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2005.11.08

サイエンスサイトーク4題

ジャーナリスト日垣隆氏がゲストを呼んで話を聞くTBSのラジオ番組。
http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/

報告をさぼっている間に3週間で4回も収録がありました。
放送日は未定。

◆10月25日(火)収録その1
ゲスト: 濱田篤郎さん
 (海外勤務健康管理センター所長代理、旅行医学、熱帯医学)
 
 「旅行医学」とは、聞き慣れない言葉だが、想像はつく。旅行先で病気になったり、旅行先でもらってきた病原を帰国後にうつしてしまったり、という話。何といってもこの話題と中心はSARS。

「旅行者が運ぶ感染症」というのは何だか恐ろしい表現だったけど、生きた人間にくっついてくるんだから、その通りなんですね。

「検疫」が有効か、という話の中で、「SARSは潜伏期間が10日くらいなの対してインフルエンザは2日で発病するので検疫が効かない」というようなことを言っていた。「ん? 逆じゃないの」と不思議に思って質問したら、番組アシスタントの有村美香アナウンサーが「私も同じことを思いました」と言って、有村さんなりのフォローをしてくれたがよくわからず。濱田さんご自身も説明してくれたが、途中で矛盾に気付いて「潜伏期間が短かいからというのは違いましたね」と潔く訂正。感じのいい人だった。

◆10月25日(火)収録その2
ゲスト:  神戸俊平さん(獣医師、ケニア在住)

「1971年にケニアに行かれたんですよね」と言うから、ふーんと思って聞いていたら、「そのまま今もケニアに住んでいる」というのでビックリ。獣医さんで、成田空港の検疫官になりたかったけど、その前に「3週間」の予定でアフリカに行ったら、そのまま居ついてしまったということ。

ナイロビ大学で獣医学の修士課程を出たのだけど、お金がなくて困っていた時にナイロビの日本料理店で前に座っていた「貧乏人にお金を出すのが趣味というアメリカ人」に助けられ、修士論文を書くのに英語で苦労していたら、今度は編集者に出会って助けてもらったそうです。

マサイ族と親交が深くて、よく訪問するのだが、行くとタイコやノロシで連絡を取りあって神戸さんが来たことが伝わっているのだそうだ。家蓄を助けたりして感謝されている。

今やケニアは「観光」に大きく頼っていて、観光客が落としたお金を自然を保護に回す、というちょっと皮肉なことになっている。マサイ族も「観光マサイ」と呼ばれる人たちがいるそうです。 いかりや長介がケニアびいきで、長さん記念の「エコツアー」が企画されているそうです。

最近、マサイの人と結婚した日本人女性というのが話題だそうで、一体どうやって暮しているのかと気になったのだけれども、「今は日本にいる」というので拍子抜け。

神戸さん、髪は薄いがなかなかダンディー。一夫多妻のケニアで、どうしているかと思ったら、いまだに独身だそうです。とても楽しい方でした。

◆11月1日(火)収録
ゲスト:河合幹雄さん (桐蔭横浜大学教授、法社会学)
 (心理学の河合隼雄の息子さんだそうです)

「犯罪が急に増えてきた」と何かと書きたてられるが、それは本当か?という話から始まる。この話は、個人的にはあちこちで聞いたり読んだりしていて、日垣さんもよく話題にしている。そのせいで、なんだか日垣さん主導になっちゃって調子が悪かったのだけど、途中から河合さんならではの犯罪関係の詳しい話がでてきて、いい具合になった。

「犯罪の件数」というのは、急には変わらないものと昔から言われている。にもかかわらず、突然数字が変わるのは、戦争を別とすれば、「数え方を変えた」と考えるべき。

もうひとつは、「犯罪の数」は実は数えられないので、実は「検挙数」を見ている。つまりは、警察が頑張れば、見かけ上犯罪の数が増えるということになる。

例えば、全国の警察に「痴漢通報窓口」として女性を配備したそうで、そのために女性からの届出が急増したという。見かけ上は痴漢が増えたように見える。自転車の防犯登録のおかげで、盗まれても戻ってくる可能性があるので、盗難届を出す人が多い。これも「自転車ドロボーが多い」と見える。

