作家・ジャーナリストの日垣隆氏がホストするTBSのラジオ番組「サイエンス・サイトーク」の収録が今年も始まった。野球シーズンの裏側の10月から2月くらいがサイトークのシーズン。
http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/
日垣氏と、アナウンサーの有村美香さんが聞き手となって毎回ゲストを迎えて科学にまつわる話を聞く。スタジオには見学席が設けられ、10~30人くらいの聴衆が来る。本番収録中はだまって聞いているだけだが、終了後に質問&回答の時間がとられる。その間もテープは回っているので稀に放送されることがある。3年くらい前に『歌う生物学者』の本川達雄さんがゲストの時には、ぼくの質問が放送された。
月に2~3回のペースで収録があるのでその都度報告を書こうと思いつつ、いつも挫折。今年ことは何とか、と思って必死に書いている。
さて、今回(2006/9/26収録)のゲストは雑誌ニュートンの編集長の水谷仁さん。ニュートンといえば竹内均さんが創刊時からず~っと編集長を続けてきたのだが、2004年に亡くなって、水谷さんが引き継いだそうだ。水谷さんは竹内さんのお弟子さんだったので「後は頼む」的なことは言われていたらしいが、「お手伝いするつもりではいたが、まさか編集長になるとは思っていなかった」とのこと。専門は宇宙物理学など。
メモをとらなかったので、話の内容をあまり書けないのだけれどもいくつか。
・ナショナリズム
科学者は世界人類のためにやっている、とはいいながらも「国のため」という意識は強いもの。アメリカが、ソビエトに負けじとアポロ計画をやったように、中国か北朝鮮が何かやれば日本もやるのかもしれない。(半分は日垣さんがけしかけた感あり)
・アポロは月に行かなかった説について
途中から日垣さんがしきりにオカルトやニセ科学ネタを振る。宇宙の専門家にこれを聞いちゃうか。しかし、ちゃんと答えてくれた。「一般の人はNASAが情報管理のしっかりしたところだと思っているから『NASAの陰謀』などと言いだすのだろうが、実際にはひどくルーズなところだから、『実は月に行っていなかった』などという重大秘密が守れるはずはない」と。
・理科離れについて
特にこれといった話はなかったと思うが、新しいことをただ聞いて覚えるのではなく、考える道筋を知ることが大切とのこと。もちろん同感。そのためにどうすればいいのかは、別の話だが『ニュートン』にもできることはあるはず。
・冥王星
日垣さん「教科書業界では『戦後最大の事件』的なことを言っているが、それほど他に事件はなかったのか」
水谷さん「社会や国語よりは変わらりませんね」
検定問題ではいろいろ話題になるけれども、小学校レベルでは教え方は変わっても、科学的事実が変わることはないか、たしかに。しかしね、冥王星の件は、何ら科学的事実が変わったわけではないのだけどなぁ。水谷さんとしては、「増えるのには反対」「減らしたのはOK」でも「そのままでよかったのに」というので同感。
・寺田寅彦
寅彦の弟子の坪井忠二の弟子に竹内均がいたので、水谷さんは寅彦の「ひ孫弟子」になるそうな。「文才のある科学者」ということで寅彦の話になったのだけれども、そういえば水谷さんの文学的な話はどうだったのか忘れた。
・アメリカでは科学雑誌が売れている
SCIENTIFIC AMERICANは50万部くらい売れているらしい。日本では科学雑誌の中では『ニュートン』がトップクラスでも、1割行くのかどうか。「アメリカ人は、statusとして、読まなくても買っているのではないか」という話になっていたが、そうなのかなぁ。SCIENTIFIC AMERICANの方が安いからということはないのか。特に定期購読の割引きはすごいからね。
・女性読者を増やしたい
小学生で昆虫や天文に興味を持つのはほとんどが男の子。学生、研究者にも女性が少ない。これではニュートンの女性読者も増えないわけだ。などと言っていないで、「ニュートンだけでも」女性が多く読むようにすればいいのにね。
質問タイムではまっ先に手を挙げて「ニセ科学を扱う予定はないか」を聞いたところ、「予定はないが、困った問題であるという認識はしている」とのこと。
次の人の質問は「定期購読者の比率」。「企業秘密」ということだったが「放送しないなら」と、いちおう話してくれた。
全体的に話は面白かったし、テンポもよくてわかりやすかったので、実はこういう時は質問はでにくいのである。ぼくは毎回質問をしたいと思いながらも、質問内容を考えすぎて悩むのだが、今回嫁仮途中から「ニセ科学のことを聞こう」と決めていた。
そうそう、『ニュートン』といえば8月末に発売された(たぶん10月)号で「元素周期表」が特集されていて、なかなか良いというので買いに行ったのだが売り切れていて買えなかった。質問のはじめにそのことを言ったら水谷さんが「申し訳ない」と言って、すぐ日垣さんが「これどうぞ」といって、自分用だか取材用だかをくれた。有難い。編集長の前で(買わずに)もらう、のも何だが売切れだから仕方がない。
一緒に聞きにきていた人が「日垣さんは周期表嫌いなのかな。くれちゃって」と言っていたが、そういえば冥王星の話はよくしていたけど、元素のことはあまりわかっていなかったようだった。
ところで『ニュートン』はとてもいい雑誌だと思うのだが、そんなぼくでも5年に1回くらいしか買っていない。(今回も結局買いそびれたし)これだから雑誌を売るのは難しい。創刊当時はしばらく買っていたのだけどなぁ。これをご縁にこれから買うかな、と思いつつ今日ローソンで見かけたのに目次くらいしか読まなかった。(ローソンにあったことにはビックリしたけど)
さて、次回のゲストは鬼頭宏さん(上智大学大学院地球環境学研究科教授、歴史人口学)です。
放送は日曜夜の21:00~21:30の30分間。10/8スタートらしいけれども、第1回放送のゲストの奥本大三郎さん(「虫の詩人の館」館長、埼玉大学教授、フランス文学)の収録は知らないなぁ。ひょっとして去年だったんじゃないかな。