マンションの1階から3階にLANを通す工事をしました。
「マンションLAN」を敷こう、というわけではなくて、101号室と304号室を持っているので101に入れた「光」を上でも使えるようにしたいという話です。
【歴史】
10年ほど前に304号室を買った時に電話の簡易交換機を導入して3階と内線電話ができるようにしました。当時、ネットはアナログ回線でモデムを使っていたので3階でも通信はできました。
5年前にISDNにした時にルーター(MN128 SOHO Slot In)を入れてパソコンとの接続がLANになりました。が、3階はLANが繋がらないのでアナログのまま。MN128の無線LANが届かないかと実験してみましたが、鉄の扉を越えることができませんでした。
ADSLにしてからはアナログで繋ぐ気にもならないので3階はいよいよ「ネットのない世界」になりました。
「何とか3階にLANを」という思いはずっとあって、窓からケーブルをぶらさげようか、とか無線の延長アンテナを立てようかなどといろいろ考えていましたが、去年の9月に「電話線に無理矢理LANケーブルの代用にする」とうことをやりました。
これは画期的ではあったもののハブを通すとおかしくなったり、パソコンのLANの設定を10Mbpsにしないと動かなかったりとか、気に入らないことがいろいろ。
で、今年1月、突然思い立って光を入れたのですが、その時に「どうやら3階までLANケーブルを通せそうだ」という見込みが立ちました。
とはいえ、道具もないし、やるとなったら大仕事になりそうなので当分やるつもりはなかったのですが、光にしてLANボードを100Mにしたら結構なスピードがでるようになって、〈3階にまともなLANを繋ぎたい〉という思いがつのりはじめました。
そして先週の月曜、会社が創立記念日で半ドンになって、他の予定のアテが外れたので、ふと思い立って秋葉原へ。そしてそこで「通線ワイヤー」を買ったのです。
マンションの部屋の中や、部屋と部屋の間には「管」が通っていて、電話線やケーブルTVの線などを通すようになっているのですが、その「線を通すための道具」です。電話工事の人はもちろん、ちょっとマニアックで自分で電話やLANの工事をする人は持っています。5000円足らずのものですから、バカ高いわけではありませんが、「めったに使わない」ので前々から興味はありつつも買えなかったのです。
しかしこれを買っただけでは工事はできません。検索してみたら都合のいいことに「LAN工事ドットコム」というページかあるではありませんか。実に親切なページで、ケーブルの配線のしかたから道具や部品の買い方までこと細かに書かれていました。
かくして、以下のものを揃えることにしました。
■ケーブル
コネクターの付いていない「ケーブルだけ」のもの。いろいろ種類があるのですが、とくにこだわったのは「単線タイプ」にしたこと。「より線」の方が曲げやすいのですが、長いケーブルになると性能が落ちるという。今回は30メートルくらいにはなるので「単線」に決定。
50メートルでいいんだけどなぁと思いながらヨドバシに行ったら100メートルが最短だったので買いました。6500円ほど。一生LANケーブルには困らない。
■圧着工具
ケーブルにコネクターをくっつけるのに使います。「ラチェット付にしなさい」ということで、高いけどラチェット付に。
■LANコンセントのモジュール
壁の電気のコンセントや電話の口と同じようなやつ。内線電話用に2本あった口をひとつLAN用に交換。
■LANケーブルテスター
ケーブルがちゃんと繋がっているかどうか調べる機械。何度も工事するわけでもないのだけど、必要かなぁ、と思って手に取ったけれども、パソコン繋いで試せばいいか、と考えて買うのをやめた。
【工事開始】
やることといえば、
・1階から3階までケーブルを通す
・ケーブルの終端を処理して壁にコンセント形式にする
・LANに繋ぐ
というところ。もちろんメインは「ケーブル通し」
どういうところを通すのかというと、こんな感じ。
(クリックすると拡大されます)
101号室から2階の2A端子盤行って、そこから2B端子盤、さらに3階の3A端子盤に行って、304号室へいきます。すべて配管されているので理屈上は難しいことはないはず。
1.予備作業
いきなりケーブルを引いてもいいのですが、助手(息子)がいなかったのと、通線初体験ということで304から3Aに「ヒモ」(呼び線ともいいます)を通してみました。まずワイヤーを送り込んで、先が出てきたらそこにヒモを結んでからワイヤーを引き戻します。届いたと思って見に行ったらまだだったり、行ってみたら2メートルくらいワイヤーが飛び出していたり。結局全部の「区間」にヒモを通しました。区間ごとにヒモは切っては次の区間に引き直しました。
2.いよいよケーブル
息子が帰ってきたので共同作業です。引っぱるのはひとりでもできるのですが、送り出す側にも人がいないと、ちょっと引っかかったり、からまったりするといけないので助手は必須です。ケーブルの端を少しほどいてヒモを結びつけて、ビニールテープで巻きます。これを引っぱってケーブルを導くのですが、ダイソーで買った80メートル100円のポリエチレンのヒモで果して大丈夫か? ダメならもう一度ワイヤーを通して引っぱればいいと思っていましたが、すんなりと通りました。
3.区間ごとの「ため」
