2008.04.19

ブリタニカがタダ?

ブリタニカと言えば世界に冠たる百科事典。Wikipediaと比較されたりいろいろあるけど、オンライン版も有償で専門家スタッフがいるなど差別化を打ち出している。  そんなブリタニカを、ブロガーならただで使えるようになった。『ウェブパブリッシャー」であることが条件だというけど、定義は曖昧。ぼくも申し込んでみた。まだ承認されるかどうかわからないけど、とりあえずしたのウィジェットを貼付けてみた。

よくわからないのだけど、ランダムに項目が出るらしい。

April 19, 2008 at 07:04 PM in 科学 | | Comments (4)

2008.04.07

電気湯沸かしは無駄がない

少し前から電気湯沸し機を使っている。いわゆる「湯沸しポット」ではなくて沸す専門のこんなやつ。

Dscf0028

T-FALの似たような(あっちが元か)のがあるけど、これは無名メーカー製。

 

その昔、父から「熱は最低のエネルギー形態だ」というようなことを言われたことがある。運動とか力とか電気とかは、何かほかの形のエネルギーになるチャンスがあるけれども、熱になってしまうと(大きなロスなく)別の形にすることができないから、ということだったと思う。エネルギーの最終形、なんていう言い方をするかもしれない。

薪なんぞは、そもそも燃やして熱にするしか使いようがないのだが、電気は無限の使いみちがある。だから、電気ををむざむざと熱に変えてしまうのはもったいない気がする。エアコンの暖房はまさにそんな気がする。何しろ、電気でモーターを回してヒートポンプで空気を圧縮して…などいろいろやって最後にゆるやかに部屋を暖めるのだから。

ハロゲンヒーターはその点かなり直接的でよろしい。空気を暖めるのではなく直接人間を暖める道具としてはかなり優れている。が、逃げる分も多い。だから、こんな工夫をしてみたりもするのだが。

そこで電気湯沸しである。
中はこんな風になっている。

Dscf0029

ヒーターが見えている。発熱体を水で囲うのだから熱効率は良さそうだ。間には空気もないし、他に逃げようにも逃げられない。たいていの高出力の道具は発熱対索として冷却するのだが、こいつは冷却すること自体が水の温度上昇の役に立つのだから言うことはない。

実際のエネルギー効率とか料金的にどうなのかは知らないけど、かなりいい線を行っていると思う。

そういえば、形はずっとスマートだけど、湯沸しポットもヒーター部分は同じような理屈だろう。しかも保温性がいい。ただし、使うかどうかわからないのに温度が下がると沸かし直すというところが、いわば「ぜいたく」だ。電気は沸かすだけに使って、あとは純粋に魔法びんとしてのみ保温する方式のもあるというから、それで必要なときだけ再沸騰させる使い方がよさそう。ほしいときに「すぐに」お湯はないかもしれないけど、そのくらい待てや。

April 7, 2008 at 03:23 PM in 科学 | | Comments (1)

あなたはラッキー

こんなバナーがでていた。

Lucky

ジョークではありません-当選おめでとうございます!
あなたはこのラッキーなバナーを「49億3143万9359番目」に見た訪問者です。

というようなことが書いてある。クリックしたことはないので何の広告だか知らないけれども、書いてあることがなかなか示唆的である。

この手の「おめでとうバナー」は、インチキ広告の常套手段なので「そうではありませんよ、ジョークではなくあなたは当選したのですよ」と一行目は言っている。
で、その後「49億番目のラッキーな人」だと。(数値がインチキかどうかはこの際問題ではない)

「あなたは49億人の中から選ばれた」などと白々しいことを言わずに、49億人が当選していると正直に書いてあるのだから良識的だ。

実をいうとこの話題を書こうと、わざわざ上のバナーを切り取ったときには、
「 この4,931,439,359というラッキー数字を見たのはあなただけです」
と書いてあるのかと思っていた。
それで「あらゆる数は同じくらい珍しい」というネタを正しく表していると思って感心したのだった。全く趣旨は違っていたけれども、せっかくだから書きました。

April 7, 2008 at 10:41 AM in 科学 | | Comments (0)

2008.04.06

トンでも吸盤の認知度

認知度などという言葉を使うほどにも知られていないのは明らかのですが、ウェブというやつはほとんど誰も知らないようなことでも見つかりますからね。

トンでも吸盤はこれまでにもいくつかのページで紹介していただいていましたが、またひとつ見つけました。先週の「東日本たのしい授業フェスティバル」で買ってくれた方のページです。

動画までアップしてくれています。ぼくも動画を作らねばと思っているのですが、つい先延ばしになっています。


April 6, 2008 at 04:47 PM in 科学 | | Comments (0)

2008.04.04

潜熱メモ 2008-04-04

英語では latent heat。たぶん、これを日本語訳したのが潜熱なのだろう。
対するのがsensible heatで、顕熱。

ふつう、熱は「温度の上昇」という形で目に見えるのに対して、潜熱は表に現れずに「潜んでいる」熱という意味。「熱」と呼ぶべきではない、という声もある。エネルギーというべきか。

潜熱には蒸発熱(気化熱)、凝縮熱、融解熱、凝結熱、昇華熱などがあって、その総称として「潜熱」ということばが使われるのがふつう。氷が解けて水になるときの〈融解熱〉は…、とはいっても、氷が解けるときの潜熱は、とはあまり言わない。

蒸発熱は、肌に塗ったアルコールが乾くときとか、水にぬれた手を風にかざしたときなどに体験するので、実感しやすい。

一方凝縮熱は、なかなか実感するチャンスがない。蒸発するときに大量のエネルギーを使ったのだから、水に戻るときには放出するはずである。

手に「ハーッ」と息をかけると暖かく感じるのは、大半が凝縮熱のためだろうと確信している。別に新発見というわけでもないだろうが、そのことに触 れな書物を見たことがない。ハンカチなどにハーッとやっているところを、裏側から放射温度計で測ると50℃を越えることがある。じっさい、かなり熱く感じ る。

手のひらにハーッとやってできた水は、すぐに蒸発するので凝縮熱でもらった熱はちまち蒸発熱として出ていってしまい、差し引きゼロになる。

フェーン現象は凝縮熱の好例だと思うのだが、解説しているものを読んでもあまり凝縮熱のことが書かれていない。『図解 物理のウンチクがたちまち身に付く本』でフェーン現象の記事を担当したので、思いっきり凝縮熱のことを書いた。

水が水蒸気に変わったとき、潜熱は水蒸気に「潜んでいる」のだと思うが、そう言ってしまっていいのだろうか。でも、そうでなければどこにあるんだよ。

「ハーッ」ではなく、「フーッ」と吹くと冷たく感じるのは、肌の近くの〈体温で暖められた空気〉が逃げてまわりの新鮮な空気が肌に触れるため、と考えられます。
そして、「ハーッ」が暖かいのは

>「それは息が体温で温まっているからでは?」

とぼくも思っていました。

・空気は熱容量が小さいので、口から手のひらに届くまでの間に冷めてしまうはず
・体温以上の温度にもなる

ということで、凝縮熱説が(ぼくの中で)有力になってきました。

加湿機でむしあつくなるのはどうだろう。まず、超音波式の場合はそもそも水が気化していない(細かい水滴)ので凝縮熱は関係なさそうです。空気中や壁で気化するだろうから、むしろ蒸発熱で涼しくなりそう。

加熱式の加湿機なら凝縮熱効果が十分考えられます。そもそも加熱しているから熱いという可能性もありますが。

サウナは、人が入る前に熱い部分に水をかけて室内を水蒸気で一杯にすると、壁や床に水蒸気が当たって水になるときに熱を発して部屋を暖める、と聞きました。(でも、その水が蒸発するときの蒸発熱でちゃらではないのか 

April 4, 2008 at 03:33 PM in 科学 | | Comments (0)

2008.04.02

「潜熱」を理解する、させる

メモ:潜熱を理解したい、させたい

蒸発熱(気化熱)、凝縮熱。
・息を「ハーッ」とかけると熱くなるのは凝縮熱のために違いないと思っているが、確認されているのか
・英語では潜熱をlatent heatというが、使い方が微妙に異なる。
・水が蒸発したときの潜熱は水蒸気の中に「潜んでいる」と考えていいのか
Maxwellの "Theory Of Heat"
Braggの "Concerning the Nature of Thing"
が役に立つ。あとファインマンも
・動きの速い分子が飛びだすから温度が下がるというのはわかるが、潜熱がうまく説明できていない気がする

とりあえずメモ。

April 2, 2008 at 08:25 AM in 科学 | | Comments (0)

2008.01.06

ツンデレ吸盤

トンでも吸盤の初カスタマイズ版。

Tsundere

2007年夏のコミックマーケット等で販売され、その結果「コミック・リュウ」2008年1月号にとりあげられたとのことです。

機能はトンでも吸盤と同じ。ただし、デザイン部分の厚みのためにふるまいはやや異なります。

イベント以外では販売されていませんが、うわさを聞きつけたマニアの間で秘かに評判になっているとか。

説明書は、オリジナル版を忠実?に「ツンデレ調」に翻訳したもの。

January 6, 2008 at 09:32 PM in 科学 | | Comments (0)

2007.11.27

放射熱暖房の新聞広告

新聞にこんな広告が載っていた。
Ir0 一般に、広告の文句の中に「遠赤外線」が出てくるとロクなことがないのだが、これはまさにその遠赤外線の放射を利用した暖房だから、その点何の問題もない。いえ、「その点」に限らず、はじめに言っておくと、これはそうヘンな広告ではない。

放射熱を使った暖房は、一般の「対流による暖房」よりも、こんなにいいですよ、という宣伝だ。






Ir2 ふつうのストーブやエアコンが「空気を暖める」のに対して、放射式の暖房は空気を通り越して、人のからだを直接暖める。ハロゲンヒーターも同じ原理。たき火やストーブに「あたって暖まる」というときも、暖まった空気ではなく、火から直接、熱(赤外線)を受ける。

そのことを説明しているのが、左の文章と、次の絵。



Ir1

上の絵が、ふつうと少し変わっているのは、赤外線が壁に当たってはね返ってくる部分。直接からだに当たるほかに、壁からはね返った熱でも暖まる、というところ。さて、これはどうだろう。

赤外線は光と同じく電磁波の一種で、たしかに「はね返る」ことはあるのだが、ふつうの壁に当たると、ほとんどはね返ることはなく「吸収」されてしまう。では上の絵はウソかといえば、そうともいい切れない。赤外線は、暖房機からだけ出ているわけではなく、からだからも壁からも、その温度応じて発せられている。よって、壁から赤外線が出てくる絵はウソではないのだが、壁はとりあえず「冷たい」から、そこから出てくる赤外線は暖かくはない。(むしろからだが壁を暖めている)

上の絵のような状態になるのは、(暖房機によって)壁が十分に暖められて、そこから十分な強さの赤外線が発せられるようになった時である。しかし、果してそんな状態になるのだろうか。壁はその奥の空間やコンクリートに向かっても熱を(伝導や放射で)放出するので、これを十分に暖めるのは容易なことではない。「十分」と書いたけれども、1メートルも離れた壁からくる赤外線を「暖かい」と感じるためには、おそらく触れないほどの温度にしないといけないだろう。

よって、上の絵でおかあさんに当たる赤外線は、〈サンルーム速暖DX〉から水平に出ている1本だけだけ、というのが私の予想。

本当に熱を「反射」させたかったら、「反射率の高い」壁でないといけない。目に見える光ならば「白色」ならよく反射するが、赤外線を反射するのは「金属のピカピカした面」、特にアルミホイルの光沢面がよろしい。つまり、壁一面をアルミホイルで覆えば、壁はそれほど熱くならずに、熱が反射してくることが期待できる。

そんな実験をしたのがこれ。

Ir_ref

小さなハロゲンヒーターを有効活用しようと、足のむこう側にアルミホイルを貼った段ボールを置いてある。もっとも、どれほど効果があったのかはキチンと測ったわけではない。心理的には「大いに効果がある」と思っているが。

さて、この広告には金属面の反射率に関する実は重大なヒントが隠されていた。

Ir3 金属(この場合はクロムメッキ)面が、赤外線をよく反射するのでガードが熱くなりにくい、というのはこれまで見たことのない秀逸な説明である。

だから、壁も同じように金属にしないことには反射してくれないのだが。

November 27, 2007 at 03:37 PM in 科学 | | Comments (0)

2007.10.16

分子模型を作る

このところ分子模型に凝っている。

以前から仮説実験授業をやっている人たちの間で普及しているのが、この発泡スチロール球で作るもの。

Img_0021

球に色を塗っている時の風景はこう↓

Img_0018

早く乾くようにと、外に干すことも。

Img_0005

とにかく作っていても楽しいし、出来あがったものを見ていても楽しい。

070819_134327

これは、エタノール(黒が炭素、赤が酸素、白が水素)で、「犬」みたいでかわいい。後ろ足を120度回転されるともっと犬らしくなるのだけれども、化学としてはこうやってずれているのが正しいらしい。でもって、片足をあげているように見えるので「オシッコ犬」ともいいます。

驚いたことにに、アメリカの人のウェブ(Flickrという写真共有サイト)にも、
"dog-shped molecule" と称して、エタノールの写真が。

別のウェブには、 "pissing dog shaped"(オシッコ犬の型)という表現もありました。犬のオシッコが万国共通なのはあたり前か。

もう一つの分子模型

さて、すっかり気に入っているこの発泡スチロール分子模型ですが、つい最近買ってきた分子模型も面白い。こちらは「作る」のではなくて「組み立てる」タイプ。そういうものは以前からいろいろあるのだけど、このたび朝日新聞(東京10/13夕刊)紹介されていたのが、「モルタロウ」というもの。

Img_0210

向こう側がエタノール、手前左がベンゼン、右がシクロヘキサン。

こちらは青いのが炭素なのだが、2重結合用と単結合用とで部品が違う。ベンゼンは、ひとつおきに二重結合になっている。これを作ってから、「それでは同じく炭素6個のシクロヘキサンを」と思って、今度は「単結合用(手が4本)の部品を使って作りはじめたら、5つくらいで環が閉じてしまいそうになった。「あれ?」と思ったが、よく考えてみたらシクロヘキサンは平面にはならない。4本の手は109度でついているので、角度をつけて繋がないと環にならない。おお、そういえば「シス」と「トランス」とがあったな。ペコペコと折り曲げると「いす型」にも「舟型」にもなる。ちなみに、二重結合のところは回転できないように作られているので、ベンゼンは、折り曲がらない。

作って、見て楽しむスチロール球と、簡単に組み立てて結合を理解するモルタロウ、どちらも楽しいし、役に立つ。

頭でわかっていても、こうして手で触れるとまるで違うことがよくわかる。

October 16, 2007 at 10:43 AM in 科学 | | Comments (0)

2007.09.19

おでこ体温計「サーモフォーカス」の真相

何度か書いてきた、〈おでこで測る体温計〉「サーモフォーカス」を先日入手した。目的は「本当に使えるのか」ということ。

買おうとした段階で「扱いが難しいのでシロウトには売るな」的な表示があったので、ある程度は予想はついていたのだが、製品のパッケージに入っていた紙にはびっくりするようなことが書いてあった。

結論からいうと、「初めて聞いた時の予想どおり」。つまり、「おでこの温度から体温を正確に推定するのは無理」ということ。

サーモフォーカスには「フェースボタン」と「ホームボタン」があって、おでこで体温を測る時にフェースボタンを使い、ホームボタンは一般の放射温度計のように体温以外のものを測る時に使うとカタログにも説明書にも書いてある。 おそらく、どちらの押した時も測定方法は変わらず、表示する前に換算する(フェース)、しない(ホーム)の違いだけだろう。

さて、製品に同封されていた問題の資料はこれ。

Thermo0

「承認番号」とか「類別:機械器具(16)体温計」とか難しいことが書いてあるが、役所の書類のようではない。
二番目の赤枠で囲まれたところを拡大したのがこれ。

Thermo1

「舌下温への変換」というのはおでこを測って体温を測ることのはずだが、それが「副次的な機能」だってぇ?? で、「体温として取り扱わないこと」だとのこと。じゃあ、何に使うのだろう。

使い方の説明のところがこれ。

Thermo2_2

上に書いてある「ホームボタンを押して測る」のが「体温測定」で、おでこで測るのが「副次的機能だとここにもはっきり書いてある。子どものイラストまでつけて「副次的」?

要するに、「おでこの温度を測っても、体温を正確に測ることはできなかった」ということが判明したということです。

もちろん、「役に立たない」ということではなくて、病院で条件を整えて使えば使い道はあるのだと思う。ぼくの持っているふつうの放射温度計でおでこを測ると、ちょっとしたことで1℃くらい変動するが、汗をふいて30℃くらいの部屋で測ると、大体33~34℃あたりにおさまっている。体温計は使っていないけど、平熱だろうから36.0~36.5℃というところ。おでこ温度が35℃とかになれば「熱がある」ということはわかるだろうから、たしかに役には立ちそうだ。 しかし、手のひらや、お母さんのおでこで触っても熱があることはわかる。

過去の記事はこちら

2006.02.03 おでこで測る体温計「サーモフォーカス」への期待と不安

2006.11.04 「おでこ体温計」サーモフォーカス、再び

2007.08.11 再びサーモフォーカスを追究する

September 19, 2007 at 12:48 AM in 科学 | | Comments (3)

2007.09.03

吸盤が真空中では落っこちるテスト

吸盤は空気がないところでは使えない、という実演。 ガラスびんの内側に小さな吸盤をいくつもくっつけておき、「エアーフレッシュ」という簡易真空装置でびんの中の空気を抜いていく様子。 もちろんどんな吸盤でもよいのだが、ふつうの大きさのものだと「なかなか落ちない」。 その点、この吸盤は実にいい具合に落ちてくれる。そんなことをいうと、「放っておいても落ちるくらい弱いのでは」と思うかもしれないが、そんなことはない。何もしなければ何日間もくっついているだけの力はある。 実験としては1つでもいいのだが、たくさんつけておいてパラパラと落ちてくるさまが特に楽しい。 この小さな吸盤は外国製の工作セットのようなものについていたのだけれど、ふつうに入手できるかどうか探してみよう。

September 3, 2007 at 11:52 PM in 科学 | | Comments (2)

2007.08.27

踊るパラパラロボット

ゼンマイでパラパラダンスをするロボットに、こんなものを持たせてみました。
ばかばかしさ100倍で楽しい!

