タミフルと異常行動
薬の問題は環境問題と同じく、「後手に回ってはいけない」ので、因果関係が不明であっても「ある程度」の手を打つべきである、ということは理解したうえで…。
ワイドショーでは
「タミフルを飲んだら、飛び降りた」
かのような表現が使われるが、現実は
「飛び降りた人の中には、タミフルを飲んでいた人もいた」
というのことである。
これだけだったら「飛び降りた人の中には、トマトを食べた人がいる」と同じだが、「脳障害を引き起こす疑いがある」という前提があるから騒ぎになっている。
純粋に確率だけで考えると、因果関係以前に「相関」があることをいうためには、
A . [飛び降りて、かつタミフルを飲んでいた人の数]
B . [飛び降りた人全体の数]
C.[タミフルを飲んだ人全体の数]
D.[(タミフルを飲む可能性のある)全人口]
とした時に、
A/C が B/D よりも大きくならなければならない。
B/D とは「(タミフルに関係なく)人が飛び降りる割合」であり
A/C とは「タミフルを飲んだ人の中で、飛び降りる人の割合」
「タミフルのせいに違いない」と考える人のいちばんの理由は、「これまでそんな発作的な行動をしたことかない」ということなのだが、タミフルに関係なく「突然ヘンな行動を起こす」割合というはどの程度あるのか。ゼロでないことは明らか。
不幸にも死んでしまった例ばかりがニュースになるが、タミフルにそういう副作用があるのだとすれば、「死ななかったけどヘンなことをした」という例が大量に(死亡例よりはるかに多く)報告されてもいいのではないか。(報告はあるにはある)
最初に書いたことに関していえば、タミフルを出す際に「異常行動を起こすかもしれません」と説明することは可能だが、果してそれがよい結果に結び つくのか。飛び降りた中学生を例にとれば、防ぐには監禁するとか、ずっと監視するとかなど、〈それまで異常を見せたことのない子ども〉に対して行うには問 題の大きい対処方法である。
「因果関係はない」と言い張るつもりはないが、せめて「相関があるのかどうか」を知りたい。
【参考】
タミフルの医療従事者向け添付文書。
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