304から101まで1本のワイヤーを通すので、「304--3A」の区間はケーブルのほほ全体が通過することになります。ケーブルの元は304に置いてあるので、次々と先の区間で引っぱればケーブルは送り出されていくはずですが、距離が長いので摩擦も多いし、端子盤を通過するところでは他のケーブルとひっかかる危険も大きいので、端子盤ごとにケーブルを「ため」てから次に送り込むようにしました。
2B(MDF)から2Aを経て101号室に行くところは、先日入れたばかりの「光」のファイバーと一緒に通ります。万が一にもこのファイバーのケーブルを痛めると大変なので慎重に。304号室からスタートした理由もこの「ファイバー同居」の部分を通す長さをできるだけ減らしたかったからです。
共同作業のおかげで、トラブルもなく無事に全線開通となりました。
4.いよいよ接続
両端にモジュラージャックを接続します。
《MJ3》
壁から出ているケーブルに直接作業をしなければならないのでちょっとやりにくい。こんなところにケーブルの内の線を押し込みます。
息子にやってもらう。
101と304両側で終ったところでいよいよLANに接続して開通テストです。
息子のPowerbookを繋いでGO! と思ったら「接続できません」。いろいろやってみたがだめ。
ジャックの配線に間違いがないか、押し込みが足りないのではないかチェックするが解決せず。途中で変な接続をしているのと違って「全線1本ケーブル」なのでケーブルに原因があるとは考えにくい。長いから減衰? このくらいでそんなわけはない。「やっぱりテスターいるんじゃない」と息子に言われた。たしかにテスターがあれば「どこがダメなのか」もわかる。今朝ドタン場で買うのをやめたことが見事に裏目。でも、こうしてすぐに買いにいけるのだから有難い。
5.原因がわからない!
テスターは、親機と子機が分かれるようになっているので、
1階の端に子機をつけて、3階に親機を繋いでスイッチオン。正常ならばLEDが次々と点灯するはずですが、何もつきません。ガーン。
あらためてモジュラージャックを点検しても状況は変わらず。
がっくり。
一番の難関だと思っていたケーブルは張れたのに、どうしてこんなところで。横になりながらじっと考える。いくら考えてもわからないのだけど「ケーブル自体に問題があるとは考えられない」という点には確信がありました。途中で接続したり、無理な配線をしたりせずに買ってきたままのケーブルがそのまま通っているのだから。
モジュラーの接続方法に根本的な間違いがあるのか、はたまた結線しているうちに壊してしまったか、とにかく問題点を絞るために一旦モジュラーを切り離してコネクターを繋いでみることにした。せっかく圧着工具も買ったことだし。両端をコネクターにしてテスターを繋ぐと、果してLEDが次々と点灯してテストOKだった。LAN接続ももちろんOK。
このままにして使い続ければ良いようなものだけども、原因がわからないのが気にいらないし、せっかくの壁埋め込みの計画が狂うのも気に入らない。かといって、ここでコネクターを外してモジュラーを付けるのには勇気がいる。"Don't fix it if it ain't broke."(壊れてるんじゃなきゃ直すな)ということわざを思いだす。
モジュラーの結線のやり方を間違えていないかどうかを調べるために、テスト用にケーブルを繋いでLANテスターで調べたところ、テストOKだったので、勇気を奮ってコネクターを外してモジュラーを取り付けようとケーブルを切る時に「アッ」と気付いた。ニッパーではなく圧着工具の「カット」という部分で切ったのだが、ケーブルの通し方によっては切って残った部分にも切れ目が入ってしまうではないか。反対側の「皮むき機能」のための刃があたってしまうのだった。どうやらモジュラーを繋ぐためにケーブルを切った時に肝心のケーブルの一部を切ってしまっていたらしい。本当にそれだけが原因なのかどうかはわからないが、圧着工具をニッパーがわりにるのはもうやめます。
6.最後のミス
こうして再度ケーブルの両端をモジュラージャックにして、念のためにテスターを繋いだところ、何と8つのLEDのうち1から4までしか点かない。これまたショック。結線を確かめたり押し込んだりするとLEDの点き方が変わる。時に暗くなることもある。いよいよわけがわからなくなった。
いじっているうちにジャックに差し込んであったコネクターがグラグラしていることに気がついた。なんとなく頼りない。さらに押したら「カチッ」と入るではないか。意外に強く差し込まないといけないのだ。そうか、普段は壁に固定されているものだから、自然に強く押すところが、工事中だったので押し方が足りなかったのか。これで解決。
もしかしたら、はじめに繋がらなかったのもこのせいだったのだろうか?
7.ともあれ開通
そんなこんなで、無事、じゃないけど最終的にはしっかり開通しました。速度テストはfletsのテストページで50~60Mbpsでるので「1階と同じレベル」になったようです。電話線を流用した「ニセLAN」ではうまく動かなかったハブも復活するかな。
そうそう、ケーブルの全長は、約39メートルでした。結構あったなぁ。50メートルでも間に合ったわけだけど、ハラハラしたかもしれません。100メートルで正解。あとの60メートルは使うことはあるのかなぁ。必要な方には小分けしましょうか。ぼくの自作でよければコネクターも付けます。
P.S.
マンション内(自室より外)での配線については管理組合等と事前に相談してからにしてください。
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