うしろのゴーヤチャンプルーなどは気にしないでください。

August 27, 2007 at 01:31 PM in 科学 | | Comments (2)

2007.08.11

放射温度計で体温を知るために

サーモフォーカスは、放射温度計で測定したおでこの表面温度を、あらかじめ作っておいた対応表に従って体温に変換する。

それだけしかやりようがないと思っていたが、もうひとつ使えるデータがあった。周囲の温度(室温)だ。

放射温度計は測定対象物が発する熱線(赤外線)をサーモパイルの一端で受け、もう一端との電位差から温度を計算する。電位差からわかるのは、両端の温度の「差」なので、他端の温度を別の温度計で測っておいて、それとの差し引きで温度がわかるというわけ。

だから、放射温度計の中にはふつうの温度計が入っている。サーモフォーカスは室温を表示できるらしい。実はぼくが今使っている機種も、ふだんは室温(ポケットの中の温度であることがほとんどだが)を表示している。

おでこを含めて体表面の温度は周囲の温度によって大きく変化するというのがぼくの説。サーモフォーカスがそれをどう解決するのかが不思議だったのだが、「周囲の温度」を考慮することが可能ではないか!
おでこ温度と体温の対応表を作る際に、室温をいろいろ変えてやってみて、もし室温によって変わるのであれば、室温も入れて3次元の表にすればよい。
果してそんなことをしているのかどうかはわからない。

ふつうの放射温度計で体温を知るには、自前で「対応表」を作ればよいのだが、考えてみたらそれは容易なことではない。人の体温はそうそう変えられない。それでも、平熱の時の「おでこ温」を測っておけば、実用的には十分だろう。その時に室温も測っておけばよい。夏と冬で同じとは思えないんだよね。

おでこ温を測った時に、室温を考慮に入れたいがふつうの放射温度計では室温がわからない。内部的には持っているのだが、表示されないのだ。「くやしいっ」と思ったが、大丈夫。近くにあるものを測ればいいのだ。室内にあるものはおよそすべて室温と同じ温度になっているのだから。

とりあえず、今日から思いつくまま測っておこう。
体温は面倒だから、室温とおでこ温だけ。

07-08-11土15:19:27 でこ温 34.6 室温 35.4

この暑さだと、体温も高いのかもしれないけど。

August 11, 2007 at 03:21 PM in 科学 | | Comments (0)

再びサーモフォーカスを追究する

この一年は吸盤に夢中で、まだまだ仕事は残っているのだけれども、その前にハマっていた放射熱と放射温度計のことも思い出してきた。

中でも「サーモフォーカス」という「おでこで測る体温計」のことがまた気になりだした。

Thermofocus

2006.02.03に
おでこで測る体温計「サーモフォーカス」への期待と不安

2006.11.04に
「おでこ体温計」サーモフォーカス、再び

を書いたのだが、ぼくの疑問は「放射温度計でおでこを測って安定した体温を測定できるのか」という点。

体表面温度が外気などで大きく変化することは、放射温度計を買って以来、身をもって体験しているし、ためしに手持ちの放射温度計でおでこを測ってみたが、汗をかけばもちろん、特に変化を感じくても1~2度は平気で変わった。体温の変化のためとはとても考えられない。

サーモフォーカスが2万5000円もするからといって、赤外線放射温度計である限り、どんな補正をしようとこれを解決できるとは思えない。

しかし、医療器具として認められているようだし、実際に使っている医療機関もあるらしい。

そんなわけで、これは「買ってみるしかない」という結論になった。何か秘密があってちゃんと使えれば、すばらしいことだし、思ったとおり不安定なら仮説が正しかったことになるので、それも嬉しい。この際2万5000円は研究開発費として納得できる。

ネットで探したところ、通販サイトがみつかったので注文画面に行く。そこに

サーモフォーカスご注文の前に 必ずお読みください

というのがあって、こんなことが書いてあった

非接触式体温計サーモフォーカスは、次のような場合には誤作動する可能性があります。
 1 測定は額でします・・・髪の毛、眼鏡、衣類があるとダメです
 2 風が直接当たる場所では測れません・・エアコンなど
 3 直前まで歩いていた場合、外出していた場合
 4 直前まで冷凍スポンジ、冷温湿布を額に当てていた場合
 5 入浴やシャワー、シャンプー、ヘアドライヤーの使用など、額の熱を上げるような行為をしていた場合
 6 直前まで帽子やスカーフを着用していた場合
 7 サーモフォーカスを温度の違う部屋に置いていた場合
 つまり、このサーモフォーカスは、隣の寒い部屋から入ってきたり、寒いところに置いていたサーモフォーカスを持ってきても正確な値は出ないわけです。
 ということで、病院などのような、「施設」と「被体温測定者」と「サーモフォーカス」が安定した気温の場所にある(5分以上)ことが前提で正しく体温が測定できる構造になっています。
 (室温との誤差が計算できる仕組みです・・、ですのでサーモフォーカスは常時室温を表示しています)
 個人の家での使用も同じように、「サーモフォーカス」と「被体温測定者」が両方とも同じ場所に5分以上「ある」ということが正確な体温を測るための条件となります。
 この点をご理解いただけない場合は「クレーム」となってしまう場合がありますのでご確認ください。
 なお、「わき」の体温と「額」の体温は個体差がありますので、常温を知っておく必要もあります。
(額は少し高いような気がします・・・私の場合ですが(^_^))
 欧州、上海あたりでは当たり前の体温計になりつつあるようですが、日本ではまだ発売されたばかりですのでメーカーとしても私たちとしてもこの点を大変危惧しています。

 ・・ということで、メーカーからは今のところ販売先は気温が安定している施設へ、販売方法は対面販売にしてくださいとの指示が来ているわけです。

 充分ご理解していただけていれば、通販もアリだとは思いますが、体温自体が重要な判断基準になるため慎重に販売していきたいと考えています。

ということである。すべては、ぼくの仮説と符号する。
これを読めば買わなくてもいいようなものだけれども、「5分置けば使える」のが本当かどうかも調べてみたいし、何といっても現物を触ることは重要なので注文した。

届くのが楽しみだ。

ここまで書いてからウェブを探したら19,800円で売っているところがあった。さっきのところのキャンセルは効くかもしれないけど上の説明文を読ませていただいた縁で、このままにすることにした。ちなみに安い方のサイトにも、こんな注意書きがしてあった。

注意!)
こちらの商品は、医療関係者の方向けの商品となっております。
操作が特殊なためと、アフターやサポートが行き届かないケースもございますので、
一般家庭でのご利用はご遠慮下さい。
また、製品の性質上初期不良以外の返品交換などは、一切お受けできませんのでご了承下さい。

http://www.kyoto-wel.com/item/IS81136N01203.html

August 11, 2007 at 01:52 PM in 科学 | | Comments (0)

2007.08.06

湿度と戦う

この仕事部屋ではエアコン無しで乗り切ると決めている。
窓を開けて、(時には玄関のドアも開けて)扇風機を回し続けてまあ何とかなっている。

しかし、プリンター問題以来「湿度」が気になるので除湿機を動かしてみた。母屋で洗濯物の乾燥に使っていたもの。

除湿機の表示によると湿度は48~50%。壁にある湿度計も同じようなところを指している。温度は35℃。それでも案外平気なのは、湿度のせいなのだろう。汗は少しにじみでるけれども、耐えられないほどではない。エアコンのない頃の東京の夏といったところか。実際そのとおりなのだが、除湿機がないとそうならないとすれば、困ったものだ。

湿度についてはいろいろと書きたいことがあるのだけど、とりあえず今日は「人は、どうやって湿度を感じるか」ということ。

ジメジメした気候の時に「どんよりとして空気が重い」なんていうことがある。物のたとえなので真に受けるのもなんだが、「湿気を多く含む空気」は、そうでない空気よりも実際には「軽い」。空気の分子量が約28.8なのに対して、水(水蒸気)は 1×2+16=18なのだ。

が、問題はそんなことではない。空気の比重が少々かわったところでそんなものが体感できるわけではない。(まわりの気体が全部水蒸気になるわけではなくて、湿度が高いといっても水蒸気の量はほんのわずか)

われわれが「ああ湿っているな」と感じるのは、体表面の水分(たいていは汗だろう)の「乾きやすさ」の違いだろう。湿度が低ければ乾きやすいので汗が蒸発する。その時の潜熱(蒸発熱)を体から受け取るので体表面の温度が下がる。湿度が高くて蒸発しにくくなると、この効果が減るので「蒸し熱く」感じる。ということだろうと思っている。誰にも確認したことないけど。

部屋の中の物が湿気を吸って、それを触って「湿気を感じる」こともあるかもしれない。はだしで歩いていると床の湿気を感じるような気がすることがあるのだが、もしかするとこれも「足の裏表面の蒸発熱」の違いを感じているのかもしれない。要確認。

August 6, 2007 at 11:55 AM in 科学 | | Comments (1)

2007.08.02

活きた水

北海道の研究会に行った帰り、札幌駅近くの店で、先にトイレから戻った友人(女性)が「すごいことが書いてあるよ」という。トイレで「すごいこと」って、あまり嬉しくないなぁ。でも女性が言うのだから、そんなに口に出せないほどのことではないだろう、と思ってトイレに入り、閉じたドアを見ると、これが貼ってあった。

070731_143229

そういう意味だったのか。

友人は「〈ぼくにとっての〉ひどいこと」という意味で言ったのであった。

アルカリイオン水は、ぼくは興味はないけど格別怪しいとは決めつけられない。しかし、

「水中の有害成分をほぼ一掃」って、あんた。

突っ込まれることも、説明をすることも全く想定していないから何でも書けるのだろうが。

このお店の食べ物もお茶もおいしかったです。
もしかしたら「活きた水」はトイレで使っていたのかもしれません。

August 2, 2007 at 11:42 AM in 科学 | | Comments (0)

2007.06.15

チタンの結晶

1月に「世界一美しい周期表」という記事で「タングステンの結晶をもらったので、あとで写真載せます」て書いていたことが、つい最近コメントをもらって発覚。写真を忘れていたばかりか、よく考えてみたらあれはタングステンではなくてチタンだったことを思い出した。
タングステンの方がずっと重い。(タングステンの比重は19.25、チタンは 4.5)

これ↓が現物

Vfmi0169

まるで銀紙をクチャクチャにしたようにみえるけど、これが生のチタン結晶。

端のつまみのような部分は(たしか)モリブデン。チタンのワイヤーの両端にモリブデンをくっつけて、ピンと張った状態で、「ヨウ化タングステン」(たぶん)の蒸気の中で(たぶん)電気を流すと、純タングステンが析出するという仕組みらしい。

で、長いワイヤーの端っこの、端子に近い部分はモリブデンで汚染されているので製品にはならず、こうしてオモチャになっているというわけ。たしか、99.9999%くらいの純度のものを作っているので、この部分だって 99.9%くらいの純度だろうと勝手に思ってます。

June 15, 2007 at 01:41 PM in 科学 | | Comments (0)

2007.06.06

『R25』に《ニセ科学批判本》のブックレビュー

『R25』に《ニセ科学批判本》のブックレビューが掲載された。
大変喜ばしいことです。
http://r25.jp/index.php/m/WB/a/WB000200/tpl/book_11/bkn/20070531/id/200705310301

本の選択がシブイ。

なぜ人はニセ科学を信じるのかI
著:マイクル・シャーマー、訳:岡田靖史/早川書房/735円

水はなんにも知らないよ
左巻健男/ディスカバリー携書/1050円

〈スピリチュアル〉はなぜ流行るのか
磯村健太郎/PHP新書/756円

千里眼事件
長山靖生/平凡社新書/750円

疑似科学と科学の哲学
伊勢田哲治/名古屋大学出版会/2940円

超常現象をなぜ信じるのか
菊池 聡/講談社ブルーバックス/903円

どれもおススメです。
( Amazonのリンクは、R25のアソシエートです)

June 6, 2007 at 08:32 AM in 科学 | | Comments (0)

2007.05.30

創造論のおかげ

リチャード・ドーキンスの"Blind Watchmaker"(和訳は『盲目の時計職人』)という本を読んでいる。ダーウィンの進化論に関わる話で、かなり面白い。

ひと口に進化論といってもいろいろ難しいようで、ぼくもまだほとんどわかっていないけど、いくつかわかったことがある。

・いきなり変異したのではなく、段階を踏んで変わってきた
・そう言われてもなかなか理解できないのは、要した時間があまりにも長くて、秒、分、時、日、月、年単位の感覚では想像がつかないから
・種は目的を持って作られたわけではなく、突然変異によってできたもののうち、子孫を残しやすいものがたまたま残っただけ

などなどなど。

進化論者の中にもいろいろ派はあるらしいし、難しいことはわからないけど、とにかく面白い。

さて、創造論とか「インテリジェント・デザイン(ID)」というのは、進化論をまっこうから否定する。「論」とつけるのもためらわれるようなおとぎ話で、進化論のさまざまな研究成果を見るにつけ、「偉大な研究をあんなもの(創造論)が批判すること自体が失礼」と思う。

ところが考えてみると、ぼくが今進化論に興味を持っているのは創造論やIDの話を知ったからなんですよね。進化論のことはもちろん前から知ってい たし「どうやって魚から人間ができたんだ」くらいの疑問は持っていたけど、それ以上知ろうとも思わなかった。それが、創造論がきっかけで本を読むように なったのだから皮肉なもの。特にドーキンスは「アンチ創造論」的な文章をたくさん書いていて、創造論者からもターゲットにされている。

昔ながらの創造論は単に「神がおつくりになった」くらいの話で、進化論を直接批判することもなかったので何の役にも立たなかったのだけど、IDは結構細かいところを突いてくるので、進化論を勉強しないと、うっかりすると論破されてしまうのだ。

「『目』のような複雑なものが、自然選択の結果できるはずかない」(だから、知的なものがデザインしたのだ)
「段階的に進化したというが、「半分の目」など役に立たないから、おかしい」

などと言ってくれるので、それに反駁するかたちでドーキンスが解説してくれるとわかりやすいのだ。

ドーキンスにはスティーブン・J・グールド(故人)という、いわば論敵がいて、ぼくはグールドの方が好きだったのだけど、今はとりあえずドーキンスを読む。『ドーキンス対グールド』などという、けしかけるような本もあるのでいずれ読むつもり。

May 30, 2007 at 11:03 AM in 科学 | | Comments (1)

2007.05.22

「どこでも吸盤」「トンでも吸盤」の販促活動

「日本地球惑星科学連合2007年大会」という学会に吸盤を売りに行ってきました。
有限会社海猫屋という知り合いの教材屋さんが出品するので、その販売支援という感じ。このために、数日前前急いで30枚作って宅急便で会場に送ったのです。

幕張メッセに行くのは久しぶり。京葉線に30分以上乗るのだけど、読書の時間がとれて悪くはなかった。

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さて、売り場はこんな感じなのだけど、すばらしいのはすぐ横に、

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こんな壁があること。大理石風で、ピタピタと非常によくくっつく。
さらに、また上を見たら、なんと

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おあつらえ向きの天井があるではないか。
トンでも吸盤をくっつけるためには、天井は、
1.届く高さでなければならない
2.すべすべした面でなければならない
という条件があるのだけど、展示会の会場は、たいていどちらも満たしていない。ここもメインの天井は高くて届かないのだけど、この部分は梁(はり)か何かで低くなっていたのであった。

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11時頃から18時くらいまでで15個くらい売れたかな。さんざん感心して喜んでも買っていかなかった人が大勢いたので、あとの日に買いに来てくれるかもしれない。
残りが6個ほどになってしまったので、急拠増産するために帰りにハンズに材料を買いに行った。電話で聞いたら20:30までやっているというので、急いで行ったら20:15くらいに着いてセーフ。高島屋はもう閉まっていた。

May 22, 2007 at 12:36 PM in 科学 | | Comments (0)

2007.04.26

「トンでも吸盤』が飛ぶ

2006年9月にデビューした「トンでも吸盤」は、その後決して爆発的に売れることもなく、地道に作っては売るという状態。それでも思ったよりは出たというべきか、初期ロットの材料がなくなったので、新しく赤と青を仕入れて作っているところ。

今日は、実演画像をいくつか。

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まずはおなじみ、コップ釣り上げ。

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続いてカンヅメ。

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家のドアに貼り付ける不審者。(自宅です)

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二丁吸盤

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あらよっと

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天井貼り付け成功

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手を離しても大丈夫

仮説社(東京・高田馬場)で売ってます(通販もあります)。
(「トンでも吸盤」の商品へのリンクはこれですが、注文するためには一たんトップに戻らないとダメみたいです)
説明書(PDF)はこちら

April 26, 2007 at 12:06 PM in 科学 | | Comments (2)

2007.04.25

パルスオキシメーターを買った

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2007年3月、妻がぜん息の発作を起こしたのをきっかけに、「パルスオキシメーター」を買いました。これは、「血中酸素濃度」を測る器械なのですが、写真のように「指を狭む」だけです。

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原理は、「血の赤さ」を測るということ。「手のひらを太陽にかざして」見れば、「真赤に流れるぼくの血潮」だから、血の赤さが外からでもわかるこ とは理解できる。人体の図などで「動脈を赤、静脈を青」で表すように、血液中に酸素が多い方が赤い、というのも言われてみればそうだなと思う。

静脈は酸素 を使い終って帰ってくるだけだから、測りたいのは動脈。
しかし、指先にあるのは動脈ばかりではなく、静脈も毛細血管も通っている。その中から、どうやって動脈の色だけを抜き出して測るのだろうか。

動脈は「脈打って」いる。他の血管は脈打たない。よって、脈によって変化の大きい部分だけに注目すれば動脈の血液を測ることができる。すばらしい。

1974年に日本光電株式会社の青柳卓雄博士が発明したそうである。大したもんだ。

ぜん息患者といえでも、ふだんからそうそう酸素濃度が減るわけではないのだが、ちょっと調子が悪いかなという時の目安になる。他の用途としては、高い山に登る人が使うらしい。

ぜん息などではないぼくも時々測るが当然いつも正常値(94~99%)しか示さない。しかし、しばらく息を止めているとグングン下がっていくのがわか る。ただし、すぐには変化せず、時間がかかる。息を止めて肺から酸素が行かなくなっても、それまでに体を循環している血液の濃度は前のままだから、これも 当然ではある。逆に、止めるのをやめて息を吸っても指先まで行き渡るまでには時間がかかるので、すぐには回復しない。

かつては、血液を抜いて測定したそうで、動脈から抜くのはエライことで結構大変だったらしい。

お求めはこちらから
http://www.rakuten.co.jp/seastar/926888/1315804/
(アフィリエートではありません)

April 25, 2007 at 10:50 AM in 日記・コラム・つぶやき, 科学 | | Comments (2)

2007.03.25

タミフル報道のことなど

タミフルで問題になっている副作用の有無については調査結果を待つしかないけれども、報道のされ方や、被害者の会についてはおかしなことが多い。

「10代への投与を中止する」という判断がどういう結果になるかは、まだわからないけれども、少なくとも「安全じゃないと思っているのか」と批判されることではない。どうしてあんな質問をするのか。そんな記者ばかりではないことを願う。

