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2007.06.20

コンポスト日記 - パラゾールの威力

コンポスト復活
生ゴミの処理にはいつも頭を悩ましていたので、コンポストを使うようになった。マンション1階のわずかな庭には、10年以上前に区のモニター制度でもらったコンポストが半分埋まったまま放置されていた。設置はしたものの、面倒くさくて捨てにいかなかったのだ。何年かたって邪魔なので徹去しようとしたけれども、容易には外せなかったが結果的には吉。

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底のないポリバケツのようなものが土に半分埋まっていて、フタを開けてゴミを捨てる。お好みで「促進剤」をふりかけると具合良く分解するとのこと。

ムシがわく
使い始めてしばらくしたら、ムシが住みつくようになった。ウジがハエになり、ユスリカか何かもいる。ウジが「わく」とはいうものの、実際には成虫のハエが卵を産まない限り生まれないはずなのだが、フタに隙間があるのか、いつのまにか産まれてしまうらしい。

ちょっとヘんなのは、ハエがやたらにノロマなこと。フタを開けても逃げないのがたくさんいるし、ゴミを捨てても逃げないのでそのまま押すつぶされる奴がいる。安住の地にいて危険を察知しないのだろうか。とはいえ外に出ていくのもいるし、このままにしておくのは衛生上よろしくない。

ある雨の日、フタの上に何かの幼虫が無数にうごめいていた。
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殺虫剤
いろいろと薬品は出ているのだが、あまり強力なものを使うのは気が引ける。コンポストといいながら、そこでできた土や堆肥を使う予定はないのだが、地中にクスリをまき散らすのは申し訳ない。 ウェブを調べてみたら「脱皮阻害剤」というものがあった。虫を直接殺すのではなく、幼虫が「脱皮」しようとするとうまくいかなくて死ぬ、というちょいと残酷な薬品。そういう特殊に効果なので、他の動物や植への害がほとんどないらしい。これはちょっと面白いので、使ってみようかと思ったが、やたらに値段が高いのと、どちらかというと水槽などに使うもので、生ゴミには向かないようなので断念。

ガス責めに挑戦
消防設備の二酸化炭素で人が死ぬことがある、というのを思いだして、虫を二酸化炭素責めすることを思いたった。ドライアイスを買ってきて放り込む。フタは気密ではなくスカスカだが、二酸化炭素は空気より(わずかに)重いのでいいか。全然効果なかった模様。虫は大した量の空気がなくても生きていられるだろうからなぁ。人間が死ぬのも、窒息だけではなく、二酸化炭素自体が「有毒」という説もある。

コンポスト用殺虫剤「パラコンポ」
上の脱皮阻害剤も「コンポスト用」として紹介されていることもあるのだが、もっとお手軽なのが見つかった。「パラコンポ」というもの。ゴミ箱やコンポストのフタの裏につけておくと薬剤が拡散する方式。成分は「パラジクロロベンゼン」。ん、これは聞き覚えがあるぞ。そう、その名もよく似た防虫剤「パラゾール」の主成分ではないか。さらには学校や公共トイレの防臭剤に使われているアレ。「防虫剤」というくらいだから虫は嫌がるに違いない。体に良いわけではないが、洋服ダンスやトイレに置くくらいだから危険もなかろう(危険を訴える人もいる)。お値段も700円くらいで安い。詰め替えもある。これだ!

パラゾールでいいじゃないか
 というわけでパラコンポを買おうかと思っていたが、そこいらには売っていない。しかし「パラジクロロベンゼン」なら「パラゾール」でいいじゃないか。主成分、というより「純成分」だろうから、製品が違っても関係ない。パラゾールなら、雑貨屋で200円ちょっとで買える。
 コンポストのフタに裏に両面ガムテープでパラゾールを貼り付けた。さらに、この際気密を高めるために、フタのヘリに自転車の古チューブでパッキングを付けた。

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大成功!
数日後、フタを開けてみると見事に小バエが死んでいた。成虫さえ死んでくれれば幼虫には効かなくてもいいや、と思っていたのだが、よく見るとウジも動かなくなっていた。大成功、効果絶大。両面テープが効かなくて、落っこちてしまったが、縁にひっかけたらいい具合。どのくらい持つか気になったが、2ヶ月くらいたってもまだ残っているし、詰め替えは1コ100円くらいなので問題なし。

