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2009.11.14

「性同一性」って何だ?

「性同一性障害」という症状の意味はわかる。しかし、この用語の字づらを見ると訳がわからない。はじめは「性を同一視する」というような意味かと思った。でも別に男女の区別がつかなくなる障害ではない。むしろ、男女が逆とはいえ性別を強く意識しているのだから、「同一視」でも何でもない。

これが、gender identity disorderの訳語だと知って、納得はしたけれどもびっくりした。たしかにidentityには「同一性」「同一であること」という訳語があるしそれが原意ではあろうが、カタカナで「アイデンティティー」と書くことも多いように、gender identityといえば「自己の性別を認識する」という意味でしょう。「肉体的には男性なのに、自分を女性であると認識する」のが、gender identity disorder。

identifyやidentityは、日本語になりにくい翻訳者泣かせの言葉であることは確かなのだけど。

さて、今日放送大学を見ていたら「ジェンダー」に関する講義の中で、gender identityを 「性自認」と訳していて「おっ」と思った。これならわかる。「性同一性とも言いますが」などとは決して言わなかった。

ところが、話が進んでいって「自分のセックス(肉体的性別)とジェンダー(精神的性別)が異なる症状」のことを、「性同一性障害」と言います、というではないか。もちろん、これだけ普及していて恐らく正式な用語なのだから、それを使うのは当然なのだけど、直前で「性自認」という言葉を使っておいて、いきなり「性同一性」はないだろう。「この用語が作られた時には、gender identityを性同一性と訳したので、現在もそのままになっています」くらいの説明が欲しかった。いや、そんな説明するわけないんだけどね。

でも実はちょっと同情するところもある。「性自認障害」というと、「自認」という根本的な行為に問題があるような印象を受けるかもしれない、だから避けたのかな、とも。その点「同一性」だと全く意味不明だから腹も立たないかも。ちがうか。いずれにせよ「障害」という言葉にネガティブなイメージが伴うと考え始めれば、「○○障害」は全部ダメでしょう。

試しに「"性自認障害"(引用符付き)」を検索したら、149件しか出てこなかった。「"性自認"」は2万4700件、 「"性同一性障害"」は50万件も出てくるのに。

「認知症」もひどい用語だと思ったけど(今でも思っている)、ここまで普及してしまえば仕方がない。「性同一性障害」も甘んじて受けることにする。

November 14, 2009 at 12:11 PM in 日記・コラム・つぶやき |

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