「被害者の会」については、言いにくいところもあるのだが、ニセ科学などについていつも鋭いことを書いてくれる NATROM さんの記事を一部引用させていただく。

しかしながら、■薬害タミフル脳症被害者の会という名称はいただけない。現時点では、薬害と決まったわけではないし、タミフル脳症という疾患概念も医学的に妥当なものではない。そもそも「被害者」であるとは断定できない。この辺りは、医療過誤があったわけでもない、病気で亡くなった患者を「被害者」と書く、まるで適切な治療さえすれば病気で人は死なないかのように勘違いしたマスコミに通じるものがある。薬害タミフル脳症被害者の会の目的を以下に引用する。

ぜひNATROMさんの原文を読んでいただきたい。

きくちさんのkikulogにも、いい記事があります。

マスコミがそういう報道をするのは、それを好む読者がいるからに違いない。自分も読者のひとりとして、ヘンな報道を求めないようにしないと。

March 25, 2007 at 11:46 AM in 科学 | | Comments (0)

2007.03.02

「あるある問題」 Nature誌にも

Nature誌 2007年2月22日号に、「あるある大事典」の話題が載っているそうです。
http://www.naturejpn.com/go.php?id=6148
(↑これは、natureの購読勧誘ページです)

Natureは一般誌ではなく「査読」によるチェックの入る「論文誌」です。韓国の黄教授の「捏造事件」の論文は、一旦「通して」しまったわけですが、その後掲載取り消ししたそうです。

今売っているNewsweek日本版(これは一般誌)にも「ニセ科学入門」特集が載っています。

March 2, 2007 at 08:53 AM in 科学 | | Comments (0)

2006.12.07

世界一美しい周期表

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Update: 本日2007/1/25から、仮説社にて販売開始しました。

アメリカのTheodore Gray という人が作った周期表。 自ら、 "The Most Beautiful Periodic Table Poster in the World" と名付けるだけあって、たしかに美しい。 この手の「現物写真付周期表」というのは、他にも、こんなの とか、いろいろあるのだけれども、このポスターの特徴は「美」を意識して作られているところ。周期表は Periodic Table だけど、これには The Elements としか書いていないし、元素記号と原子番号と元素名以外は、各元素のことも何も書いていない。
ぼくは、特別「周期表マニア」というわけでもないのだけど、ネットで見つけた面白い周期表を仮説社に紹介して、卸したりしているので、今回もこの「世界一美しい」やつを売ろうということになった。

数がまとまれば卸値で買えるので、Grayさんにメールしてみたところ、
「何といいタイミングだ」
という返事が来たので、どうしたのかと思ったら、「もうすぐ日本に行く」というのだ。ポスターのサンプルを送ってもらうにも手間もお金もかかるのだけれども、スーツケースに入れてくるなら簡単というわけ。

というわけで、きのう(12/6) 会ってきた。
いやー楽しかった。(写真とればよかったね)
さすかに現物はきれいで迫力がある。「まつわる話」もたくさんあって、そもそも何でこんなものを作ることになったのかを聞いたところ、「本業の会社にテーブルが欲しかったが、ロクなのがないので探していたらイギリスの博物館に Periodic Table があるというので、面白いと思ってよくよく調べたら、テーブルではなくて、壁に作りつけた周期表だったので、それなら、と自分でPeriodic Table Table を作った。

そのうち、元素ごとに箱をつけて、中に現物の元素を入れるようになって、その写真を撮ったものがたまってきて、「そうだ、それなら」と写真入り周期表を作ってしまったというわけ。

色や印刷品質、紙などすべてにこだわった逸品。日本でも手に入れやすくなるように、アレンジ中です。

ところで、このGrayさん、まさかこのポスターを売るために日本に来るはずもないし、観光でもない。実は、知る人は知っている、数式グラフソフトのMathematica を作っているWolfram Researchのファウンダーのひとりで、今回は、そのプロモーションのために来ているのであった。Mathematicaといえば、発表された1989年だかに、ぼくはアメリカにいたので Version 1.0 を買ったし、作者の Stephen Wolframの講演も聞いたことがある。どうやら、その時にGrayさんもいたはずなので、おそらく同じ部屋にいたことがあるだろう、ということ。

この人は、教育論でもいいことを言っている。

おみやげに、「タングステンチタンの結晶」という珍らしいものをいただいた。(あとで写真載せます 

ようやく別記事に載せました(07-06-15)

ぼくからは、当然のこのながら「トンでも吸盤」を差し上げたところ、気に入ってもらえたようで、「アメリカに持って帰りたいので何ダースか欲しい」とのこと。いよいよ、アメリカ進出かぁ。

December 7, 2006 at 03:54 PM in 科学 | | Comments (10)

2006.11.23

『水からの伝言』ウォッチング

田崎さんの《「水からの伝言」を信じないでください》の「Googleで検索されない」という事態はどうやら解消したようで、無事に当然のことながらトップに踊り出たようです。

ただ《「水からの伝言」を信じないでください》で検索する人など、関係者以外にはいないので、やっぱり本家の《水からの伝言》の検索結果が気になる。批判ページは上位に来るのだろうか…と思ってやってみました。2006-11-23  22:30現在

1位.元祖
2位.文化・「水からの伝言」にみるにせ科学
「市民メディア・インターネット新聞」というサイトに山田ともみさんという人が書いた記事。(2005/10/25)
3位.「TOSSランド」(教育技術法則化運動)へのコメント
ご存じ天羽優子さんの「水商売ウォッチング」(2003/2/3)
4位.世界一の誤解   やっかいな「水からの伝言」
これまたご存じ、安井さんの「市民のための環境学ガイド」(2005/11/20)
5位.愛と感謝、水からの伝言
6位.「水からの伝言」関連リンク集-選定版
ハンドルネーム:No.4560さんによるリンク集(随時更新)
7位.nise kagaku
大阪大学の菊池誠さんが《某小学校の先生方と議論するにあたって配布したレジュメ》(2005/11/28)
8位.水からの伝言 - Wikipedia   
ウィキペディアにも詳しく書かれています。
9位.「水からの伝言」を信じないでください    
田崎晴明さんによる、今いちばんホットな批判情報集大成(2006/11/9)
10位.Amazon.co.jp: 水からの伝言―世界初!!水の氷結結晶写真集 (Vol.2): 本 ...

「賞賛ページ」は1,5,10位だけでした。
日付を見てみると、天羽さんが言い始めてからもう3年半たっていることがわかります。
できたばかりの田崎さんのページも9位と健闘。ウィキペディアがキチンと書かれているのも大きい。
6位の「関連リンク集」は、批判サイトといいわけではなく、賛同派ページもある中立を保ったリンク集ですが、批判情報を徹底的に集めています。
11位以下も批判サイトが続きます。

1年前はどうだったのだろう…。
たった今を知りたい人は、ここをクリック。

November 23, 2006 at 10:59 PM in 科学 | | Comments (3)

2006.11.14

『水からの伝言』を信じないでください  ページへのリンクはじめました

ぼくの周辺では、それなりに知られてきた「水に声をかけると結晶の形が変わる」ということを中心にした本に『水からの伝言』というのがあります。
「ニセ科学批判」の最大ターゲットになっているのですが、このほどこの本に特化したページができました。

Mizu

「水からの伝言」を信じないでください
http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/

作ったのは学習院大学の物理の先生の田崎晴明さん。理論物理学の学者です。

予想以上に反響が大きくて、あちこちのブログで取り上げられています。大半は賛同の声。「反論」はあるのかもしれないけど目立っていません。(「反論統合サイト」みたいなのがあるので、近々そこにはでるでしょうが)

いつも悩ましいのが ,
「ニセ科学批判(のやり方)批判」。

批判される側との議論は、(議論にならないことも多いけど)それなりに意味があるのだけど、「自分も批判すべきだと思うけれども、そんなやり方では生ぬるい」というような話につきあうのは大変そうです。以前にkikulogの菊池誠さんが苦労されていました。

批判のしかたにはいろいろあろうかと思うので、気に入らない人もいるかもしれないけど、なんか異和感があります。うまく説明できないけど。

ところで、

水からの伝言 を信じないでください

をGoogleで探すと、山ほど見つかるのだけどなぜか、本家のページが
でてきません。(2006-11-14 朝現在)
検索文字列にURLを入れても出てこないので、かなり気になるのだけど、速断は避けておこう。

というわけで、リンクをひとつ増やしました。

November 14, 2006 at 08:27 AM in 科学 | | Comments (2)

2006.11.04

「おでこ体温計」サーモフォーカス、再び

科学の本の執筆にかかわっていて(おー、なんだかカッコいい)、締切間際であせっているのだけれども、きのう耳式体温計のことを書いている時そういえば、と「おでこで測る体温計」のことを思い出した。今年の2月に、おでこで測る体温計「サーモフォーカス」への期待と不安、というのを書いたのだけど、今でも本当にこれでちゃんと体温が測れるのかどうかが気になる。

さて、一夜明けた今朝、テレビで「ベリーベリーサタデー」という番組を見ていたらなんとこの「サーモフォーカス」がでているのにビックリ。

自走式カン切り(こっちの方が面白いかも)などと一緒に「ちょっと変わった便利グッズ」的なものとして紹介されている。

司会の藤井隆(←結構好きです)が、早速、鈴木杏樹のおでこに当てて測ることに。

「これ、難しいんですよ。2つ出ている遠赤外線が1つになるようにしないと」といっているので、何事かと思ったら、狙いをつけるための赤い光のことだった。決められた距離にするために2本の光が交じわったところでボタンを押すということらしい。「遠赤外線いうなー」と言いたいが、そんなことを気にしていると嫌われる。

肝心の測定結果は 37.3℃。次に藤井隆を測ると 37.2℃。やや高めだけど何ともいえない。続いて黒谷友香(高田純次だったかな、違ったらゴメン)でやってみたら、(よく聞こえなかったけど)38℃くらいだった。うーんこれでいいのか。

藤井が「これは体温だけでなく気温も測れるので、違う方のボタンを押したのかも」とフォローしていた。

前の記事に書いたのだけど、おでこをぼくの赤外線放射温度計で測ると、ちょっとした状況の変化で大きく違う値がでてしまう。おでこの温度と体温の対応のデータから換算する、といっても安定しないものは換算のしようがない。

今のところ考えられるのは、ぼくの(安い)温度計では変動する値が、サーモフォーカスではそうならないような仕組みがある、ということなのだけれども、おでこから発せられる赤外線は同じものだから、いったい何ができるのか。

理屈はともかく、ちゃんと測れればそれでいいので、試してみたいのだが、2万6250円もするからなぁ。うーむ。

こうやって懐擬的な記事を書いておけば、そのうち販売元から「ほら、ちゃんと測れますよ」とか言ってこないか期待しているのだが。

ちなみに今日(2006-11-04)Googleで
おでこ 体温計
で検索すると、ぼくの以前の記事がトップに来ます。(2番目がスラッシュドットジャパン)

ふと気になって
「体温計 おでこ」
の順にしたら、
スラッシュドットジャパンがトップで、ぼくは3位に後退しました、残念。
ふつうはこっちの順で引くか。

そんなわけで、もしサーモフォーカスを使ったことのある方がいらっしゃったら、どんな具合か教えてください。

November 4, 2006 at 10:10 AM in 科学 | | Comments (0)

2006.09.28

手の入らない手袋

大きなガラスの瓶(というより壷か)に、ゴム手袋をはめてある。

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ここに手を入れようとしても、なかなか入らない。という大気圧実感体験のツールのひとつ。吸盤のことを調べていた時に、たまたま見つけたアメリカの理科教育の資料にでていたのでやってみたもの。

ゴム手袋のサイズの加減が難しくて、ぼく用のLサイズだと、妻や娘は手が入ってしまう。よってMサイズにしたのだが、これだとぼくは「そもそも入らない」。

それでも、まあ面白いのでみんなで遊んで、妻は「学校に持っていきたい」と言っていたのだが、いかんせんガラス瓶が大変。どこにでもあるものではないし、持っていくには大きくて重い。

ふと思うところあって「ゴム手袋 大気圧」か何かでGoogleしてみたところ、おお、でるでる。しっかり日本でもいろんな人がやっていました。ただし、ガラス瓶ではなくてペットボトルの底を切り落としたもの。
(たとえばこちら↓)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/hottopics/tejina2/magic10.html

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おお、これなら持ち歩き自由だし、どこででも手に入る。

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しかも、これの素晴らしいところは「キャップを開けられる」こと。

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開ければ手はふつうに入るし、その状態でキャップを締めると、ちょっと抜きにくくなる。

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抜いたあとに残った手袋は手の形を保っていて、なかなかグロである。

吸盤では「大気圧より低い気圧」を作っていたが、ここではゴム手袋のむこうを1気圧よりも高くしようとしてもがくことになる。

実験(デモンストレーション)としては、、何が起きてるのかの説明がしにくいところもあるのだが、「手袋に手を入れる」というところが子どもにもウケるのかもしれない。

手を入れたところで瓶の中を減圧していく、というバリエーションもあった。
http://natsci.kyokyo-u.ac.jp/~rigaku/forum/3gou/3-23-27.pdf

ペットボトルのキャップに簡易減圧器をつければこれでもできそう。

ゴム手袋は100円ショップにあるので、左右を選ばなければ100円で2個に使える。さらに、少なくともキャンドゥで買ったものは「右手用が1つ余分に」ついてくるのでなんと3個分使える。

かくして、眠りから覚ました「大きなガラス瓶」は再び棚の奥深くしまわれた。梅酒でも大量に漬けることがあればなぁ。

September 28, 2006 at 11:20 PM in 科学 | | Comments (3)

サイエンス・サイトーク 水谷仁さん(雑誌『ニュートン』編集長)

作家・ジャーナリストの日垣隆氏がホストするTBSのラジオ番組「サイエンス・サイトーク」の収録が今年も始まった。野球シーズンの裏側の10月から2月くらいがサイトークのシーズン。

http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/

日垣氏と、アナウンサーの有村美香さんが聞き手となって毎回ゲストを迎えて科学にまつわる話を聞く。スタジオには見学席が設けられ、10~30人くらいの聴衆が来る。本番収録中はだまって聞いているだけだが、終了後に質問&回答の時間がとられる。その間もテープは回っているので稀に放送されることがある。3年くらい前に『歌う生物学者』の本川達雄さんがゲストの時には、ぼくの質問が放送された。

月に2~3回のペースで収録があるのでその都度報告を書こうと思いつつ、いつも挫折。今年ことは何とか、と思って必死に書いている。

さて、今回(2006/9/26収録)のゲストは雑誌ニュートンの編集長の水谷仁さん。ニュートンといえば竹内均さんが創刊時からず~っと編集長を続けてきたのだが、2004年に亡くなって、水谷さんが引き継いだそうだ。水谷さんは竹内さんのお弟子さんだったので「後は頼む」的なことは言われていたらしいが、「お手伝いするつもりではいたが、まさか編集長になるとは思っていなかった」とのこと。専門は宇宙物理学など。

メモをとらなかったので、話の内容をあまり書けないのだけれどもいくつか。

・ナショナリズム
 科学者は世界人類のためにやっている、とはいいながらも「国のため」という意識は強いもの。アメリカが、ソビエトに負けじとアポロ計画をやったように、中国か北朝鮮が何かやれば日本もやるのかもしれない。(半分は日垣さんがけしかけた感あり)

・アポロは月に行かなかった説について
 途中から日垣さんがしきりにオカルトやニセ科学ネタを振る。宇宙の専門家にこれを聞いちゃうか。しかし、ちゃんと答えてくれた。「一般の人はNASAが情報管理のしっかりしたところだと思っているから『NASAの陰謀』などと言いだすのだろうが、実際にはひどくルーズなところだから、『実は月に行っていなかった』などという重大秘密が守れるはずはない」と。

・理科離れについて
 特にこれといった話はなかったと思うが、新しいことをただ聞いて覚えるのではなく、考える道筋を知ることが大切とのこと。もちろん同感。そのためにどうすればいいのかは、別の話だが『ニュートン』にもできることはあるはず。

・冥王星
 日垣さん「教科書業界では『戦後最大の事件』的なことを言っているが、それほど他に事件はなかったのか」
 水谷さん「社会や国語よりは変わらりませんね」
 検定問題ではいろいろ話題になるけれども、小学校レベルでは教え方は変わっても、科学的事実が変わることはないか、たしかに。しかしね、冥王星の件は、何ら科学的事実が変わったわけではないのだけどなぁ。水谷さんとしては、「増えるのには反対」「減らしたのはOK」でも「そのままでよかったのに」というので同感。

・寺田寅彦
 寅彦の弟子の坪井忠二の弟子に竹内均がいたので、水谷さんは寅彦の「ひ孫弟子」になるそうな。「文才のある科学者」ということで寅彦の話になったのだけれども、そういえば水谷さんの文学的な話はどうだったのか忘れた。

・アメリカでは科学雑誌が売れている
SCIENTIFIC AMERICANは50万部くらい売れているらしい。日本では科学雑誌の中では『ニュートン』がトップクラスでも、1割行くのかどうか。「アメリカ人は、statusとして、読まなくても買っているのではないか」という話になっていたが、そうなのかなぁ。SCIENTIFIC AMERICANの方が安いからということはないのか。特に定期購読の割引きはすごいからね。

・女性読者を増やしたい
 小学生で昆虫や天文に興味を持つのはほとんどが男の子。学生、研究者にも女性が少ない。これではニュートンの女性読者も増えないわけだ。などと言っていないで、「ニュートンだけでも」女性が多く読むようにすればいいのにね。

質問タイムではまっ先に手を挙げて「ニセ科学を扱う予定はないか」を聞いたところ、「予定はないが、困った問題であるという認識はしている」とのこと。

次の人の質問は「定期購読者の比率」。「企業秘密」ということだったが「放送しないなら」と、いちおう話してくれた。

全体的に話は面白かったし、テンポもよくてわかりやすかったので、実はこういう時は質問はでにくいのである。ぼくは毎回質問をしたいと思いながらも、質問内容を考えすぎて悩むのだが、今回嫁仮途中から「ニセ科学のことを聞こう」と決めていた。

そうそう、『ニュートン』といえば8月末に発売された(たぶん10月)号で「元素周期表」が特集されていて、なかなか良いというので買いに行ったのだが売り切れていて買えなかった。質問のはじめにそのことを言ったら水谷さんが「申し訳ない」と言って、すぐ日垣さんが「これどうぞ」といって、自分用だか取材用だかをくれた。有難い。編集長の前で(買わずに)もらう、のも何だが売切れだから仕方がない。

一緒に聞きにきていた人が「日垣さんは周期表嫌いなのかな。くれちゃって」と言っていたが、そういえば冥王星の話はよくしていたけど、元素のことはあまりわかっていなかったようだった。

