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2009.12.21

「ごく」の使いどころ

ある小説に「ごく詳しいことまで」という表現があったのを読んで、少しひっかかった。「ごく」というのは、「こくわずか」「ごく稀に」などのやや「否定的」なことに使うものだと、なんとなく思っていたからだ。

【大辞泉】を引くと
・普通の程度をはるかに越えているさま。きわめて。非常に。「ごく親しい間柄」

と出ていた。

なるほど、「ごく親しい」は否定的でも何でもないか。ところが、

【大辞林】を見ると
・数量・程度などが少ない意を表す語に付いて、その程度がはなはだしいさまを表す。きわめて。この上なく。ひじょう。「ごく内輪に見積もる」「ごくつまらないもの」「お仙はこれでごく涙脆いぞや/家・藤村」

とある。

最後の例は「数量・程度が少ない」とは少し違うように感じるけれども、「なんとなくネガティブ」というぼくの感覚に近い。

では、「ごく親しい間柄」はどうだろうか。これ自体には全くネガティブな要素はないように見えるけれども、どういう時にこの表現をするか考えてみると、「ごく親しい間柄の者だけに教えよう」など、「限定しよう」という意図が働く時なのではないだろうか。少なくとも「あの人は〈ごく親しい〉友人です」とは、ふつう言わないと思う。「実はぼく、あの人と〈ごく親しい〉関係なのですよ」というと、そこには「排他的」な臭いがする。

ちなみに、手持ちの他の辞書は、

【明鏡】
1.程度がはなはだしいさま。極めて。「~親しい間柄」「~おおざっぱな性格」「~一部に副作用がある」
2.通常であるさまを強調していう。「~普通[当たり前の]生活」

【新明解】
・その程度が並はずれた(限界に達している)ものであることを強調する様子。「~親しい人/~上等の品/~当たり前の話だ/~少数の人しか知らない/~細」

ちなみに、「ごく」は漢字で書くと「極(く)」だが、「極上」などという時には、もちろんネガティブな意味はなく、あくまでも副詞的に使った場合の話。新明解の最後の例もそれ。

「ネガティブ」と言い切るのは難しいけれども、使える場面がかなり限られていることは確か。新明解の「ごく上等の品」は、違うのではないかと言われるかもしれないけど、何となく「イヤらしさ」がありませんか。考えすぎだろうか。

今のところ、大辞林だけが「少量限定」を言っているのが興味深い。

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Comments

「ごく」と言葉は、「否定的」なこと以外にも、「ごく当たり前に」使うものだと思っていました。もしかしたら、歴史的には「否定的」「限定的」な用語だったのが、少しずつ意味が広がってきているのかもしれません。

Posted by: NATROM | 2009.12.21 04:24 PM

NATROMさん、

コメントありがとうございます。
「ごく当たり前に」は、微妙でなかなか良いサンプルですね。
「極」の意味を考えると、どこかに「限定的」なニュアンスがあるのも不思議ではないのかもしれません。

Posted by: のぶ | 2009.12.21 06:16 PM

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