱」のことであろうということ。たしかにこれなら繊維自体は変化しないから使い捨てにはならない。 が、その凝縮した水はどこへ行くか? どんどん吸湿してずっと保持していたらビニール着ているようなものだから、そうではなくて、適度に外側に出ていくのでしょう。そこではまた「蒸発」するだろうから「気化熱」を失なうことになる。「だったら差し引きゼロで暖まらないじゃないか」と思うのだけれども、「水」の状態で内から外に移動しておいてから外側で蒸発すれば、気化熱の影響は内側にはあまり行かないのだろう。

ということで「発熱繊維」はウソではないと思うのだけど、「発熱効果」は「着た直後だけ」という意見もある(「肌着ぽかぽか」の非科学性 01.18.2002 )

あと、ケチをつけるわけではないけれども「吸湿発熱」は、他の素材でもあるのです。吸湿性が高ければ発熱も大きいということだけど、吸湿だけして、水を逃がさないとひどいことになるから、そのあたりをうまく工夫しているのでしょう。あと、服が「暖い」理由のほとんどは、ふつうの「保温力」、つまり空気を保つことによる断熱効果のためだろうなと思っています。

きのう、あるところでこの素材の話題になった時に、ぼくの予想は「凝縮熱」だったのですが、その場では強い反対にあいました。今でも確証があるわけではありませんが、いちおう当たっているらしい。

水の「気化熱」は、日頃からよく体感できる(濡れた肌にフーッと息をかけると涼しい)のだけれども、「凝縮熱」の方は、なかなかピンと来ない。沸いたヤカンの口から湯気がでている時に、よく見ると湯気が白く見えるところよりもヤカンの口に近いあたりには「何も見えない」部分がある。ここに「水蒸気」があるのだけど、ここにスプーンなどをかざすと、「湯気」にかざした時よりもずっと熱くなる。それは、湯気(液体の水の細かい粒)は自分自身の温度の分の熱しか出さないのに対して、水蒸気がスプーンについて水になった時には、凝縮熱を発生するから。凝縮熱は539cal/g と、大きいのでビックリするくらい熱くなるというわけ。

October 30, 2005 at 08:10 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.10.25

桜色の歩道橋

VFMI0232

大森にあるピンク色の歩道橋。「桜新道(さくらしんみち)」という交差点の名前にちなんでピンク塗ってさらに桜の花びらの絵がかいてあります。

が、ぼくが注目したのはむしろこと形態でした。「ロの字」ではなく「X」型に橋が渡されています。したがって、対角線に渡るのも隣に行くのも同じ距離。さらには、階段もふつうとはちょっと違って、ゆるいカーブがついたものです。ひょっとして上空から見ると「桜の花びら」に見えるのかな、と思ったけど4弁じゃだめですね。

なにしろこの色だから、初めて見るとかなりビックリします。

【おまけ】

VFMI0223

これは上とは全く関係なくて、東京駅近くの店の前に置いてあった2色牛くんたち。

October 25, 2005 at 12:02 AM in 日記・コラム・つぶやき | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.10.23

超純水97%!の謎

東急ハンズで売っているEnviron-201なる洗浄剤は、その成分が「超純水」だそうである。
http://www.hinoki-nigari.com/page016.html

超純水とは、水の不純物を極限まで取り除いたもので、微細な測定や半導体の製造などに使われることはあっても一般の「洗浄剤」として使われるものではないはず。が、ともかく「超純水」なのであれば、それはそれで面白い。 が、その成分を見ると、

超純水97.097%

なのである。う~~~む。だとすると残り3%には一体なにが?
さらには

50倍に薄めて使ってください。

と。いったい何で薄めるのか。さらには、

2倍濃縮タイプ

もあるとのこと。超純水を濃縮するといったい何が?? 

ちなみに標準タイプの成分は、
・超純水(97.097%)
・メタけい酸塩(1.30%)
・界面活性剤(LAS)
・分散剤

「超純水」に何かを混ぜちゃう時点でもうわけがわからないのだけれども、そりゃ混ぜないと汚れは落ちないから仕方ない(落ちるとすれば、だけど)。

「2倍濃縮タイプ」の成分は、
・超純水(94.194%)
・メタけい酸塩(2.60%)
になっていた。これは他の成分をそのままにして「超純水」分を減らした分量だから、元に戻すためには超純水で薄めないといけないのだけど、などとマジレスしても仕方ない。

さらにはこんなことも書いてある。

アルカリ性(苛性ソーダなどのアルカリとは全く違い、皮膚に安全です)

たしかにアルカリ性だからといって危険というわけではないけれども、カタログには、

特にマイナスイオン値を高める事によって驚異的なPH(ペーハー)値最高14.0の強アルカリになります(苛性ソーダなどの遊離アルカリとは違います)。

と書いてある。「PH 14」……「安全」って。

ついでに、

長時間コロナ放電したイオン化水と、界面活性剤LAS(生分解性)他洗浄補助剤及び環境・生体を配慮した、高いPH(ペーハー)値14.0の相乗作用で、急速に油を剥離・分解し「水に溶解する油でない物体」にして簡単に落とすのです。

これで実際にきれいになるならそれでいいけど、「超純水」なとと平気で言っちゃう製品をわざわざ使うかどうかは、ちょっと考えてみたいところ。

October 23, 2005 at 02:55 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (0)

2005.10.20

2005/10/18 「ヒートアイランド」のことなど 三上岳彦さん

TBSラジオ「サイエンス・サイトーク」の収録、今日ゲストは三上岳彦さん(首都圏大学東京)で、テーマは「異常気象の正体」。
「ヒートアイランド」はいわゆる「地球温暖化」とは別に都市部の気温が高くなる現象。効外と都心部とでは2~4度くらい違うらしい。主な要因は、
・人工廃熱の増加
・コンクリート、アスファルト増加による蓄熱
などだそうです。

街路樹や芝生などの「緑」は、日陰を作ったり、熱を放出したりして温度を下げる効果がある。新宿御苑や明治神宮などの大きな公園によって都市の温度が下げることを期待しているそうで、公園の風下200メートルくらいには冷気が来るらしい。緑が増えるのはいずれにしても結構なことだけれども、こと「温度の降下」という意味だと費用対効果はどうなんだろう。

質問時間に、ある人が「植物による効果は、気化熱によるものだと思うので、人工物でも水を保って少しづつ気化させることができれば有効なのではないか」という趣旨の質問をした。丁度同じことをぼくも聞こうと思っていた。 三上さんの答えは、いささか意外であった。

「それはそうかもしれないが緑には心を落ちつかせるメンタルな効果がある」と。

うーん、何を言っているんだろうこの人は。これは
「自然の緑よりも人工物でやった方が良いのではないか」という意見に対する反論だと思うが、当然のことながら質問者はそんなことは言っていない。

何らかの思い込みで、「緑を増やすべき」という考えに反論されたとでも思ったのかもしれないが、およそ科学者とは思えない反応で、かなり情なかった。

こういうのは好き嫌いの問題なのかもしれないけれども、こんなちょっとした質疑がもとで「あれっ?」と思うことが見つかってしまうことがあります。

October 20, 2005 at 03:25 PM in 科学 | | Comments (6) | TrackBack (1)