ところで『ニュートン』はとてもいい雑誌だと思うのだが、そんなぼくでも5年に1回くらいしか買っていない。(今回も結局買いそびれたし)これだから雑誌を売るのは難しい。創刊当時はしばらく買っていたのだけどなぁ。これをご縁にこれから買うかな、と思いつつ今日ローソンで見かけたのに目次くらいしか読まなかった。(ローソンにあったことにはビックリしたけど)

さて、次回のゲストは鬼頭宏さん(上智大学大学院地球環境学研究科教授、歴史人口学)です。

放送は日曜夜の21:00~21:30の30分間。10/8スタートらしいけれども、第1回放送のゲストの奥本大三郎さん(「虫の詩人の館」館長、埼玉大学教授、フランス文学)の収録は知らないなぁ。ひょっとして去年だったんじゃないかな。

September 28, 2006 at 12:11 AM in 科学 | | Comments (0)

2006.09.17

吸盤ブースター登場

「トンでも吸盤」の研究をしているうちに、吸着力を増強するツールを発見した。こんな話の前に、「トンでも吸盤」のふつうの使い方について書かなくてはいけないのだが、思いついた時に書いてしまおう。

「トンでも吸盤」は、平面に吸着するだけでなく、コップやガラス瓶のように空気を大量に含む容器にもよく付く。さらには500gもある缶詰も持ち上げることができる。特に注目すべきはこの「缶詰」との付き方は、なめらかな平面以上であること。どうやら缶の縁がうまい具合に境界になって、その内側部分全体が吸盤として有効に働いているらしい。

そこでふと思いついたのが、「トンでも吸盤」の側に「縁」をつけたらどうだろうということ。

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直径90mmのOリングを円盤の裏につけるのだ

接着に失敗した時のために2つ買ってきたとはいうものの、いきなり付けるのはためらわれたので、単にテーブルに置いたOリングの上にトン吸を置いてみた。「おおっ」これは強裂。実は、トン吸をテーブルに置いた時の吸着力は大したことはなくて、バネばかりで計ると1kg程度の力。Oリングを付けたら2kgになった。

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必死にくっついていようとするのだが、トン吸のシート自体が引っぱられてずれていって外れてしまった。

ふと思いついて「どこでも吸盤」でもやってみると、これがまたよく効く。500ccのお茶のペットボトルにどこ吸をしっかりとはめて計ったら5.5kgくらいまで耐えたものが、Oリングの上に置いたら7kgまで耐えた。体感的にも明らかに強くついていることがわかる。

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どうやらシートに接着させるまでもなさそうなので、単体で「吸盤ブースター」として使うことにした。「使う」といっても誰も、どこででも使うことはないだろうが。

吸盤ブースターは東急ハンズ(の少なくとも新宿店)で発売中。直径90mmで157円。
「どこでも吸盤」「トンでも吸盤」どちらにでも使えます。

September 17, 2006 at 11:56 PM in 科学 | | Comments (0)

2006.08.31

「トンでも吸盤」デビュー間近

5月に「どこでも吸盤」というものをプロデュースしました。なんで「プロデュース」などと妙なことばを使うのかというと、目新しいものではあるけれどもぼくが「発明した」わけではないし「発見」したわけでもないし、「作った」わけでもないから。こんなこと言ったら世の「プロデューサー」に叱られるかな。

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その「どこでも吸盤」をあれこれいじっていたり、使った人から聞かれたりしているうちにアイディアが湧いてできたのが「トンでも吸盤」。こちらは「作った」と言っていいと思っています。他の誰かが作っていない、とか世界初とかいう意味ではなくて、「自分で考えた」ということです。

「どこでも吸盤」とは同じ材質、同じ大きさですが、内側の穴はありません。中央にヒモがつけてあります。これをテーブルに置いてヒモを引っ張ると…

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「どこでも吸盤」と同じく、くっついて持ち上がりません。

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物を持ち上げることもできます。

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ティッシュの箱も持ち上がります。

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壁面にもつきます。ヒモが付いているので投げてくっつけることができるのです。そのままだと軽すぎて投げにくいので、「おもり」をつけています。これを何て作るかは悩ましいところ。

 

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天井にもつきます。
「どこでも吸盤」と違って、これは「引っ張っていないとくっついていない」ので、天井につけた時はヒモを引っ張っているか、おもりをぶらさげておかないと落ちてしまいます。

 

「どこでも吸盤」は、「缶フィックス」という名前の「実用品」を教材化したものですが、この「トンでも吸盤」は実用性ゼロ。そのかわり「遊び心」は倍増。

いわゆる吸盤っぽくない平面のシートが、「スッ」「ピタッ」と壁や床に吸いつく様は意外性があってかなり楽しい。

今のところシートをまるく切るところから手作りですが、製品化を決意して「とこでも吸盤」(缶フィックス)を作っている会社(株式会社ビブロ)にかけあって「穴なしシート」を作ってもらいました。「そんなもの、穴をあけないだけだから簡単だろう」と思うかもしれませんが実はそうでもないのです。「どこでも吸盤」を作る時には、穴も一緒に、つまりいきなりドーナス型に打ち抜くのだそうです。もうダメかと思ったのですが、打ち抜きの刃の使い古したものの内側を壊して「穴なし」用の型を作ってもらうことができました。とはいっても工場を動かすためにはふつうは「何万枚」も注文しなければ作ってくれません。今回「サンプル」ということで少ロットで作ってもらいました。それでも1000枚ですからシロウトにとっては大ごとなのですが「どこでも吸盤」を4000枚も作ったので感覚がやや麻痺してきたようです。

円盤にデザインを印刷(名入れ)するところまでをやってもらって、あとの工作は自分でやります。一度にたくさん作る必要はないだろうから、ノンビリとやります。作って、みんなに使ってもらってから問題点に気付くだろうから、あまりたくさん作らない方が良いでしょうし。

新製品は「トンでも吸盤」と名付けました。
ひと月ほど前に、試作した段階でネット仲間にネーミングを考えてもらったところ、

「空飛ぶ吸盤」
「吸盤キャッチャー」

『スパイ大作戦』に出てきそう、ということで出た案が、
「吸盤大作戦」
「スパイ吸盤」

「どこでも吸盤」に合わせるべき、ということからは
「引っ張る吸盤」
「投げたら吸盤」

「東京吸盤ボーイズ」・・・これは、イベントで出店名として使っています。

「吸盤NINJA」

「吸いつき忍者」

「どこでも吸盤○」←「◎」に対して「○」という深い案。

「やっぱり吸盤」
「いつでも吸盤」
「それでも吸盤」

「どこでも吸盤プル(Pull)」←アメリカ在住の方から

などなどたくさん考えていただきました。「どこでも吸盤」と合わせる、というのはぼくもそれがいいと思ったので、考えていたところ息子が考えたのが「とんでも吸盤」でした。「トンデモ」と「飛んでも」をかけていて面白かったのでこれに決定。このままだとあまりにも字面が似すぎているので正式表記は「トンでも吸盤」にしました。略称は「トンQ」。

印刷があがるのが9月8日の予定。デザインはこれ↓

Photo_1

他にもまだまだ「アッと驚く」ことができたり起きたりします。いろんな人に使ってもらえば、さらに新しいことがわかるのではないかと期待しています。

遊んで楽しいだけでなく、大気圧教材としても実にいろいろなことを考えさせられます。これをきっかけにして『吸盤のなぞ』(仮題)という冊子か本を書こうかと思っています。

9月中旬には、何とか発売開始したいと思っています。価格は未定。

August 31, 2006 at 12:17 AM in 科学 | | Comments (2)

2006.08.17

物理教育国際会議2006(ICPE 2006 TOKYO)

http://www.komed.c.u-tokyo.ac.jp/ICPE2006/index.html

表題の会議に参加しました。日曜の夜のウェルカム・パーティーから今日の閉会まで5日間ほぼみっちりと出席。

日本で開催されたのは20年ぶりのことだそうで、たまたま最近この世界にかかわったぼくとしては、いいタイミングでした。

参加者総数 434人
 内、日本から 319人、外国から 115人

参加国数 25ヶ国
 参加数上位の国は、日本以外では以下のとおり。
 中国 25人
 韓国 20人
 パキスタン 13人
 インド 10人
 アメリカ 9人
 ブラジル 8人

「国際会議」というわりには欧米が少ない、と(正直なところ)感じる人も多いかもしれないけれども、参加してみて「それだけ物理教育問題を深刻に捕えているから」なのだろうと感じました。

いわゆる先進国と途上国とでは抱えている問題は違うところもあって、パソコンに最新式のセンサーをつなぐような話に「あんなこと言われてもねぇ」という感想を持つ人もいました。その一方、「途上国での問題」として挙げられたことの多くは、どの国の教員にもあてはまるものがたくさん。中でも「生徒が質問するとおこる先生」はどこの国にでもいるようで困ったもの。

日本から参加する人のサポートのために1日か2日顔を出すくらいのつもりでいたのですが、参加を決めた後で自由の身(退職)になったこともあってフル参加。毎朝9時からの講演に皆勤したのは大したもの。会場が異常に近所だったこともあります。

自身の発表は、ほんの5分ほどだけであとは聞くだけだったにもかかわらず、ドッと疲れました。英語にひたるとはそれなりのストレスなのだなぁ。

ともあれ、大変良い経験をすることができました。
関係者のみなさん、ご苦労様でした。

August 17, 2006 at 11:32 PM in 科学 | | Comments (0)

2006.08.06

フランクリン生誕300年記念行事

2006年1月17日は、ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)の300回目の誕生日。アメリカでは切手やお札にもなっている人だけに、300年記念行事がいろいろ行われているらしいが、日本でのイベントはひとつしか知らない。

ベンジャミン・フランクリン生誕300 年記念
フランクリン研究会
300 歳のフランクリンから何を学ぶか?!
──みんなでフランクリンになる!──
2006 年8月5日.~6日
主催:NPО法人 楽知ん研究所

という会に参加してきた。

主催者の「楽知ん研究所」は、学校の先生が中心となって、1600年代頃からの「たのしい科学」の伝統に立ちかえろう、と昔の実験を再現したり、自然科学や社会の科学を研究するグループ。2005年からNPO法人。

今回のイベントの目玉のひとつは「電気パーティー」と題した、フランクリンの静電気実験の再現。起電器としては大きなガラス球や塩ビの円板を回転させるものを使い、「電気人間」「電気クモ」など、静電気を使ったいろいろな実験を見ることができた。最後には「水を通して静電気を流す」デモンストレーションとして、近くの池の水を通してアルコールに火をつけておひらき。

実験のやり方は、フランクリンの本に詳しく書かれているので、熱心な人であれば再現はできるのだろうが、実際にこれだけいろいろとやったのは、たぶん日本では初めてだろうということ。

フランクリンは「偉人」と言ってよいと思うが、一方で「おもろいおっちゃん」でもある、というのがこの会のテーマ。年をとっても好奇心のかたまりで、「他人の笑顔」も「自分の笑顔」も大切にした人だったらしい。

読み途中だった、板倉聖宣『フランクリン』(仮説社)をちゃんと読まなくては。

August 6, 2006 at 11:34 PM in 科学 | | Comments (0)

2006.05.29

「どこでも吸盤」大判

Vfmi0026

どこでも吸盤」の大判を作ってみました。一升瓶もこのとおりです。

大きさはを比べるとこんな感じです。

Vfmi0027

穴がちょっと大きすぎました。もっと小さくても一升瓶は入っただろうな。

もっと大きいのを作って、人間が入るのはどうだろう。

May 29, 2006 at 04:55 PM in 科学 | | Comments (2)

2006.05.27

どこでも吸盤

ちょっとした「おもしろグッズ」を仕込みました。

Vfmi0021

CDとよく似た形状のゴムに布を貼ったようなシートですが、これをコップやペットボトルに「はめる」と……。

Vfmi0020

写真で見てもよくわかりませんが、引っぱっても持ち上がらなくなります。さらに調子に乗って、こんなこともできます。

Vfmi0019

ボトルとシートが一体となって吸盤の役目を果しているといえばわかるでしょうか。でも、吸盤はツルツルしたところに、ピッタリとつけないとくっつきませんし、そもそも吸盤はどうしてくっつくのか?

答えは「空気の力」あるいは「空気の重さ」です。「どこでも吸盤」の上には空気がどっしりと乗っかっていて、1平方センチあたり約1kgの重量がかかっています。シート全体では約100kgの力なので、簡単には外せないわけです。空気はこの円盤にだけ降りかかっているわけではなくて、そこにあるCDにも、本にものしかかっているのですが、上からだけ押しているのではなく、下からも横からも同じように押しているためふだんは感じることはありません。

どこでも吸盤はテーブルにピタッとくっついているので、下から押し上げる空気はほとんどなくなるので、上からの力が効いてきて持ち上がらなくなるというわけです。

ところで、これは実用にもなります。持ち上がらないだけではなく、ちょっと押しても、ゆれても倒れないので、うっかり倒してしまうそうなデスクの上の缶コーヒーを固定しておくと便利かもしれません。「くっついていたらどうやって飲むんだ」と言われそうですが、こんな感じで、

Vfmi0022

端をちょいとめくってやれば簡単に持ち上がります。

おまけの実験として、デスクのに置いた紙の上にどこでも吸盤を置いたらどうなるでしょう。

Vfmi0023

これも、しっかりとくっついて持ち上がりません。ふつうの吸盤だとこうはなりません。
さらにこの状態で横に動かすと、スルスルとふつうに動きます。

Vfmi0024

先日ちょっとした集まりにこれを持っていったら、バカ受け。タレントやマジシャンの方々も喜んで遊んでくれました。

どこでも吸盤というのはぼくの命名でして、元はといえば知りあいの高校の先生がアメリカの科学教材の通販で買ってくれたものです。日本でも紹介したいと思ってあれこれ探していたところ、ノベルティーグッズとして扱かっている会社が見つかって、「名入れ」もできるというので、ぼくがデザインしたものです。原稿入稿直後にそこに書いてある説明文の数字に間違いがあるのを妻が見つけてくれて、あわてて修正してもらったというオマケがありました。

高田馬場にある仮説社という教育出版の会社で315円で発売中です。お会いした人にはたいてい差し上げております。

May 27, 2006 at 10:45 AM in 科学 | | Comments (0)

2006.02.27

お好み焼鉄板の熱力学

井の頭線駒場東大前駅近くのお好み焼屋に高校の理科の先生4人と一緒に入った。テーブルの鉄板がよく磨かれて銀色に光っているのが珍らしい。早速放射温度計で測ってみると、明らかに低くでる。ここでもうひとり温度計を出す人がいるから困る。店員が見つけて「何ですかそれ?」と興味を持つ。

お好き焼きを焼きながらも時々温度を測る。鉄板に流してしばらくしてからも表側は20℃にもなっていない。裏返した直後は140℃にもなっている。

ここまでは、よくある?ことだったが、食べ終って片付けに来た店員か「ここを測ってほしいんですよ」と言って、鉄板の端のカスを捨てる口のあたりを指差した。

VFMI0273

そこは、深い穴になっていて黒い。正確には測れないが180℃くらいだっただろうか。すぐ横の銀色(ステンレス)の鉄板部分は70℃くらいと表示される。表面の温度はむしろ鉄板の方が高いはずだが、金属面であるが故に放射率が低くて熱放射が少ないのだ。実際温度計など持ち出さなくても十分に温度差がわかる。

「金属面は放射熱が少ないんですよ」

などと偉そうに説明しようとしたら

「わかってますよ」と店員。そりゃそうだ。

VFMI0275 客が食べ終った皿をこの部分にかけて置いておくと、放射熱で皿が熱せられる。客が反対の端を持って店員に渡すと「アチチ」と大変なことになるそうだ。しかし「お客さんの前では絶対に皿は落とせない」ので、ヤケドしながらも皿を離さないのだ。 気を付けないと、持っていく時はよくてもそれを渡された洗い場の人がヤケドすることもあるという。

鉄板に触れて熱くなるのではなく、放射熱で、それもメインと鉄板からではなく、ほんのわずかな端の黒い部分からの熱でやられてしまうのだから恐ろしい。 温度計も、熱力学も知らなくても「銀色より黒い方が熱い」ことは身を持ってわかっているのだ。

この店、たまたま入ったのだけれどもおすすめの「イカのゲソ焼」が実においしい。お好み焼きもサクサク、フワフワで、締めの焼きそばは、その店員が自ら作ってくれた。大いに満足。

お好焼・もんじゃ焼のつばき(駒場東大前駅前)

February 27, 2006 at 10:48 PM in 科学 | | Comments (0)

潜む熱 「潜熱」 latent heat

先日の日記のとおり「凝結熱(凝縮熱)」に凝っている。
凝結熱を英語で何と呼ぶかを知りたくてGoogleで調べてみた。
凝結は condensation, 凝結熱は潜熱(latent heat)の一種なので

latent heat condensation

で検索したところ "condensation heat"というのがたくさん見つかったので、おそらく凝結熱のことはこう呼ぶのであろう、しかし何だか日本語のページばかりだな、と思ったら「日本語のページだけを探す」設定になっていたので、「ウェブ全体から検索」に変えてみたら大量にヒットはしたものの、上位は相変わらず日本語のページが断然多い。ひょっとして和製英語? まさか。
いくつか調べてみた。

"condensation heat"      全体 44,200件、日本語 123件
"latent heat of condensation"  全体 26,200件、日本語 14件
"heat of condensation"    全体 55,100件、日本語  40件
"latent heat"         全体 115,000件、日本語 890件

どうやら (latent) heat of condensation の方が多く使われている気配。もちろん condensation heatという表現が日本以外で使われていないわけではない。

探していて気が付いたのは、凝結熱のことをheat of condensation と呼ぶにしても、それを使わずに、より一般的な latent heat(潜熱)を使っているのが目立つことである。

日本語では、「水が蒸発する時には気化熱を吸収する」とか「氷を解かすためには融解熱が必要である」という風に潜熱の種類を特定するのが普通であるのに対して、英語では「水が蒸発する時にはlatent heatを吸収する」という言いかたをするのをよく見かける。単に「大ざっぱ」なのかと思ったが、潜熱という「熱としては表われない形」でエネルギーが蓄わえられることを説明するためとも考えられる。

100度Cの水を熱して100度Cの水蒸気にする際には539cal/gのエネルギーを与えなけれはならないが、そのエネルギーは、目に見えない熱(潜熱)として水蒸気の中に潜んでいる。潜熱という言葉を使うことでその雰囲気がよく表われている。これが「気化熱」だと「気化させるためにはそれだけの熱が必要である」ということは伝わるが、そのエネルギーはそこで使い切ってしまって、どこにも残らないような感じがするの私だけ?( by 代田ひかる)

つい一年前くらいまでは、気化熱や融解熱をどうして潜熱と呼ぶのか考えたこともなかったのだが、100年前くらいのアメリカの科学書のlatent heatの説明に「熱には目に見える熱(sensible heat=顕熱)と見えない熱(latent heat=潜熱)とがある」ということが書かれていたのを読んで「なるほど」と思ったのだった。もちろん、日本の本だってちゃんと読めば同じことは書いてあるのだろうけれども、ぼくにとっては(上に書いたように)「気化熱は消費されてしまうもの」と見えていた。

体内から吐き出された息の中の水蒸気が、体の外で凝結することで熱を発生すると、結果としては体内の熱(水が水蒸気になった時に吸収した気化熱)が、まさに「潜熱」として水蒸気の中に「潜んで」外に運ばれたと考えられる。

潜熱として「熱を運ぶ」という考え方は、ヒートパイプで利用されているし、水蒸気から雲ができる時の凝結熱は気象にとって重要な役割を果しているなど、「実用化」はされているのだが、「息」を吐いただけでも体感できるのだから、もっと身近な知識として広められないものだろうか。(本当に凝結熱だとわかったらの話だが)

February 27, 2006 at 05:31 PM in 科学 | | Comments (0)

2006.02.25

凝結熱のチカラ

手のひらに向けて、口をつぼめて息を「フーッ」と吹くと「冷たく」感じて、口を開いて「ハーッ」と吐くと「暖かく」感じますよね。何故でしょうか。「息」の温度は同じはずなのに。

「フーッ」と吹いた時には、表面の体温で暖められた空気の層がどかされて、まわりから冷たい空気が流れ込む、またその結果体表面から水分が蒸発して気化熱のために冷たく感じる(実際に冷たい)のに対して「ハーッ」だと、ゆっくりと息がかかるために、そういうことは起きずに、暖かい(体温と同じくらい)空気がかかるので暖かい、ということだと考えられます。

ここで、あらためてご自分の手のひらに「ハーッ」と息を吐きかけてみてください。暖かいですよね。

し か し、 「暖かすぎる」とは思いませんか?

