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2007.08.03

吸盤は「引っぱる」からくっつく

『吸盤のすべて』みたいのものを書きたいと思いながら1年がすぎてしまったので、思いつくままメモ書きしておくことにした。

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ふつうの吸盤は「押しつける」ことによってくっつく。吸盤と壁の間にある空気をできるだけ追い出して「真空度」を高めようというわけ。

一方、吸盤には壁から「離れよう離れよう」という力が働き続けている。あまりよくくっついていないと、やがてこの離れようとする力に負けて吸盤は外れてしまう。

だったら、なぜそんな「離れようとする力」をかけさせているのだろうか。ゴムなどの材質の弾性のためにいやでもそうなってしまうからだろうか。2006年7月16日にこんなことを書いたメモがある。

| 1.市販の吸盤の仕組み
| いつも「外れよう」とする力が働いている。
| はじめに空気を抜くためにつぶすのはわかるが、そのあと常に「外れよう」とするのは無
| 駄なのではないか

そして、次のようにも

| 2.引っぱらないとくっつかないのか
|  平面のままであっても、面との間に空気がなければそれでよいはず。
|  「真上」に引き上げようとすれば、外せないのではないか

「真空室」と呼ばれる部分ができることによって、くっつく力が発生するという説明を聞いて、「そんなものなくても、単に面と面が密着して、そこに空気がなければいいのではないか」 と、当時は考えていた。

ところが、「トンでも吸盤」を使うとわかるのだが、「引っぱっていない状態」では、吸盤は「くっついていない」のであった。「くっついている」か「いない」かを厳密に判定するのは難しいが、テーブルに置いたトンでも吸盤を横にすべらせると簡単に動く。しかし、上に引っぱっていると動かない。「ひょっとして『引っぱるから』くっつくのか」と、ある時ようやく気がついた。ふつうの吸盤は手では引っぱらないが、ゴムの弾性によって引っぱられている。

では「引っぱられる」と何が起きるのかといえば、空間が広がって負圧状態が作られる。ここが間違いやすいところなのだが 吸盤の中がすでに真空になっているのなら、空間を広げる必要もないのだが、実際には大気圧と同じ圧力を持った空気が残っていて、この段階では「くっつく力」は発生していないと考えられる。弾性によって空間が広がると気圧が下がり大気が押す力が勝って、吸盤はくっつく。押しつけられることによって、材料と壁面との間の密着度が高まって空気が漏れ入らなくなるところもポイント。ふつうの吸盤では定かでないが、トンでも吸盤は、引っぱる前はスカスカで空気は自由に行き来しているようなので、引っぱることによって、シートが押しつけられて、漏れなくなる効果は大きいだろうと考えられる。

結局は、一般に言われるのと同じく「大気圧によってくっついている」ということになるのだが、「引っぱることによってくっつく」、というのはなかなか興味深い。

そういうわけで「引っぱる」必要がある一方、引っぱりすぎると外れてしまうというジレンマがある。そこを解決しているのが「リフター」などと呼ばれる、強力吸盤。それについては、またいずれ。(2007-08-03)

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