ニセ科学フォーラムに参加してきた。ニセ科学に関する話題はネットあちこちで書かれてきたし、AERAなどメディアにも少しづつ露出してきた。3月に日本物理学会では「ニセ科学シンポジウム」が開かれて、そのことが朝日新聞に載るなど一歩一歩前進してきたところで「一般向け」としてこと「ニセ科学フォーラム」が開催された。
一週間前に京都で行われ、今回は同じ講師が東京に来て再度講演した。
内容は以下のとおり。
○ニセ科学と科学技術リテラシー(左巻健男@同志社女子大)
○『水からの伝言』のニセ科学(菊池誠@大阪大)
○「マイナスイオン」どこがニセ科学か(小波秀雄@京都女子大)
各40分間の提案と10分間の質疑。最後に40分間の討論の時間がとられた。
司会進行は、物理学会のシンポジウム提案者の田崎晴明さん(学習院大学)
「ニセ以学入門」として、左巻さんが「ニセ以学一般」、菊池さんが、今いちばんホットな『水からの伝言』、小波さんが普及度最高ニセ科学「マイナスイオン」について、やさしく詳しく話してくれた。
特に『水からの伝言』については、「本が出ているだけならまだ放っておいてもよかったが、学校現場で道徳の授業に使われた、というのが多くの人たちを動かした要因。
田崎さんによるこの本の「長い書評」はこちら。
道徳の授業に使われている話については、たとえば「水商売ウォッチング」運営者である天羽優子さんの記事が詳しい。
道徳の時間のネタとして、「事実でない話をする」という意味では、「寓話」を用いることもあるが、これが「事実でない」といって問題になることはない。ツルとキツネの童話を題材にしたとして、もし誰かが「キツネがしゃべるわけはない」と言ったとしても、「これはおはなしだから」といっても構わない。(納得するかどうかは別だが) ところが、『水からの伝言』の話は、「事実」として最後まで通さないと成立しない。「水にことばをかけると結晶の形が変わるのは、実はウソです」と言ってしまうわけにはいかない。
会場では「それでもいいじゃないか」という意見も出たが、実際これが元で教師不信に陥いった子どもがいるというし、「ウソだ」と言って叱られた例もあるというから、それだけ考えてもマズイだろう。
このあたりの詳しい話は菊池誠さんのブログ(kikulog) に詳しい。(他の話題も多いので探すのはちょっと面倒かもしれない)
田崎さんの「科学と『ニセ科学」をめぐる風景」という記事(物理教育学会誌54巻3号(2006年9月)の「企画」欄への寄稿)も必見。
濃密な講演(約150名が参加)の後、目日のカフェでの懇親会に約40人が集まって楽しく過ごした。菊池さんのテルミンの生演奏(なんと、即興でピアノ伴奏も)を聞けたのも収獲。
ぼくはといえば「どこでも吸盤」「トンでも吸盤」をデモンストレーションするのに忙しくてロクに料理を食べられなかった。
みなさん、お疲れさまでした。
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