手のひらの温度は人によっても周囲の温度によっても違いますが、暖かい部屋の中では32~34℃くらい。ここに体温(36℃くらい)の空気がかかるだけでそんなに暖かく感じるものでしょうか。

ぼくの仮説は「息に含まれる水蒸気が水になる時に凝結熱」のために暖かいというものです。

水が蒸発して水蒸気に変わる時に「気化熱」を吸収して(「奪う」というと板倉聖宣さん「疑人化するな」に叱られる:-)冷たくなることは、ご存じでしょう。その逆に、水蒸気が水に変わる時には「熱を出す」のですが、こちらはほとんど体感する機会がありません。

メガネに「ハーッ」とやってくもらせたり、寒い日に息が白くなるのを見れば、息の中に水蒸気が多く含まれていることがわかります。息をかけた手のひらは、くもりはしませんが触ってみるとしっとりと湿っていることがわかると思います。(すぐに乾いてしまいますが)

水蒸気から水に変わったからには何がしかの「凝結熱」が発生したには違いありませんが、果してその熱の量がどのくらいなのかはわかりません。

暖かいのが息の温度のためだけではなく、凝結熱のせいであるかどうかを調べるには、息と同じ温℃の「乾いた空気」をかけて実験してみればよいのですが、これが難物です。

ヘアードライヤーの風をビニール袋に入れてから、袋から空気を送り出そうとするのですが、熱風を入れたはずが、次の瞬間には室温とあまり変わらなくなってしまうのです。うーむ、保温が必要か。

しかし、ふと気付いたのは〈空気というものは、かようにすぐに冷めてしまうものなのか〉ということ。つまり熱容量が小さい。一息吐いた36℃の空気なんぞで手のひらを暖められるわけがないのでは、という思いがますますつのります。

計算によってもある程度凝結熱の大きさを見積もることはできるのではないかと、やってみました。
・36℃における飽和水蒸気量は41.7g/m^3 → 41.7mg /リットル
・33℃における飽和水蒸気量は35.7g/m^3 → 35.7mg /リットル
この差の分だけ凝結(結露)するとすれば 6mg/リットル。
1息で1リットル吐いたとして、そのうちの水蒸気の半分(根拠なし)が水になったとすれば、3mg。
30℃付近での水の気化熱を600cal/gとすると、3mgなら1.8cal。

一方36℃の空気1リットルが33℃に冷える時に発する熱量はどのくらいか。
空気の比熱を 0.17 cal /K g 、空気の重さ 1.3 g/lとすると
0.17*1.3= 0.22 cal/K l
3℃冷えると、約0.66 cal.

一応凝結熱の方が大きいけれども、こんなラフな計算だけでは何ともいえません。

これはこれで実験と計算を継続する予定なのですが、別の実験をやってみました。

タオル(ハンカチでも)を口にピッタリとあてて息を吹きかけたことはありますか? マスクをかけて息を吐いた時でも同様ですが「暖かく」もしくは「熱く」感じませんか。 何回か続けて吹いたところで素早く温度を(非接触温度計で)測ると40℃にもなることがありました。手で触ってみても、しばらく暖かさが残っています。36℃の空気を吹きかけただけでこんなに暖かくなるとは考えられません。タオルはじっとりと湿ります。

「元の息の温度よりも高い温度になることがある」ということは、凝結熱のためである可能性が大きいと思えませんか。

ちなみに、最近一部で宣伝されている「発熱素材」というものは、この
凝結熱を利用しています。

ふだん実感することのない「凝結熱」が、こんなに身近で感じることができるということがわかりました。放射熱に続いて、「陽の当たらない熱」への挑戦がまた始まります。

追記(06-02-27)

なにげなく「凝結熱」という言葉を使いましたが「凝縮熱」の方が一般的かもしれません。(Googleでの検索結果数でも)
「凝縮」は日常でも「うまみを凝縮」などと使うのでなじみがありますが、意味はちょっと違いますね。(「濃縮」の意味で使うこと多し) その点「凝結」は、他の意味で使うことはないので専門用語らしくていいかもしれません。でも言いにくいんだよね「ぎょうけつねつ」って。

追記その2(2006-02-27)
「(凝結熱 OR 凝縮熱) 息」で検索してみたところ、

「素朴な疑問集」のページ
http://homepage1.nifty.com/tadahiko/GIMON/QA/QA054.HTML

というところに、

息を吸って、吹くときのことなのですが……。
「ふ~」と吹くのと、「はぁっ~」と吹くのとでは、「はぁっ~」と吹く方が暖かい。いったいなぜですか?

という、そのものズバリの質問があり、おふたりから回答が寄せられていました。
「はーっ」が暖かい理由がいくつか挙げられており、「凝縮熱」も要素のひとつとして書かれていました。(2000年の書き込みです)

「理科メーリングリスト」(現在は別のMLになっていて、旧ログは見ることができません)で議論になったとのことで、「凝縮熱」に関しては、回答者の「うにうにさん」は

《結論の一致を見ませんでしたが、私はあまり大きな要因ではないだろうと考えています。》

と答えています。

ぼくはこれを「大きな要因」だろうと考えているわけですが、上記の回答では他の要因について詳しく書かれており、ぼくが簡単に「凝縮熱のせいだろう」と決めつけるのは早計かもしれません。

ともあれ「ハーッ」の暖さに関して凝結熱を考えている人がいたことはわかりました。(当然か…)

February 25, 2006 at 05:30 PM in 科学 | | Comments (3)

2006.02.05

メガネがくもる

寒い日に、店に入ったり電車に乗ったりすると急にメガネがくもって何も見えなくなるというのはメガネ族はご存じの通り。

VFMI0264 現象としては、
《空気中の水蒸気が、冷たい(露点より低い)レンズに触れて凝結して細かい水滴になる》であることはわかる。

「なぜ、店に入ると急にくもるのか」という疑問にはなんとなく「レンズの温度が低いから」くらいを考えていたが、レンズが冷たいというだけなら外にいる時もくもってもいいじゃないか、温度は変わらないのだから。

してみると「室内の方が湿度が高いから」というのが正解か。温度が高いこと自体では湿度が高い理由にはならないが、室内には人も多いし料理をしていたりして外気より「湿度が高い」のがふつうだから。

湿度さえ高ければ温度が高くなくても結露はするのだが、温度が低いと空気中の水蒸気の絶対量が少ないので結露もしにくい。その点暖かい室内では大量の水蒸気が空気中にあるので結露も激しくなるということで、「温度も湿度も高い」ことがメガねがくもる原因だろう。

例えばこんな↓ところに説明がある。
http://www5.ocn.ne.jp/~sanai/column/g_kumo.html

ところがある日マスクをして出かけた時のこと、ビルに入るとくもるのはいつものことだが、マスクの隙間から上に出てくる息でさらにメガネがくもってしまう。息の中には大量の水蒸気が含まれているからくもるのは当然なのだが、ここでふと気になったのは「なぜ外ではくもらないのか」ということ。

室内の湿気でくもった時と違って、息気は外でも室内でも湿気が高いことは同じはず。それなのになぜ室内ではくまるのに外ではくもらないのか。

多量の水蒸気があたっても周囲の湿度が低いとメガネはくもらないのか。
まわりがどうあろうともメガネが露点より冷たければくもってもよさそうなものなのに。

そんなことを思ってから何日かした朝、マスクをして出かけると、なんと息を吐くたびにメガネがくもるではないか。なんだ「外でもくもる」のか。なぜこれまで気かつかなかったのだろうか。(マスクをかけて出ることが少なかったからである)

そして、メガネのくもりは数秒ですーっと消えていく。また息を吐くとくもる。そうか、まわりの湿度が低いからくもり(水滴)は早く消える(蒸発する)のか。

もうひとつ思いだしたこと。メガネがなくても「吐く息が白い」というのは誰もが経験すること。十分寒ければ空気中でも息の中の水蒸気は凝結して水滴になるのだった。となると、息がメガネに達する前に水滴になってしまった結果、メガネがくもらないということもあるのかもしれない。

A「湿度が低いからすぐに水滴が蒸発する」
B「寒いから息の中の水蒸気が凝結する」

のふたつは矛盾することを言っていないか? 蒸発しやすいと言ったり凝結するといったり。

「空気は乾いている(湿度は低い)」から、蒸発しやすいが、吐いた息は湿度100%近いので寒い空気やメガネで凝結する。うん、矛盾はないな。

◆あとで考えること

・「ハーッ」と息を吹きかけるとガラスはくもるのに、同じ温度の紙や木はどうしてくもらないのだろう
・メガネを「くもらなくする方法」

February 5, 2006 at 08:31 PM in 科学 | | Comments (2)

2006.02.03

おでこで測る体温計「サーモフォーカス」への期待と不安

「体に触れずに測る体温計」が発売になった。
その名は「サーモフォーカス」 おでこ向けて(でも触れずに)測る。
↓↓ 販売元の発表資料
http://www.atengineer.com/prsrls.nsf/prs/D6F53A21B52B54E649257106001D43EC

原理は(ぼくの周辺では)おなじみの「赤外線放射温度計」。
同じ原理で「耳の中」を測るものはすでに普及しているが、今度は
・触れずに
・瞬時に
測るというもの。

値段は2.5万円!

放射温度計で「遊んだことのある」方ならおわかりのように、体の表面の温度は体温とは違う。そこで、サーモフォーカスは測定した温度を元に(通常の方法で測った)体温に換算して表示してくれる。

しかし、おでこの温度は周囲の温度に応じて激しく変わるのではないだろうか?
お肌の具合は人によっても違うけど、大丈夫なのだろうか?
それで「精度±0.2度」をどうやって実現するのだろうか?

などなどの疑問が湧く。

販売元の資料ではよくわからないので製造元(イタリア?)のwebを見てきた。

http://www.tecnimed.it/thermofocus_e.html

測定の理屈はぼくの持っている4000円の温度計と同じ。
おでこの温度は口内などの体温よりは低いので補正して表示する。

ということです。「補正」といっても個々人の違いを認識するわけではないので、単に一定の値を足すかかけるかするだけだろう。

補正によって「ふつうに測る体温」と同じような値が表示されるわけだが、その値と「ふつうの温度計で測った値との差」は、0.5 - 0.6度かそれ以上になることもあるとのこと。だから、サーモフォーカスで日頃から「平温」を測っておいて、それとの違いを見るとよい。

というわけで「精度が±0.2度」というのは、「他の方法で測った体温」と比べてではなく、この温度計で「同じものを測った値」がこの精度内に入るということだろう。(よく考えてみればそれも当然か)

実際には、検定用の標準温度計と「補正前の測定値」との間の誤差だろうと推測。

医者に薦めているようだが、入院患者のように毎日何度も測る場合には威力を発揮しそうですが、外来患者を一回だけ測る時には「サーモフォーカスでの平温」がわからないので要注意ではないだろうか。

さて、文句ばかり書いたが、この製品はすばらしいヒントをくれた。

「ぼくが持ち歩いている温度計でも体温を測れるのではないか」

「自動補正」はしてくれないが、平温との対応表を作っておけばいい。

これまでも測ったことはあったのだが、「顔面の温度は変化が激しい」という点に気をとられて〈おでこで体温を正確に測ろう〉という発想にならなかった。仕様上の精度は 0.2度よりずっと悪くて「2%または2度、どちらか大きい方」というヒドイものだが、経験的には、同じものを測って大きな差がでることはないので十分実用になりそうである。

ちなみに今のぼくのおでこの温度は 34.7~34.9℃。(2機種とも)
何日か測り続けて「おでこ平温」を調べてみるか。

・・今測ると何と32度前後。さっきまで廊下に出てカッムを洗ったり、トイレに行ったりして冷えたのだろうか。手で触ってもあきらかにさっき(34.7度)よりも冷たい。しかし、体温が下がったとは思えない(測ってないけど)

・・1時間後 まだ32度くらい。うっすら汗ばんでいて手でさわっても冷たいことがわかる。
・・数時間後 34度くらい。
・・しばらくして 34.8度になった

というわけで、「でこ温」は極めて不安定である。汗はふいてから測るとしても、平気で温度は2~3度変わる。
さあ、サーモフォーカスはどうやってこの問題を解決したのだろうか。それとも解決していないのか。

大好きな放射温度計の応用製品なので、応援したいが、とっても不安。

P.S.

製造元のイタリアのTECNIMEDという会社、サーモフォーカスはいいとして、他の製品が「ピエゾ電気ショックで蚊に刺されたかゆみを消す機械」なんてものを売っている。その親玉みたいな機械はヘビに噛まれた時に使えるというし。

February 3, 2006 at 09:56 PM in 科学 | | Comments (0)

2005.12.26

大道仮説実験ワークショップ in 福井2005

12月24, 25日と福井市に行ってきました。夫婦ともに初めて福井に行くというのに、何十年に一度の12月の大雪。行けないかと直前まで心配しましたが、無事着きました。新幹線が米原付近で徐行運転。これは、開設当初から言われている「雪に弱いところ」らしいですね。大して降っているわけではなくても安全第一でやっているからこそ、事故が少ないのでしょう。米原からは特急「しらさぎ」に接続する予定なのだけれども、20分遅れたので間に合わず。待ってはくれないようです。

さて、福井に何をしに行ってきたのかというと「大道仮説実験ワークショップ」というイベント。「大道仮説実験」とは1700年代にヨーロッパやアメリカで行われていた「科学実験講座」を再現すべく、「教室以外のところ」で、科学を楽しんでもらおうもの。
(まぎらわしいのですが「大道芸」とは呼ばないでくださいね)

大道仮説実験の講師になるための、やり方を会得したり、道具を揃えたりするのがこのワークショップ。

ぼくは3度目の参加ですが、妻が初めて参加。「授業に使えるもの」を想定していたら、もっと大きな世界が見えたということで満足していました。

主催している「楽知ん研究所」(NPO法人)については、こちらへ

さて、帰りの電車、雪はなんとかおさまって北陸線は7分程度の遅れ。「特急しらさぎ」から米原での新幹線への乗り替え時間は8分! これは危ないということでみどりの窓口のおねえさんが、米原乗り替えをやめて、しらさぎでそのまま名古屋まで行ってから乗り替えるルートに変更してもらった。米原から名古屋まで在来線を走るわけで、ゆっくりになるけれども名古屋なら新幹線がさくさんあるので乗り継ぎが楽だろうというわけ。これは名案。

しらさぎに乗ったら、車内放送で「米原での乗り継ぎの新幹線には待機の申請をしています」だって。あらま。北陸線は待ってくれなかったけど、新幹線は待つこともあるのですね。
今更変えるわけにもいかないし、急ぎわけでもないので予定通り名古屋経由で帰りました。

名古屋からなら10分とおかずに東京行きが走っているのに、米原からは1時間に1本。北陸への玄関口だった米原は、関西方面からが湖西線経由になってからは寂しくなってしまったようです。それでも東京から3時間半で福井に行けるのだから、遠くはありませんね。

December 26, 2005 at 11:15 AM in 科学 | | Comments (2)

2005.11.28

AERAに『水からの伝言』の批判記事

「水が言葉を理解する」
「水に〈ありがとう〉と言うと、きれいな結晶ができる」

などといった現在最も影響力が大きいであろう「トンデモ科学」本

江本勝氏の『水からの伝言』

を批判する記事が、AERA(2005/12/5号)に掲載されています。

ベストセラーの「トンデモ科学」度
  『水からの伝言』の仰天」

というタイトルで、2ページに渡る記事です。

水商売ウォッチング」の天羽(あもう)優子さん(山形大学)や、ブログでニセ科学批判を続けている大阪大学の菊池誠さんをはじめとする多くの科学者からのコメントを中心に、わかりやすく書かれています。

江本氏本人からのコメントにも多くの誌面をさいています。おそらくご本人の言いたいことがちゃんと書かれていると思われます。(記者が思いついて書けるような内容ではありませんから)

これだけメジャーな雑誌に取り上げられた、ということは「批判派」にとっては、大きな力です。
「1冊持っておくと便利」(菊池誠さんによる)なので、興味のある方は立ち読みではなく購入していただけると、よろしいかと思います。360円です。

November 28, 2005 at 04:30 PM in 科学 | | Comments (3)

2005.11.08

サイエンスサイトーク4題

ジャーナリスト日垣隆氏がゲストを呼んで話を聞くTBSのラジオ番組。
http://www.tbs.co.jp/radio/xitalk/

報告をさぼっている間に3週間で4回も収録がありました。
放送日は未定。

◆10月25日(火)収録その1
ゲスト: 濱田篤郎さん
 (海外勤務健康管理センター所長代理、旅行医学、熱帯医学)
 
 「旅行医学」とは、聞き慣れない言葉だが、想像はつく。旅行先で病気になったり、旅行先でもらってきた病原を帰国後にうつしてしまったり、という話。何といってもこの話題と中心はSARS。