日本は、犯罪に対する法的制裁は甘い。しかし「社会的制裁」が重い。かつては刑務所から出た人が、「再犯しにくいような職業」(具体的には言わず)について、親方に管理されて、結果的に再犯しない環境があった。

現在でも暴力団が一種の「犯罪者の受け皿」になっているとも考えられるそうです。

例によって、うまく紹介できませんでしたが、大変面白い話でした。

◆11月7日(月)2本録り
ゲスト:畑村洋太郎さん(畑村創造工学研究所所長、工学院大学教授、
             失敗学、ナノ・マイクロ加工学)
「失敗学」で有名になってしまったけれども、本当にやりたいのは「ものづくり」や「わかる」ことの研究。

回転ドア事件直後に「ドア・プロジェクト」を個人で立ち上げた。回転ドアが「危ないものである」ことを知らない人が作り、使う人も知らなかったから起きてしまった。ヨーロッパでは、「重いと危ないから」ということで、回転ドアは軽く作ることが常識化されているが、六本木ヒルズのものは3倍くらいの重さだった。

「危ないものは危ないのである」ということをみんなが認識すべきである。エレベーターのドアが「閉まりそうな時に触れば開く」と誰もが学習して信じているが、これは良いことではない。みんな平気でドアを押さえすぎる。いつか狭まれるぞ。

危険を回避できるようになるためには「(致命的でない程度に)痛い目にあう」のがいちばん。(そうだそうだ)

モノを「観察して」「分析して」「理解する」ことが重要であるが、じっと観察する前に「行動を起こす」方が良い。(見る前に飛べ、か)

帰りにこの人の本を2冊買ってしまった。
続 直観でわかる数学』岩波書店

畑村式「わかる」技術』    講談社現代新書

この番組はTBSラジオで毎週日曜夜9時から放送されますが、野球に弱いので、放送日程は遅れ気味。ロッテが「アジアシリーズ」に出るので、さらに延びる模様。「ポッドキャスティング」でも聞けますが、今日紹介した回はまだ大分先になりそうです。

www.tbs.co.jp

November 8, 2005 at 12:49 AM in 科学 |

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Tracked on Apr 21, 2007 8:46:19 AM

Comments

「(続)直観でわかる数学」どうでしたか.私はちょっと立ち読みしただけですが.. 読んだ部分は頭くらくらするような内容のように思えました(素因数分解の部分).まじめに理解させようとしているようには思えないのですが. 

通読しないで言うのはいけないかもしれませんが,これはこれで一種の「とんでも」かも.

Posted by: 伊庭 | Nov 10, 2005 12:53:07 PM

>「(続)直観でわかる数学」どうでしたか

実はまた読んでいないのですが、アブナイですか:-)
畑村さんは「数学が苦手な人には向かない」と言っていたけど、伊庭さんは別の意味で対象者ではないかも。

Posted by: のぶ | Nov 10, 2005 12:56:30 PM

こんな説明の本が売れていいのか,というようなことなのでいわゆるとんでもとは次元が違う話ですが,感想を聞かせていただければ幸いです.

Posted by: 伊庭 | Nov 10, 2005 2:41:33 PM

関係ないですが,ほとんど「にせ科学」といってもよく,かつ実害が懸念されるものに安保徹の免疫医学の本があります.

私が見たのはこれですが,その後も
増えた模様.
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4000221132/ref=pd_sxp_elt_l1/250-0253928-2672214

菊池さんにも前に言ったのですが,
とりあげてもらえなかったのですが..
ほかの方がどう思われるか知りたいです.

Posted by: 伊庭 | Nov 10, 2005 2:44:57 PM

>「(続)直観でわかる数学」
ヨーカ堂の上にあったのでまた立ち読みしたら,いいことも書かれてるかも,という気もしました. ← っていうか,いい加減に買えって

Posted by: 伊庭 | Nov 10, 2005 9:28:23 PM

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