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2010.01.18

家族の呼び方

おじいさんが孫に向かって、「おかあさんに聞いてごらん」などと言う。その「おかあさん」は自分の娘であるにもかかわらず。

実は、おじいさんに限らず、その子の父親も母親自身も「おかあさん」と呼ぶ。子どもの前でそう言うのは当然かもしれないけれども、多くの家庭では大人同志の場面でもそう呼ぶ(私は56歳で末っ子が23歳になるが、妻と二人の時でも「おかあさん」と呼んでいる)。

これは、「呼称は一家の最年少に合わせる」という暗黙のルールによるものである。

3歳児に向かって、60歳の祖父が「娘に言ってあるから」などと言っても通じるわけがない。祖母のことを「妻が」とも言わない。

子ども自身を「あっちゃん」「はるくん」などと呼ぶのも、本人が自分をそう呼んでいるから。このバリエーションに、最近はあまり流行らないかもしれないけれども、小さな男の子を(本来の二人称である「あなた」ではなく)一人称の「ボク」と呼ぶ、というのがある。子どもには「この場合の『あなた』は自分のことである」という相対的な変換が難しいからだろうと思う。

アメリカに駐在していた頃、3歳くらいだった娘が英語を少し覚えたので、翻訳させたことがある。

"I like icecream? " は?

と聞くと、こう答えた。

「えっちゃん、アイスクリーム大好き」

「好きではなく」「大好き」のいうのにもひかれたが、何といっても「I」が「えっちゃん」に変換されるのが楽しい。そりゃそうだ、その頃「わたし」とも「あたし」とも言っておらず、自分の呼び名はそれしかなかったのだから。

(しかし考えてみると、英語では小さな子どもでも"I"や"me"を使うし、子どもに対しては"you"を使うのだから、上に書いた「子どもには変換が難しい」という説には無理があるかもしれない。)

小さい子が何人かいる場合でも、必ず「最年少」に合わせるというルールは変わらない。兄と弟がいると、兄は家中から「おにいちゃん」と呼ばれる。弟に対して自分を「おにいちゃん」と呼ぶことさえある。さすがに、母親に対して自分をそう呼ぶことはないと思うが。

兄は、(一家の最年少)である弟から見れば「おにいちゃん」なので、誰からもそう呼ばれるわけである。知人は娘が2人とも成人しているけれども、私に対してでも長女のことを「おねえちゃん」と呼ぶし、私もそう呼んでいる。

さて、最後にちょっとしたクイズを。

『1リットルの涙』というテレビドラマを見ていたら、主人公で長女の亜也のことを、妹の亜湖が「亜也ねえ」と呼んでいた。自分は二女だから、「ねえさん」は一人しかいないのに、なぜ「ねえさん」ではなく「亜也ねえ」と呼ぶのだろうか?

【答え】実は、二人の下には弟と妹がいた。彼らにとっては「亜也ねえ」と「亜湖ねえ」を区別する必要があるので、その必要のない亜湖も、それに合わせて「亜也ねえ」と呼ぶのだろう。

台本を作る人は、こういうところまで考えて作っているのだと思うと感心する。

January 18, 2010 at 08:52 AM in 日記・コラム・つぶやき |

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