「旅行者が運ぶ感染症」というのは何だか恐ろしい表現だったけど、生きた人間にくっついてくるんだから、その通りなんですね。

「検疫」が有効か、という話の中で、「SARSは潜伏期間が10日くらいなの対してインフルエンザは2日で発病するので検疫が効かない」というようなことを言っていた。「ん? 逆じゃないの」と不思議に思って質問したら、番組アシスタントの有村美香アナウンサーが「私も同じことを思いました」と言って、有村さんなりのフォローをしてくれたがよくわからず。濱田さんご自身も説明してくれたが、途中で矛盾に気付いて「潜伏期間が短かいからというのは違いましたね」と潔く訂正。感じのいい人だった。

◆10月25日(火)収録その2
ゲスト:  神戸俊平さん(獣医師、ケニア在住)

「1971年にケニアに行かれたんですよね」と言うから、ふーんと思って聞いていたら、「そのまま今もケニアに住んでいる」というのでビックリ。獣医さんで、成田空港の検疫官になりたかったけど、その前に「3週間」の予定でアフリカに行ったら、そのまま居ついてしまったということ。

ナイロビ大学で獣医学の修士課程を出たのだけど、お金がなくて困っていた時にナイロビの日本料理店で前に座っていた「貧乏人にお金を出すのが趣味というアメリカ人」に助けられ、修士論文を書くのに英語で苦労していたら、今度は編集者に出会って助けてもらったそうです。

マサイ族と親交が深くて、よく訪問するのだが、行くとタイコやノロシで連絡を取りあって神戸さんが来たことが伝わっているのだそうだ。家蓄を助けたりして感謝されている。

今やケニアは「観光」に大きく頼っていて、観光客が落としたお金を自然を保護に回す、というちょっと皮肉なことになっている。マサイ族も「観光マサイ」と呼ばれる人たちがいるそうです。 いかりや長介がケニアびいきで、長さん記念の「エコツアー」が企画されているそうです。

最近、マサイの人と結婚した日本人女性というのが話題だそうで、一体どうやって暮しているのかと気になったのだけれども、「今は日本にいる」というので拍子抜け。

神戸さん、髪は薄いがなかなかダンディー。一夫多妻のケニアで、どうしているかと思ったら、いまだに独身だそうです。とても楽しい方でした。

◆11月1日(火)収録
ゲスト:河合幹雄さん (桐蔭横浜大学教授、法社会学)
 (心理学の河合隼雄の息子さんだそうです)

「犯罪が急に増えてきた」と何かと書きたてられるが、それは本当か?という話から始まる。この話は、個人的にはあちこちで聞いたり読んだりしていて、日垣さんもよく話題にしている。そのせいで、なんだか日垣さん主導になっちゃって調子が悪かったのだけど、途中から河合さんならではの犯罪関係の詳しい話がでてきて、いい具合になった。

「犯罪の件数」というのは、急には変わらないものと昔から言われている。にもかかわらず、突然数字が変わるのは、戦争を別とすれば、「数え方を変えた」と考えるべき。

もうひとつは、「犯罪の数」は実は数えられないので、実は「検挙数」を見ている。つまりは、警察が頑張れば、見かけ上犯罪の数が増えるということになる。

例えば、全国の警察に「痴漢通報窓口」として女性を配備したそうで、そのために女性からの届出が急増したという。見かけ上は痴漢が増えたように見える。自転車の防犯登録のおかげで、盗まれても戻ってくる可能性があるので、盗難届を出す人が多い。これも「自転車ドロボーが多い」と見える。

日本は、犯罪に対する法的制裁は甘い。しかし「社会的制裁」が重い。かつては刑務所から出た人が、「再犯しにくいような職業」(具体的には言わず)について、親方に管理されて、結果的に再犯しない環境があった。

現在でも暴力団が一種の「犯罪者の受け皿」になっているとも考えられるそうです。

例によって、うまく紹介できませんでしたが、大変面白い話でした。

◆11月7日(月)2本録り
ゲスト:畑村洋太郎さん(畑村創造工学研究所所長、工学院大学教授、
             失敗学、ナノ・マイクロ加工学)
「失敗学」で有名になってしまったけれども、本当にやりたいのは「ものづくり」や「わかる」ことの研究。

回転ドア事件直後に「ドア・プロジェクト」を個人で立ち上げた。回転ドアが「危ないものである」ことを知らない人が作り、使う人も知らなかったから起きてしまった。ヨーロッパでは、「重いと危ないから」ということで、回転ドアは軽く作ることが常識化されているが、六本木ヒルズのものは3倍くらいの重さだった。

「危ないものは危ないのである」ということをみんなが認識すべきである。エレベーターのドアが「閉まりそうな時に触れば開く」と誰もが学習して信じているが、これは良いことではない。みんな平気でドアを押さえすぎる。いつか狭まれるぞ。

危険を回避できるようになるためには「(致命的でない程度に)痛い目にあう」のがいちばん。(そうだそうだ)

モノを「観察して」「分析して」「理解する」ことが重要であるが、じっと観察する前に「行動を起こす」方が良い。(見る前に飛べ、か)

帰りにこの人の本を2冊買ってしまった。
続 直観でわかる数学』岩波書店

畑村式「わかる」技術』    講談社現代新書

この番組はTBSラジオで毎週日曜夜9時から放送されますが、野球に弱いので、放送日程は遅れ気味。ロッテが「アジアシリーズ」に出るので、さらに延びる模様。「ポッドキャスティング」でも聞けますが、今日紹介した回はまだ大分先になりそうです。

www.tbs.co.jp

November 8, 2005 at 12:49 AM in 科学 | | Comments (5) | TrackBack (1)

2005.11.07

今度は「超電水」だ。 クリーン シュ!シュ!」

「超純水」に続いてまたまた東急ハンズに「すごい水」登場。

その名は…

電解アルカリクリーナー 超電水クリーン シュ!シュ!

スプレーボトルに入って売られている「洗浄液」。いろんなものにシュシュと吹きかけて汚れを落として見せている。

さてその中身は?「超電水」って?

カタログから、まずはこれ。

『クリーン シュ!シュ!』は電解アルカリ水100%で出来ていますので、界面活性剤溶剤等を一切含んでいません。泡が出ないので二度拭き不要。

『クリーン シュ!シュ!』はpH12.5化学物質が一切入っていないのにたったの30秒から1分で除菌ができます。

『クリーン シュ!シュ!』は、水100%でできているのに、油汚れを鹸化しタンパク質を分解します。

強アルカリ性と言いましても、苛性ソーダなどの危険物質ではなくマイナスイオンを多く持っているだけですので、やけどや皮膚への刺激はありません
販売代理店サイトより)

電解アルカリ水
pH12.5
化学物質が一切入っていない
水100%

これ、同じもの??

が、驚くのはまだ早い、カタログにはさらにこんなことが…

本商品を化学式に直すと濃度の非常に薄い水酸化ナトリウムになり…

おいおい、化学式に直そうが直すまいが水酸化ナトリウムは水酸化ナトリウムであり、自らが「危険物質」と言っている「苛性ソーダ」のことでもあります。

どういう水から水酸化ナトリウムが出てくるんじゃぁ

ハンズでの実演では、いろいろきれいにして見せていたから、たぶん洗浄力はあるのでしょう。「薄めた水酸化ナトリウム」なら、殺菌力もあるでしょう。それを堂々と言えばいいのに「水100%」はいけませんぜ。販売員もそう言っていました。「ホントに水100%」なんですか? と聞こうかと思ったけど、きのうは気乗りがしなかったのでやめました。 プチトマトにシュシュと吹きかけると、黄緑色の汁が出てきました。農薬などだというけど、トマトの果皮が溶け出したんじゃないの? 「安全です」と言って自分の口の中にシュシュしていたのは立派です。ママレモンだって、あのくらいなら平気だろうけど。「一番の違いは味です」といって、食べ始めたのでぼくは立ち去りました。

そろそろハンズの店長に言わないといかんな。

製造元 株式会社ケミコート
http://www.denkai.com/index2.htm

November 7, 2005 at 11:36 PM in スケプティクス, 科学 | | Comments (5) | TrackBack (3)

2005.10.30

「発熱素材」とは何か?

『通販生活』2005冬号の特集に

《発熱素材って、どうして暖かいのか不思議で不思議で》

という記事が出ていて東洋紡の「モイスケア」という素材についていろいろ書かれています。
「モイスケア」については、東洋紡のホームページにもいろいろと情報があります。

当社が開発したモイスケアはこの問題を解決し、綿、ナイロンの約7倍という高い吸湿性を備え、また環境条件により吸放湿(呼吸)を長期的に繰り返し、吸湿時には吸着熱を発生するという、ユニークな性能を持ったアクリレート系繊維です。

人間の肌から蒸発した汗を吸い取った時の「吸着熱」によって体を暖める

ということなのだけど、この「吸着熱」とは、いったい何か?
シリカゲルが水を吸った時にも発熱するけれども、一度水を吸ったら元に戻すのは大変なので同じことは繊維でやるわけにはいかないだろう。

ちょいと調べると「吸着」という現象には「化学吸着」と「物理吸着」というのがあっていろいろ難しそうだけれども、どうやらこの繊維でいう「吸着熱」というのは、「吸湿発熱」と呼ぶのが妥当な気がする。

つまり、体表面から出てきた汗が蒸発して水蒸気となったものを、繊維が受け止めて液体の水になる時に発生する「凝縮熱」のことであろうということ。たしかにこれなら繊維自体は変化しないから使い捨てにはならない。 が、その凝縮した水はどこへ行くか? どんどん吸湿してずっと保持していたらビニール着ているようなものだから、そうではなくて、適度に外側に出ていくのでしょう。そこではまた「蒸発」するだろうから「気化熱」を失なうことになる。「だったら差し引きゼロで暖まらないじゃないか」と思うのだけれども、「水」の状態で内から外に移動しておいてから外側で蒸発すれば、気化熱の影響は内側にはあまり行かないのだろう。

ということで「発熱繊維」はウソではないと思うのだけど、「発熱効果」は「着た直後だけ」という意見もある(「肌着ぽかぽか」の非科学性 01.18.2002 )

あと、ケチをつけるわけではないけれども「吸湿発熱」は、他の素材でもあるのです。吸湿性が高ければ発熱も大きいということだけど、吸湿だけして、水を逃がさないとひどいことになるから、そのあたりをうまく工夫しているのでしょう。あと、服が「暖い」理由のほとんどは、ふつうの「保温力」、つまり空気を保つことによる断熱効果のためだろうなと思っています。

きのう、あるところでこの素材の話題になった時に、ぼくの予想は「凝縮熱」だったのですが、その場では強い反対にあいました。今でも確証があるわけではありませんが、いちおう当たっているらしい。

水の「気化熱」は、日頃からよく体感できる(濡れた肌にフーッと息をかけると涼しい)のだけれども、「凝縮熱」の方は、なかなかピンと来ない。沸いたヤカンの口から湯気がでている時に、よく見ると湯気が白く見えるところよりもヤカンの口に近いあたりには「何も見えない」部分がある。ここに「水蒸気」があるのだけど、ここにスプーンなどをかざすと、「湯気」にかざした時よりもずっと熱くなる。それは、湯気(液体の水の細かい粒)は自分自身の温度の分の熱しか出さないのに対して、水蒸気がスプーンについて水になった時には、凝縮熱を発生するから。凝縮熱は539cal/g と、大きいのでビックリするくらい熱くなるというわけ。

October 30, 2005 at 08:10 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.10.23

超純水97%!の謎

東急ハンズで売っているEnviron-201なる洗浄剤は、その成分が「超純水」だそうである。
http://www.hinoki-nigari.com/page016.html

超純水とは、水の不純物を極限まで取り除いたもので、微細な測定や半導体の製造などに使われることはあっても一般の「洗浄剤」として使われるものではないはず。が、ともかく「超純水」なのであれば、それはそれで面白い。 が、その成分を見ると、

超純水97.097%

なのである。う~~~む。だとすると残り3%には一体なにが?
さらには

50倍に薄めて使ってください。

と。いったい何で薄めるのか。さらには、

2倍濃縮タイプ

もあるとのこと。超純水を濃縮するといったい何が?? 

ちなみに標準タイプの成分は、
・超純水(97.097%)
・メタけい酸塩(1.30%)
・界面活性剤(LAS)
・分散剤

「超純水」に何かを混ぜちゃう時点でもうわけがわからないのだけれども、そりゃ混ぜないと汚れは落ちないから仕方ない(落ちるとすれば、だけど)。

「2倍濃縮タイプ」の成分は、
・超純水(94.194%)
・メタけい酸塩(2.60%)
になっていた。これは他の成分をそのままにして「超純水」分を減らした分量だから、元に戻すためには超純水で薄めないといけないのだけど、などとマジレスしても仕方ない。

さらにはこんなことも書いてある。

アルカリ性(苛性ソーダなどのアルカリとは全く違い、皮膚に安全です)

たしかにアルカリ性だからといって危険というわけではないけれども、カタログには、

特にマイナスイオン値を高める事によって驚異的なPH(ペーハー)値最高14.0の強アルカリになります(苛性ソーダなどの遊離アルカリとは違います)。

と書いてある。「PH 14」……「安全」って。

ついでに、

長時間コロナ放電したイオン化水と、界面活性剤LAS(生分解性)他洗浄補助剤及び環境・生体を配慮した、高いPH(ペーハー)値14.0の相乗作用で、急速に油を剥離・分解し「水に溶解する油でない物体」にして簡単に落とすのです。

これで実際にきれいになるならそれでいいけど、「超純水」なとと平気で言っちゃう製品をわざわざ使うかどうかは、ちょっと考えてみたいところ。

October 23, 2005 at 02:55 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (0)

2005.10.20

2005/10/18 「ヒートアイランド」のことなど 三上岳彦さん

TBSラジオ「サイエンス・サイトーク」の収録、今日ゲストは三上岳彦さん(首都圏大学東京)で、テーマは「異常気象の正体」。
「ヒートアイランド」はいわゆる「地球温暖化」とは別に都市部の気温が高くなる現象。効外と都心部とでは2~4度くらい違うらしい。主な要因は、
・人工廃熱の増加
・コンクリート、アスファルト増加による蓄熱
などだそうです。

街路樹や芝生などの「緑」は、日陰を作ったり、熱を放出したりして温度を下げる効果がある。新宿御苑や明治神宮などの大きな公園によって都市の温度が下げることを期待しているそうで、公園の風下200メートルくらいには冷気が来るらしい。緑が増えるのはいずれにしても結構なことだけれども、こと「温度の降下」という意味だと費用対効果はどうなんだろう。

質問時間に、ある人が「植物による効果は、気化熱によるものだと思うので、人工物でも水を保って少しづつ気化させることができれば有効なのではないか」という趣旨の質問をした。丁度同じことをぼくも聞こうと思っていた。 三上さんの答えは、いささか意外であった。

「それはそうかもしれないが緑には心を落ちつかせるメンタルな効果がある」と。

うーん、何を言っているんだろうこの人は。これは
「自然の緑よりも人工物でやった方が良いのではないか」という意見に対する反論だと思うが、当然のことながら質問者はそんなことは言っていない。

何らかの思い込みで、「緑を増やすべき」という考えに反論されたとでも思ったのかもしれないが、およそ科学者とは思えない反応で、かなり情なかった。

こういうのは好き嫌いの問題なのかもしれないけれども、こんなちょっとした質疑がもとで「あれっ?」と思うことが見つかってしまうことがあります。

October 20, 2005 at 03:25 PM in 科学 | | Comments (6) | TrackBack (1)

2005.09.28

【放射熱日記】アイロンが熱くない

アイロンが熱くないわけはありませんが、熱いはずなのに熱く感じないことがあります。

この写真を見てください。

VFMI0189 電源を切った直後のアイロンが41℃ということはありませんよね。でも放射温度計はそういっています。

それでは、次は?

VFMI0190 こっちは78℃。どこが違うのでしょうか?

2枚目では、温度計は、アイロン面のスチームの出る穴のあたりに向けられています。アイロンのピカピカした面は放射率が低いために、温度が低くでたのに対して、穴のまわりは水アカなどで汚れているので、放射率が高くなって高い温度が出た、ということのようです。

でも、78℃でもまだ低すぎですね。穴のあたりに向けても、それ以外の部分も測ってしまうので、まだ低くでているのでしょう。(測定した時は、写真よりも温度計はアイロンに近づけてはいましたが、まだ他の部分も含まれていたでしょう)

ピカピカの金属面は放射率が低くて、温度が低く出るというのが放射温度計を使う時に注意のひとつなのですが、実際なかなかそういう場面がないのですよね。ふつうに室内にある金属面を測ると、気温より高くでることがよくあります。はじめはビックリしたのですが、タネをあかせば、金属から放射される熱(赤外線)に加えて、まわりの赤外線が金属面に「反射」して、温度計に届くために、「高め」に出るようです。

これには、ある日気付いて、説明書にも書いてありませんでしたが、オプテックス社のページのQ&Aに「反射」についての注意が書かれていました。結局は、反射があろうがなかろうが、金属面はまともには測れないのですが、「放射率が小さいはずなのにどうして高くでるの?」という疑問のヒントにはなるかな。

September 28, 2005 at 11:33 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

ドライアイスを30倍で見ると

ライトスコープという「30倍のポータブル顕微鏡」があります。その名の通り「ライト」がついているので、ふつうの顕微鏡のようにスライドグラスの上に対象物を載せなくても「虫めがね」感覚で何でも見ることができます。
VFMI0211VFMI0212
このライトスコープを使ってドライアイスを見ると、すばらしい光景が見られます。

・ドライス自身が溶けて(昇華して)小さくなって、やがて消えてしまうところ
・空気中の水蒸気が昇華して氷の結晶が成長していくところ

このふたつを見ることができます。

ドライアイスは、ふだんは白く見えますが、こうして見ると透明なガラスのようです。おそらく圧縮して固めて作られているからでしょう、小さな粒を集めたようになっています。氷の結晶は、雪と同じ六角形がどんどん成長していくのが見えます。雪も水蒸気から水を経ないで氷になるので同じできかたです。ドライアイスが透明なのに対して、こちらは白く見えます。もっと拡大すればおそらく透明なのでしょうが、小さな結晶なので白く見えるのでしょう。

写真を見せられないのが間抜けですが、携帯のカメラをくっつけても露出やピントが合わなくてうまくいきませんでした。

さて、「ドライアイスをライトスコープで見るときれいだ」と思いつつ、なかなかドライアイスを手に入れることがなくて、先日久しぶりにやってみたのですが、イマイチ感動がない。溶けていかないのです。いろいろやった末、「小さな粒しないとダメ」と気が付きました。
大きいままだとあまり溶けないのです。(本来の目的にはこれが重要)

