お好み焼鉄板の熱力学
井の頭線駒場東大前駅近くのお好み焼屋に高校の理科の先生4人と一緒に入った。テーブルの鉄板がよく磨かれて銀色に光っているのが珍らしい。早速放射温度計で測ってみると、明らかに低くでる。ここでもうひとり温度計を出す人がいるから困る。店員が見つけて「何ですかそれ?」と興味を持つ。
お好き焼きを焼きながらも時々温度を測る。鉄板に流してしばらくしてからも表側は20℃にもなっていない。裏返した直後は140℃にもなっている。
ここまでは、よくある?ことだったが、食べ終って片付けに来た店員か「ここを測ってほしいんですよ」と言って、鉄板の端のカスを捨てる口のあたりを指差した。
そこは、深い穴になっていて黒い。正確には測れないが180℃くらいだっただろうか。すぐ横の銀色(ステンレス)の鉄板部分は70℃くらいと表示される。表面の温度はむしろ鉄板の方が高いはずだが、金属面であるが故に放射率が低くて熱放射が少ないのだ。実際温度計など持ち出さなくても十分に温度差がわかる。
「金属面は放射熱が少ないんですよ」
などと偉そうに説明しようとしたら
「わかってますよ」と店員。そりゃそうだ。
客が食べ終った皿をこの部分にかけて置いておくと、放射熱で皿が熱せられる。客が反対の端を持って店員に渡すと「アチチ」と大変なことになるそうだ。しかし「お客さんの前では絶対に皿は落とせない」ので、ヤケドしながらも皿を離さないのだ。 気を付けないと、持っていく時はよくてもそれを渡された洗い場の人がヤケドすることもあるという。
鉄板に触れて熱くなるのではなく、放射熱で、それもメインと鉄板からではなく、ほんのわずかな端の黒い部分からの熱でやられてしまうのだから恐ろしい。 温度計も、熱力学も知らなくても「銀色より黒い方が熱い」ことは身を持ってわかっているのだ。
この店、たまたま入ったのだけれどもおすすめの「イカのゲソ焼」が実においしい。お好み焼きもサクサク、フワフワで、締めの焼きそばは、その店員が自ら作ってくれた。大いに満足。
February 27, 2006 at 10:48 PM in 科学 | Permalink
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