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ゴミは腐ってくれるのだろうか
パラゾールのおかげで虫がでなくなった。フタを開けるとほのかなトイレの香りがするだけで、「ゴミ臭」すらない。果してゴミは腐っているのだろうか。あちこちで野菜が原形をとどめている。ウジはゴミの分解にも一役買っていただろうし、土壌再生エキスパートのミミズもパラゾールが追い払ってしまっている可能性がある。堆肥ができなくてもいいけど、ゴミが減ってくれないと満杯になってしまうのが心配たったが、掘り起こしてみるとどうやらボチボチ腐ってくれているようだった。

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パラコンポの正体
「コンポスト専用防虫剤」であるパラコンポの実物は見たことがないが、「詰め替え用」を見つけた。

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なんだ、パラゾールと同じじゃないか。

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形状という110gという重さといい、同じものである可能性大。パラゾールのOEMだろう。しかし、値段は「2コで735円」だって?

そんなわけで、わが家の生ゴミ処理はいい感じである。そのうち満杯になる時が来るだろうが、その時どこかに埋めるか、コンポストを移設すればよい。

わずかな心残りは「パッキング」と「パラゾール」を同時に使ってしまったこと。もしかしたら、パッキングで密封するだけでハエの侵入を防げたのかもしれない。今からパラゾールを外して実験することは可能だけれども、その気にはなれない。あの「学校トイレ臭」も捨てがたいし。

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2007.06.15

チタンの結晶

1月に「世界一美しい周期表」という記事で「タングステンの結晶をもらったので、あとで写真載せます」て書いていたことが、つい最近コメントをもらって発覚。写真を忘れていたばかりか、よく考えてみたらあれはタングステンではなくてチタンだったことを思い出した。
タングステンの方がずっと重い。(タングステンの比重は19.25、チタンは 4.5)

これ↓が現物

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まるで銀紙をクチャクチャにしたようにみえるけど、これが生のチタン結晶。

端のつまみのような部分は(たしか)モリブデン。チタンのワイヤーの両端にモリブデンをくっつけて、ピンと張った状態で、「ヨウ化タングステン」(たぶん)の蒸気の中で(たぶん)電気を流すと、純タングステンが析出するという仕組みらしい。

で、長いワイヤーの端っこの、端子に近い部分はモリブデンで汚染されているので製品にはならず、こうしてオモチャになっているというわけ。たしか、99.9999%くらいの純度のものを作っているので、この部分だって 99.9%くらいの純度だろうと勝手に思ってます。

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東京新聞第1面に「ニセ科学」批判

今日(6/15) 付の東京新聞「筆洗」欄、

関東もやっと梅雨入り、という出だしなのだが、後半が興味深い。

《水道の水が飲めるだけでも幸せというべきだが、水道の水はまずいといって…》という「ナントカ天然水」の話に続き…、

▼「まん延するニセ科学にダマされるな」という検証本「水はなんにも知らないよ」(ディスカヴァー携書)を出したのは左巻(さまき)建男同志社女子大教授だ。同書によれば、「還元水」などの水ビジネスで「クラスター(分子の集団)が小さい」などと効能をうたうのは、科学的には否定されている。
▼教授は、水に「ありがとう」と言うと美しい結晶ができるといった与太話が道徳教材になる風潮を憂う。

『水からの伝言』のことを知らない人には、よくわからないかもしれないが、短かい中に「クラスター」「水にありがとう」をしっかり批判しているのは大したもの。

ここまで書いてからウェブを見たら、全文掲載されていた。
以下で読めます。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2007061502024295.html

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2007.06.06

『R25』に《ニセ科学批判本》のブックレビュー

『R25』に《ニセ科学批判本》のブックレビューが掲載された。
大変喜ばしいことです。
http://r25.jp/index.php/m/WB/a/WB000200/tpl/book_11/bkn/20070531/id/200705310301

本の選択がシブイ。

なぜ人はニセ科学を信じるのかI
著:マイクル・シャーマー、訳:岡田靖史/早川書房/735円

水はなんにも知らないよ
左巻健男/ディスカバリー携書/1050円

〈スピリチュアル〉はなぜ流行るのか
磯村健太郎/PHP新書/756円

千里眼事件
長山靖生/平凡社新書/750円

疑似科学と科学の哲学
伊勢田哲治/名古屋大学出版会/2940円

超常現象をなぜ信じるのか
菊池 聡/講談社ブルーバックス/903円

どれもおススメです。
( Amazonのリンクは、R25のアソシエートです)

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