というわけで、小さな粒で何度も見ていたのですが、ふと、また大きな塊を見てみると、ドライアイスが溶けないのはともかく、氷の結晶が出来るところは見えるだろうと思うのにこれが見えません。もちろん長い時間おいておけば肉眼でもわかるくらい「霜」がつきますから、実際にはできているのでしょうが、成長していく様子はほとんど見えません。

うーん、不思議。が、ここでひらめいた。「ドライアイスが気化する時の気化熱で冷却されるから氷がよくでていたのでは」と。ドライアイス(二酸化炭素)の気化熱は132cal/gほど。水の539cal/gほどではないけれども、これはかなり大きい。気化してできた二酸化炭素ガスに水蒸気が触れる効果もあるのかもしれない。

ともあれ、「ドライアイスが溶けるからこそできる氷の結晶」というわけで、おかげさまで美しい現象を同時に見ることができるのでありました。

September 28, 2005 at 06:13 PM in 科学 | | Comments (8) | TrackBack (1)

2005.09.21

大村政男さん

きのう(2005/09/20)は、TBSのラジオ番組「サイエンス・サイトーク」の今期初の収録だった。ゲストは、大村政男さん(日本大学名誉教授)

大村さんといえば、心理学者にして、血液型性格判断に関して様々な研究を続けている希有な人である。ご本人によれば、この頃はそうでもないが、かつては「血液型をやると心理学者の間ではバカにされる」ということで、勇気がいったらしい。

この大村さん、一年ほど前から一部の血液型ファンの間でちょっとした話題になっていた。
「あの大村さんが転向した」
というのだ。「血液型性格診断の否定派から肯定派へ」と。

TBSの「スパスパ人間学」という番組に出た時のことを言われているらしいが、血液型ファンからは喜ばれたけれども、心理学者の仲間からは非難されたとか。当然か。

「転向」について詳しく書かれているABOさんのページによると「大村さんが再転向」ということで、たった今は「否定派」ということになっているらしい。

さて、インタビュー(聞き手は日垣隆氏)の内容は、「血液型人間学の歴史」のような感じで、特に過激な話はなし。日垣さん「否定を前提として話している」といいながら「O型は○○ですよね」とか、スラスラ出てくるのがおかしい。これまでにも否定派の大物として、佐藤達哉氏、菊池聡氏なども出演したことがあるのだけれども、大村さんは、ずっと隠建派という感じ。それもそのはずで、質問コーナーでいろいろ聞いたところによれば「血液型は捨てがたい」と思っているのだそうです。「血液型で人間の気質がわかればいいな」という想いがずっとあって、血液型でなくても、ドーパミンやセロトニンには何かがあるのではないか、と考えていたところに「スパスパ」で、それらしい結果がでたのでちょっと嬉しかった、というような感じであった。

心理学全体の話としては、「心理テスト」がいい加減であることを悲しんでいました。そりゃ、シロウトでもそう思いますけどね。その意味でも大脳生理学の分野で取り組んでくれることを大村さんは望んでいるとのこと。自身の分野である心理学の限界を知っているところがすばらしい。

インターネットをご覧になっているようではなかったので、関連ページを差し上げようかと思ったら、「他の人から送ってもらいました」とのこと。そりゃそうですね。

会場からの質問に答えてのおススメの図書は、
安藤寿康さんの本だそうです。
例えばこれ。(この本を薦めていたわけではありません。単にぼくが面白そうだと思っただけです)

『心はどのように遺伝するか―双生児が語る新しい遺伝観』
安藤 寿康著 ブルーバックス






大村さんの本を紹介せずに、読んでもいない安藤さんの本だけ紹介するのもヘンだけど、覚え書きということで。

September 21, 2005 at 02:55 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.09.18

「よせなべ物理サークル」に参加

「よせなべ」とは埼玉の理科の先生が中心となってやっている研究サークル。あえて名前の由来は聞いていないけど、「いろんな人が集まってくる」という意味があるには違いないだろう。友人に誘ってもらってきのう初めて例会に参加した。

会場は、秋葉原の中村理科工業の一室。いつもは埼玉県で行われるのでちょっと行きにくいのだが、今日は近所。

参加人数は20名くらいだろうか。4月から参加しているYPC(横浜物理サークル)と比べると、年配の方が多い感じである。知っている人か2~3人来るだろうことは予想し頂いたが、それ以外にも「あっ」という感じで、知りあいに3人もあえてちょっと嬉しい。

前日決めて行くことになったので準備もしていなかったが、唯一の「持ちネタ」である「放射熱体感セット」を持っていった。YPCにもこれでデビューしたし。
会場の様子がわからなかったので、中に入れるお湯もポットに入れて持っていった。実際には、会場にも湯沸かしポットはあったのだが、用意周到に越したことはない。

041208_001

おなじみの「金属面と塗装面とで暖かさが違うか」というデモ。ちょっとお湯がぬるかったかなと気になったけれども、しっかり区別は感じてもらえた。せっかくダイソーで買った「回転台」に載せたのに、説明し忘れたので、手をあちこち曲げて感じててもらって申し訳なかった。途中からは回してもらった。行列を作って、ひとりづつやってくれたのが何ともお行儀がよくていい感じ。

放射と吸収について、活発に意見や質問がでたあと、ちょっと驚いたことがあった。ひとりの先生が、以前から放射熱に興味を持っていて、自分の生徒がそれをテーマに研究発表した時のPowerpoint資料をUSBメモリーに持っていた、ということでそれを見せてくれたのである。金属面そのまま、白く塗った、黒く塗ったカンの温度の低下を比較したグラフなど、すばらしい内容だった。

また、新しい仲間が増えた。

September 18, 2005 at 04:18 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.09.13

【放射熱日記 2005/09/13】夏の空の温度

きのう、きょうとまた暑くなってきた。
しかし、少し前までの暑さとはちょっと違う。

気温・・・35度
直射日光の当たるアスファルト・・・50度

という中 

空の温度・・・8~10度

である。要するに「湿度が低い」証拠。とはいえ調べもしないで書くのも危ないので、webで調べてみよう、

と思うが、きのうや今日の湿度がでているページが見つからない。気象台のHPにあったかと思うのだが、おとといまでだったりする。

個人的にリアルタイムでやっているページがあった。
観測地: 山梨県韮崎市 北緯35゜42' 東経 138゜ 27' 標高 360m
http://jd.ws14.arena.ne.jp/weather/upload/current_jp.htm

はじめ、どこだかわからなかったので東京ならいいなと思ったのだが、山梨県の韮崎だった。こことは大分気候が違いそうだからだめだな。

ここも↓面白い。マウスを地図にのせるとリアルタイムの気温や湿度がでる。
AMeDAS(アメダス)実況 : お天気ライブと天気予報
http://www.d-web.co.jp/live/amedas.aspx

ようやく見つかった。やっぱり気象台のHPの中の方にあった。
毎正時の観測データ
http://www.data.kishou.go.jp/maiji/data/47662.html

これと、過去データによると9月に入ってからの13時現在の温度・湿度はこんな感じ。

(各13時) 温度 湿度 雨量(日)
2005/9/1(木) 30.8 45%
2005/9/2(金) 31.3 48%
2005/9/3(土) 31.2 47%
2005/9/4(日) 29.1 67% 70mm
2005/9/5(月) 24.9 81% 24mm
2005/9/6(火) 24.5 85% 8mm
2005/9/7(水) 28.8 72% 2.5mm
2005/9/8(木) 32.7 51%
2005/9/9(金) 25.3 64%
2005/9/10(土) 30.0 55%
2005/9/11(日) 31.3 59% 22mm
2005/9/12(月) 30.3 51%
2005/9/13(火) 32.2 54%

あれ、結構このところ湿度低かったんだ。
もちろん「空の温度」は湿度だけで決まるわけではなくて、雲が多ければ確実に高くなるのだけど、夏になってからは、「雲はないのに高い」ということがよくあった。

夏はあちこちで温度差が激しいので、放射温度計を使うのが楽しい。

September 13, 2005 at 03:18 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.09.02

J.R.Mahan "Radiation Heat Transfer: A Statistical Approach"

"Radiation Heat Transfer: A Statistical Approach"
J. R. Mahan (著), James R. Mahan (著)

チンダルの熱の本("Heat: As a Mode of Motion")に触発されて、Maxwellの "Theory of Heat", Max Planckの"Theory of Radiation Heat"をかじっている途中なのだが、print.google.com で遊んでいたら、この本を見つけて、また欲しくなって買ってしまった。

著者はVirginia Tech で30年以上、放射熱の研究をしてきた人で、モンテカルロ・レイトレース法(MCRT)という手法を使って放射熱を解析している。もちろん、ぼくにはまだ何のことだか全くわからない。

この本は、Wiley というまともな出版社から出ているのだけど441万2千円以上もするとてつもなく高い本です。需要がないのでしょうか。(2005/9/4 栃木庭球屋さんのご指摘で価格修正)

シロウトなりに放射熱のことを勉強するにしても、もう少し他に適切な本があるのでしょうが、マニアとしては、ついつい買ってしまうのである。3ページくらい読んだところでは、とりあえず読めそう。

ところで print.google はすごい。ふつうのGoogleはwebページの中を探すのだけれども print.googleは「本の中身」を探すのである。もちろんすべての本を探せるはずはなくて、登録されているほんのわずか(何冊だろう)の本なのだけれども、古い本もあれば、この本のように出版されて数年しかたっていなくて、かつ売れそうもない本も入っている。売れそうもないからこそ入れたのかもしれないけど。

本の中を検索できるというのは大変なことで、そうやって本を見つけるのが第一の目的だが、買ってしまった本の中身を検索するのにも役に立つ。上で挙げた "monte carlo"というフレーズがどこで使われているかがすぐわかる。まあ、それだけなら索引でもできるのだが、
"described"と"method"が出てくるページ、などというものも検索できる。(もうちょっとマシな例はないのか>自分)

本には、CD-ROMが付いていて、その中にはMCRTをやるFELIXというソフトの学生版が入っている。果たして、それを使ってみるまでに致るのかどうか。

September 2, 2005 at 01:32 PM in 書籍・雑誌, 科学 | | Comments (4) | TrackBack (1)

2005.08.21

【放射熱日記 2005/08/21】またMaxwellのTheory of Heat

James Clerk Maxwellの "Theory of Heat"のことは、前にもここで書いたのだが、その後Braggの"Concerning the Nature of Things"の方に気が向いていたこともあって、いまだに全部通しては読めていない。

もともと放射熱が目当てだったので、"Radiation"とあるところを拾い読みしていたのだけれでも、きのう、ようやくChapter XVIのRadiation というところを読み始めた。"On Radiation"というはじめの区切りでは、放射は熱とは言っても光や音に近い性質がある、という話から始まっていて、興味はそそられるがやや難しい。10ページほど後に"On Prevost's Theory of Exchange"という区切りがあった。Exchangeといわれてもピンと来なかったのであるが、
「物体は、近くに冷たいものがあろうがなかろうが同じように放射を発する」ということが、しつこく書いてある。おお、これこそ、放射熱を調べはじめからのぼくの発見のひとつではないか。冬の放射冷却が「宇宙の絶対零度のところに〈向かって〉放射する」という説明に疑問を持ったところからはじまったこと。「放射に相手なんているの?」と。

このことをPrevost's Theory of Exchangeというらしい。日本語では「プレヴォーの熱交換の法則」というのが見つかったが、この名前が出てくるページはあまり見つからない。

放射が電磁波であることを考えれば、相手がなくても伝わることは、あたり前といえばあたり前の話なのだけど、そもそも放射熱のことをわかりやすく書いたものが少ないので、こんなこともあまり書かれていないのではないかと思う。

暑さのために、本を読み始めてもダラダラして寝ちゃうことが多かったのだけど、ここを見つけた時は、思わず正座して読み続けてしまった。さらには、この10ページばかりを訳してみた。

August 21, 2005 at 10:08 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.08.17

【放射熱日記 2005-08-17】 スターリングエンジンを太陽熱で回す

胃と腸の内視鏡検査を受けるために「下剤」「腸内洗浄」と続いて空腹状態が続く。病院に行くまでの間に、前からやりたかった実験に手をつけてみた。

先日の仮説実験授業の会で「低温度差スターリングエンジン」というものを手に入れてきた。スターリングエンジンにもいろいろあるが、これは別名「コーヒッカップエンジン」とも呼ばれるもので、わずかな温度差(20度程度)でも動くのが特徴。栃木県のYさんが自作したもの。

VFMI0177

写真の「八角形」の部分の上面と底面との温度差を利用して動く。
コーヒーをいれたばかりのカップの上に載せると、スイスイと回る。
底面で暖められた空気が上面のアルミ面で冷やされるという仕組み。

コーヒー(お湯でもいいが)で動くのはあたりまえなのだが、実は
同じ機械で「上面を暖めて」回すこともできるという。上面を太陽光に当てて暖めて、底面を冷やす、とまでいかなくてもあまり熱くならないようにしておけば、コーヒーカップの時とは逆の「温度差」が作れるというわけ。

上面も底面もアルミ板でできていて、このままだと太陽光を反射してしまって暖まらない。作ってくれたYさんは黒いゴムシートを載せてやったそうですが、ぼくは大胆にも黒く塗ってしまうことにした。こうすれば太陽熱をよく吸収する。(コーヒーカップの時に載せた時には、ここが冷却側になるのだが、その時も黒い方が都合が良いはずアルミの金属面は放射率が低くて、なかなか熱が逃げないが、黒く塗ることによって放射率が高くなるということは、ここ一年の放射熱ハマリのおかげで明白)

100円ショップのアルミ皿に載せてイザ外へ。皿の上に濡らしたペーパータオルを敷いた上にエンジンを載せて、底面が冷えるようにした。

まわらない。

黒く塗った面は暖くなってはくるが、イマひとつ。アスファルトは50度くらいになっているのに、37度くらいまでしか上がらない。もちろん雲が出てくると全然ダメ。そうこうするうちに、皿の方も暖まってきてしまった。皿はアルミであっても光沢面なので、日光が当たってもなかなか暖まらないのだけど、手で持っていたから体温で暖まってしまったのかもしれない。
路上でこんなことをやっていたので、通りがかった近所の人が「それは何ですか?」と近づいてきて、しばらく話をした。「スターリングエンジンは、名前だけは聞いたことがあったのですが、見るのは初めてです」とのこと。(ふつう、そうか)「コーヒーカップの上で回るものだが、今は太陽熱で回そうとしている」と説明したら「コーヒーカップだと回るんですか?」と聞くので「そりゃもうよく回りますよ」と話した。

こんな会話も面白いけど、やっぱり落ち着いてやりたいので、今度は庭でやろう。

August 17, 2005 at 10:17 PM in 科学 | | Comments (1) | TrackBack (2)

2005.08.16

【放射熱日記 2005/08/16】「暑さ」3種

ここ東京での「暑さ」は、3種類に分けられると思う。

1.空気が暑い
2.湿気で暑い
3.太陽の放射が暑い

1.空気が暑い
 気温が高ければ暑い、これ当然。とにかく体のあらゆるところに作用するから暑く感じるし、物かげにかくれようと、室内に入ろうとその気温なりの暑さか襲ってくる。

2.湿気で暑い
 いわゆる「ムシムシする」というやつ。湿度が高いということは空気中の湿気(水蒸気)が多いということなのだけれども、あのムシムシするのは、水蒸気そのものがベタベタしているわけではない(誰もそんなこと思わないって?)。湿気が多いと汗が蒸発しにくくなるので、体の熱が逃げなくて暑く感じるのだろう。

3.太陽の放射が暑い
 夏の太陽の光を浴びるとこれはかなり暑い。気温は30度でも、道路のアスファルトや塀が50度以上になることもザラ。体で直接受ける光も暑い。麦わら帽子や日傘はなかなか良さそうである。
 直射日光の暑さは「日が当たらない」ところにいけば瞬時に避けることができるのが救い。日傘もそうだし、木陰でも何でも、とにかく直接日が当たらないところにいけばOK.窓ガラスは日光を通してしまうので、家の中でもガラス越しは「放射が暑い」。

「暑さ」の種類の違いを感じたのはアメリカのカリフォルニアにいた時のこと。夏は思いきり暑くて、うっかりひなたにクルマを駐車しておくと、ハンドルやシートが触れないくらいに熱くなる(ハンドルを持ちつつ発信して、回そうとしてアチチということもあり)。外を歩いていても日に照らされると暑くてたまらないのだが、日陰に行けば気温が高くても涼しい。これは「湿気がない」からだろうとは思っていたが、その結果が汗が乾きやすくて涼しく感じるのだろう。湿度の低さによる「涼しさ」は、ちょっと不思議で、空気中の水蒸気の量(絶対湿度)が同じなら、気温が高いほど相対湿度は低くなる、つまり「モノが乾きやすくなる」ので、湿度が高い部屋で電気ストーブをつけて、「涼しく感じる」方法もあるという。相対湿度が下がるのは事実だけれども、それによる爽快感が室温の上昇による不快感を上回るのかどうかは不明。

東京の夏は「三拍子揃っている」ので、日陰にいって「3」を避けても「1」と「2」があるのでまだまだ暑い。風が吹くと涼しいのは何故だろうか? 冷たい風が来るのなら涼しいのは当然だが、同じ温度の風であっても有難いのは、
・体温で暖められた体表面近くの空気が入れ替わる
・汗が蒸発して「飽和水蒸気量」に達した体表面近くの空気が入れ替わる
などのためなのだろう。

August 16, 2005 at 04:33 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.07.20

一度試さなければいけない

ファイテンという会社がRAKUWA(ラクワ)などの、いわゆる「チタンを使った健康グッズ」を出しています。TVでは「物干ざをを持ち上げる」CM(この頃みないな)で有名。

この「効果を示すデモンストレーション」というのがあります。

中身の入った2リットルのペットボトルを紙袋に入れる。
椅子にこしかてたままで、その紙袋を人差し指1本で持ち上げる。

感想:「重い」

次に、ファイテン製品を首に巻いてから同じことをする

感想:「軽くなった」

かくしてこれが「ファイテンの効果」となって、みなさんが買っていくそうです。

同じものが「軽くなる」という場合、とりあえず次の3つの可能性があります。

1.実際にモノが軽くなった
2.持つ人が力持ちになった(例:ファイテンの効果によって)
3.軽くなったような気がした

「1」は測ればすぐわかるし、さすがにこれを主張する人は少ないでしょう。
「2」か「3」かを決めるのはとっても難しい。
〈ファイテンを外してからもう一度持ってみる〉という方法もあるけど、どうなんでしょう。

やってみる価値のある実験としては、まだこれをやったことのない人に、
・まず、ふつうに持ってもらう
・次に「特製リング(自作)」をつけて、持ってもらう

これで軽くなれば「特製リング」の効果はすごいのか。
何も変えずに、単に「もう一度やってみてください」もやってみるべきでしょう。
ペットボトルの中身を減らして本当に軽くしたふりして実はそのままにして持たせるのもいいかもしれません。

要は「3.軽くなった気がした」に違いないと思っているわけですが、かりに「何もしなくても軽くなった」としても、それは決して「RAKUWAには効果がない」という証明にはなりません。麻原が「空中浮遊」した時に、江頭2:50などが「こうすればオレたちだって浮遊できる」ということを示したけれども、オウム側は「それは、麻原の空中浮遊を否定したことにはならない」と言ったそうです。「他にも同じことをする方法かあるとしても、超能力でないとは言えない」ということ。(ファイテンか超能力だという意味ではありません)

先走ってしまいました。
まだ私は、ペットボトルを持ち上げる実験をしていないのです。これ以上何か言うのは、やってからにします。

【参考にしたページ】
http://www.alook21.co.jp/html/phiten1.htm
http://blog.so-net.ne.jp/nabechin/2005-06-15

July 20, 2005 at 12:52 PM in スケプティクス, 日記・コラム・つぶやき, 科学 | | Comments (3) | TrackBack (3)

2005.06.26

「浮沈ぶどう」その3

炭酸水に入れたレーズンが浮沈する現象は思いがけず長く続くのですが、いずれ「気が抜けて」止まります。なんとかこれをもっと続けさせることはできないか。
「熱帯魚のエアレーション」はどうだ、という意見がでましたが、炭酸水と違って、水に空気を送り込んだくらいでは、ぶどうを持ち入げるほどの泡はできそうにありません。

ペットボトルの炭酸水は、キャップを開けるまでの間は「気は抜けない」。ということは、レーズンを入れた後でもキャップをしっかり締めておけば長持ちするのではないか?

