潜熱メモ 2008-04-04
英語では latent heat。たぶん、これを日本語訳したのが潜熱なのだろう。
対するのがsensible heatで、顕熱。
ふつう、熱は「温度の上昇」という形で目に見えるのに対して、潜熱は表に現れずに「潜んでいる」熱という意味。「熱」と呼ぶべきではない、という声もある。エネルギーというべきか。
潜熱には蒸発熱(気化熱)、凝縮熱、融解熱、凝結熱、昇華熱などがあって、その総称として「潜熱」ということばが使われるのがふつう。氷が解けて水になるときの〈融解熱〉は…、とはいっても、氷が解けるときの潜熱は、とはあまり言わない。
蒸発熱は、肌に塗ったアルコールが乾くときとか、水にぬれた手を風にかざしたときなどに体験するので、実感しやすい。
一方凝縮熱は、なかなか実感するチャンスがない。蒸発するときに大量のエネルギーを使ったのだから、水に戻るときには放出するはずである。
手に「ハーッ」と息をかけると暖かく感じるのは、大半が凝縮熱のためだろうと確信している。別に新発見というわけでもないだろうが、そのことに触 れな書物を見たことがない。ハンカチなどにハーッとやっているところを、裏側から放射温度計で測ると50℃を越えることがある。じっさい、かなり熱く感じ る。
手のひらにハーッとやってできた水は、すぐに蒸発するので凝縮熱でもらった熱はちまち蒸発熱として出ていってしまい、差し引きゼロになる。
フェーン現象は凝縮熱の好例だと思うのだが、解説しているものを読んでもあまり凝縮熱のことが書かれていない。『図解 物理のウンチクがたちまち身に付く本』でフェーン現象の記事を担当したので、思いっきり凝縮熱のことを書いた。
水が水蒸気に変わったとき、潜熱は水蒸気に「潜んでいる」のだと思うが、そう言ってしまっていいのだろうか。でも、そうでなければどこにあるんだよ。
「ハーッ」ではなく、「フーッ」と吹くと冷たく感じるのは、肌の近くの〈体温で暖められた空気〉が逃げてまわりの新鮮な空気が肌に触れるため、と考えられます。
そして、「ハーッ」が暖かいのは
>「それは息が体温で温まっているからでは?」
とぼくも思っていました。
・空気は熱容量が小さいので、口から手のひらに届くまでの間に冷めてしまうはず
・体温以上の温度にもなる
ということで、凝縮熱説が(ぼくの中で)有力になってきました。
加湿機でむしあつくなるのはどうだろう。まず、超音波式の場合はそもそも水が気化していない(細かい水滴)ので凝縮熱は関係なさそうです。空気中や壁で気化するだろうから、むしろ蒸発熱で涼しくなりそう。
加熱式の加湿機なら凝縮熱効果が十分考えられます。そもそも加熱しているから熱いという可能性もありますが。
サウナは、人が入る前に熱い部分に水をかけて室内を水蒸気で一杯にすると、壁や床に水蒸気が当たって水になるときに熱を発して部屋を暖める、と聞きました。(でも、その水が蒸発するときの蒸発熱でちゃらではないのか
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