というわけで実験。

1.飲み途中の炭酸水で
 息子が飲んだ残りの炭酸水があったので、それにレーズンを投げ込んでキャップを締める。
 いつものようにまずは沈んだ後、ひとつは浮き上がり、もうひとつは沈んだまま。まあ、こんなものだろう。
 その後、上下運動をしたりしていたが、すでに気が抜け気味なせいか今ひとつ元気がない。
 そのまま寝てしまって、夜中に起きてみたら「浮いている」。気が抜けた時には「沈む」はずなのだが、どうしてか。揺らすと落ちて、また浮かびます。1日以上たった今も「浮いています」

IMGP0646

2.開封直後に入れると
 気の抜けかけた炭酸ではよくわからないので、こんどは開けたばかりのボトルにレーズンを入れてすぐに締めました。それでも、開けた時、入れた時にかなりの泡が出ます。
 さぁ、炭酸いっぱいだから、浮きっぱなしかなと思ったらこれが意外にも「沈みっぱなし」なのです。揺らしても浮いてこない。これはわからない。ペットボトルの「張り具合」
翌朝キャップをゆるめると、シュワーッと泡が出る。

そうかぁ、密封していたら泡が出ないのは当然か。水面には二酸化炭素がグイグイと押してくるのだから、水中ではそうそう泡にはなれないのか。「ヘンリーの法則」を持ちだすまでもないね。「永久に泡が出るように」と思って密封してみたものの、大きくアテが外れました。

しかし、「泡がでない」のであれば、「沈みっぱなし」になるかと思うのだけれども、レーズンはずーっと浮いています。大して泡はついていないのだけど沈んでいかない。水を含んでふくらんでしまっているけど、だからといって比重が小さくなるわけもないのだけどどうしてだろう。

ところで、この実験が出ていた本は、実は日本語訳が二種類もでていたことがわかりました。
前に紹介した『世界教養全集』の他に、1991年に

科学入門名著全集『原子の科学 宇宙をつくるものアトム』
ブラッグ著 亀井理訳 板倉聖宣選 国土社 1991年

というのが出ていました。板倉さんはこのブラッグの本をかなり気に入って、すでに日本語訳があったにもかかわらず「中高校生に読みやすいように」と新たに訳し直してもらったとのこと。原子論の基本をわかりやすく書いてある本だけに、板倉さんが目をつけるのは当然のことでした。

June 26, 2005 at 03:43 PM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (1)

2005.06.19

浮沈ぶどう、そしてブラッグの『物とは何か』

グラスに注いだ炭酸水の中に、ぶどうを入れる。
まずは、底に沈むが、泡(二酸化炭素)がたくさんくっつくと、その浮力で浮き上がってくる。 すると、泡が消えてまた沈む。炭酸水の「気が抜ける」まで、ずっと続く。

というのが、「シャンペンとぶどう」と呼ばれるデモンストレーション。

この本に出ていた。

Concerning the Nature of Things:
Six Lectures Delivered at the Royal Institution
(Dover Phoenix Editions)
William Henry Bragg

ぶどうがなかったので、ほしぶどうでやってみたら、すぐに浮かんでくるが、なかなか沈まない。それでもしばらくすると沈んで、またすぐに浮き上がる。それだけのことであるが、なかなか神秘的。

ぶどうやミニトマトで試してみたが、どうも一度浮かぶと沈んでいかない。浮かんだ時に泡が消えるのだが、その消え方が足りないのか、また、浮かんでいる間にも水没している部分ではまた泡をもらっているからなのか。

動画です

動画を撮ってみたので載せますが、大変申し訳ないことに Windows Movie Makerというツールで編集したら wmv形式にしかなりませんでした。Macの人や少々Windows Media Playerの古い方は見ることができないかもしれません。Mac用や、その他最新のWindows Media Playerは以下からダウンロードできます。ただしMac用でこの動画が見えるのかどうかは未確認です。

きのう(6/18土)のYPC(横浜物理サークル)で紹介したところ、なかなか好評で、トマトをよく洗ってみたり、いろいろと試してみた。熱帯魚用のエアレーションではだめかなぁ、というのは「永続的に動くオブジェ」にしたかったというSさん。 2次会でも生ビールやチューハイにレーズンを落としては実験が続けられた。炭酸水と比べるとチューハイの炭酸はずっと薄いようで、浮かぶまでに時間がかかるが、そこがまた動きを美しくしていた。

さて、上記のブラッグの本、大変気に入ったことをみなさんに紹介していたら、誰かがYPCの「歩く書庫」(と勝手に命名)のUさんに聞くと「日本語訳は持ってます」とのこと。さすがUさん。さらにはそれを聞いたMさんが、部屋に戻ってからしばらくしてから、なんとその本を持ってきてくれました。

平凡社『世界教養全集』29巻
 百万人の科学概論 J.L.シング著 市井三郎訳
 科学と実験の歴史 F.S.テイラー著 平田寛・稲沼瑞穂訳
 物とは何か W.ブラッグ著 三宅泰雄訳
 自然現象と奇跡  V.A.メゼンツェフ著 藤川健治訳
平凡社/1961発行/\1,400

うーん、YPC恐るべし。そして、ありがたい。
実は、この本、気に入ったので翻訳してやろうかと思っていたのですが、その必要がなくなりました。でも、何とか再版してもらいたいものです。

【追記】

肝心のことを書き忘れていました。このデモンストレーション、見ただけでも十分面白いのですが、本の中では「水に溶け込んでいる二酸化炭素が水分子を押しのけて泡になるのはそう簡単ではない」という話の一環としてでてきます。水分子同志は強固にくっついていて割っ入るのは大変。壁面が狙い目だが、(よく洗ってある)ガラスと水もよくくっついているので入り込みにくい。というわけで、ある程度〈水をはじく〉ブドウのまわりには泡がたくさんついてうまくいく、というお話。

だったら、表面からはどの程度逃げていくのか、など興味は尽きません。

June 19, 2005 at 02:19 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (1)

2005.06.15

後藤英一さんとパラメトロン

後藤英一さんが亡くなった。
http://www.asahi.com/obituaries/update/0613/003.html

私と後藤さんは直接は関係はないのだが、父の教え子でもあったので、私が子どもの頃からよく知っている。

後藤さんの最も有名な発明は「パラメトロン」。真空管の時代に、安価で故障の少ない画期的な素子であるパラメトロンを考案して、パラメトロン計算機PC-1を作った。富士通などが商品化もしたが、トランジスターの台頭により、徐々に使われなくなった。当時の東大の研究者たちは、順番待ちして使ったそうである。

なかなかの変わり者だったとかで、そんな後藤さんを見出したことを父は自慢していたそうである。

後藤さんは、パラメトロン以外にも秀れた実績があるが、次の逸話が素晴らしい。
情報処理学会、コンピューターミュージアムのページより)

外国人研究者:「俺は後藤という日本人を3人知っている.パラメトロンの後藤,ゴトー・ペアの後藤,磁気単極子の後藤.お前はそのどれかか」

後藤英一:「俺はそのすべてだ

母が葬儀の時に聞いてきた話によると、何らかの集積回路に関しても大きな発明をしているそうなのであるが、残念ながら詳細はわからなかった。

パラメトロンは、誰でも知っているというものではないが、コンサイス英和辞典や広辞苑にも載っている。

Oxford English Dictionary(OED)を調べてみたら、ちゃんと載っていた。

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Parametron

A digital storage element consisting of a parametric oscillator in which the digit is represented by the phase (0ー or 180ー, corresponding to 1 or 0) of the output signal relative to that of an applied reference signal of the same frequency.

【引用】
  1956 ETJ of Japan June 64 A new type of electronic computer component called the paraarametron・was invented by Ei-ichi Goto of the Faculty of Science, University of Tokyo, in spring of 1954.
  1957 Jrnl. Sci. Res. Inst. (Tokyo) LI. 59 (caption) A parametron unit; an exciting current is supplied from 1, causing an oscillation in the L-Lエ-C circuit. Input and output lines are 2 and 3 respectively. 
  1960 T. E. Ivall Electronic Computers (ed. 2) xiii. 234 The parametron requires no valves or transistors, only passive reactive elements, and being therefore extremely stable, reliable and long-lived, is ideally suited for use in digital computers. The main limitation is that because several cycles of oscillation are required to establish a binary digit,+the digit rate is necessarily low. 
  1967 R. K. Richards Electronic Digital Components & Circuits vi. 337 Parametrons quickly became very popular with Japanese computer manufacturers.+ However, not one computer employing parametrons is known to have been built or designed in the United States. 
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June 15, 2005 at 11:24 AM in 日記・コラム・つぶやき, 科学 | | Comments (3) | TrackBack (6)

2005.06.09

「空の温度」の歴史 aethrioscope

放射温度計で「空の温度」を測る話をこれまでにも何度も書きました。

3150円の温度計を空に向けて毎日測っている人は、それほど多勢はいないと思いますが、天体観測とか天文学の世界では、宇宙のかなたから来る赤外線を測定するのは、あたり前のことなので、おそろしく精密に測られていることでしょうが、「空の温度」という言い方はしていないでしょう。

昔はどうだったのか思ったら、これがやっているんですね、1800年代から。
この図は、愛読書("Heat: as a Mode of Motion" John Tyndall)にでていたaethrioscope という道具です。
aethrioscope-tyndall Sir John Leslie(1766-1832)が考案したもので「空に向けての放射(radiation agaist the sky)」を測るための器械であると書かれています。「空に対する放射」といっても、実際には、物体からの放射は「何に対して」だろうと変わるわけではありません。その物体が放射するよりも多く、熱を放射してくるもの(空)があれば暖められるし、なければ冷めます。「空に対する放射」を測るというのは、実は「空からの放射」を測ることですから「空の温度を測る」と言ってもよいのではないでしょうか。あるページでは、
"instrument for measuring temperature variations due to sky conditions"(空の状態による温度の変化を測る器具)
別のページでは、
「空高くから送られてくる冷たさを測るための器具」と書いてあります。

せっかくなので買ったばかりのOED(Oxford English Dictionary)を引くと、
  An instrument invented by Sir John Leslie to indicate the variations of solar radiation.
(レスリー卿が発明した太陽光線の変化を表わすための器具)。語源的には、'aethrio'が sky を表し、scope(これはよく聞く言葉ですが)は 'observer'というから観測する物(者)とのこと。こんなマニアックなものまで出ているとはOEDはすごい。

古い機械のことがいっぱいでている事典ページKnight's American Mechanical Dictionary

にはこんな図がありました。
aethrioscope

空のいろいろな状態にさらされることからくる冷たさの度合いを測る道具。よく磨かれた椀(凹面鏡)が、適当な高さの台の上に載せられ、その中には「差分温度計(differential thermometer)」が、片方の球は、正確に凹面鏡のひとつの焦点の位置に来るように、他方の球は、どちらの焦点にでもなく、波(熱線)の影響を受けないように置かれている。その波の効果は、鏡によってひとつめの球に集中し、球の中の空気は、晴れた空に向けられることによって、直ちに収縮し、管の枝の中の液体は上昇する。椀の部分は、測定の時以外は金属性の蓋で覆われている。

Fig. 56.
An instrument measuring the degrees of cold arising from exposure under different conditions of the sky. A highly polished metallic cup or concave mirror is placed upon a pedestal, of convenient hight, and a differential thermometer is placed within it so that one of the bulbs of the thermometer shall be exactly in one focus of the mirror; the other bulb being not in either focus is not affected by the pulsations, the effects of which on the cup are concentrated upon the first bulb, the air in which being suddenly contracted upon its exposure to a clear sky, the liquid in that branch of the stem is caused to rise. The cup is kept covered with a metallic plate, except at the moments of observation.

今のところ、日本のwebで、この器械のことを書いてあるものは見つかりません。チンダルの本によれば「上空を雲が通過する」だけで、液位がかわるそうですから、かなり敏感なようですが、今となっては、もはや使い道はないのでしょう。昔の実験器具はこれに限らず美しいものが多いので、いつかは実物を見てみたいものです。

June 9, 2005 at 05:25 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (1)

2005.06.08

"Theory Of Heat" James Clerk Maxwell

"Theory Of Heat"  James Clerk Maxwell

かのマックスウェルが1888年に書いた本。(初版は1871年)
それが、2001年に復刻されたおかげで、2000円以下で買うことができました。
熱の話がシロウト向きにわかりやすか書かれていて、ぼくには大変有難い。
もちろん放射熱のことも。

まず、熱素(Caloric)説を否定しておいて、続いて "heat"という言葉を丁寧に説明してくれます。

 熱(heat)という言葉は、素人っぽい感じで、科学的ではないようだけれども、これで十分にあいまいさなく〈測定しうる量〉を、表わすことができる。 なぜならば、「熱」と量を表わす言葉とをあわせて使えば「どれだけの量の熱」のことを言っているのかがわかるからである。
 私たちは、熱という言葉には、「熱いもの」という抽象的な意味は持たせない。もし「新しいミルクの〈熱〉」と言いたい時には、〈より科学的な言葉〉である「温度」を使って、「新しいミルクの温度」と言うべきである。

などと書いてあります。

Calorimeter(熱量計)という名前は、Caloric(熱素)から来ているにしても、もう使い慣れているし、Thermometer(温度計)と紛わしいこともないので、そのまま使っている。

など、ひとことづつトリビア的な話が面白い。

読みはじめばかりで、全体のことはまるでわかりませんが、期待しながら読んでいます。熱の「伝導、対流、放射」の話を少し読んだだけでも、何ともいえずぼくの好みです。「対流でも最終的な熱の移動は伝導による」とかね。

ざっと調べたところでは、日本語訳はでていないようです。でればいいと思うんだけどなぁ。

昔は教科書として使われていたこともあったそうです。

《J. Clerk Maxwell, Theory of Heat, London, 1880.
マクスウェル( 1831~79 )は電磁気学を大成したイギリスの物理学者。 この熱学書の初版は1871年刊で、当時最新の気体分子運動理論を紹介している。 展示書には「第十四号」という複本番号が墨書されているので、すでに明治13年ごろ、成立したばかりの東京大学理学部で教科書として用いられていたことが わかる。》だそうです(初版は1871年刊とのこと)
http://www.lib.u-tokyo.ac.jp/tenjikai/josetsu/2005_02/kaisetsu03.html

そうそう、どうやってこの本に出会ったか、というと、Googleのテスト中のサービス「Google Print」 で、"tyndall radiation heat"か何かで検索していたら、この本が見つかったからです。Google Printは「本の中身」まで検索して、見つかったページとその前後を「立ち読み」することもできるのです。

以下に目次を書いておきます。途中で、大量にあることかわかったので、Chapter 5からは、Chapter名だけ。
--------------------
CONTENTS

Chapter 1    Introduction

Meaning of the word Temperature    1
The Mercurial Thermometer    5
Heat as a Quantity    6
Diffusion of Heat by COnduction and Radiation    10
The three Physical States of Bodies    16

Chapter 2    Thermometry, or The Registration of Temperature

Definition of Higher and Lower Temperature    32
Temperatures of Reference    34
Different Thermometric Scales    34
Construction of a Thermometer    37
The Air Thermometer    46
Other Methods of Ascertaining Temperatures    51

Chapter 3    Calorimetry, or the Measurement of Heat

Selection of a Unit of Heat    54
All Heat is of the same Kind    56
Ice Calorimeters    58
Bunsen's Calorimeter    61
Method of Mixture    63
Definitions of Thermal Capacity and Specific Heat    65
Latent Heat of Steam    69

Chapter 4 Elementary Dynamical Principles

Measurement of Quantities    74
The Units of Length, Mass, and Time, and their Derived Units    76
Measurement of Force    83
Word and Energy    87
Principle of the Conservation of Energy    92

以降はChapter名だけ。

Chapter 5    Measurement of Internal Forces and Their Effects
Chapter 6    Lines of Equal Temperature on the Indicator Diagram
Chapter 7    Adiabatic Lines
Chapter 8    Heat Engines
Chapter 9    Relations Between the Physical Properties
Chapter 10    Latent Heat
Chapter 11    Thermodynamics of Gases
Chapter 12    On the Intrinsic Energy of a System of Bodies
Chapter 13    On Free Expansion
Chapter 14    Determination of Heights by the Barometer
Chapter 15    On the Propagation of Waves of Longitudinal Disturbance
Chapter 16    On Radiation
Chapter 17    On Convection Currents
Chapter 18    On the Diffusion of Heat by Conduction
Chapter 19    On the Diffusion of Fluids
Chapter 20    On Capillarity
Chapter 21    On Elasticity and Viscosity
Chapter 22    Molecular Theory of the Constitution of Bodies

June 8, 2005 at 03:23 PM in 書籍・雑誌, 科学 | | Comments (0) | TrackBack (1)

2005.06.01

「奇跡じゃない」じゃないじゃない

5月18日(水)にTBSで放送された、

『確率10000000分の1!?世にも不思議な超偶然事件簿!!
 アレは奇跡?奇跡じゃないってば!!" 』

放映されてからかなりたちますが、ようやく録画を見たのでひとこと

オカルト番組が氾濫する中、勇気を奮って「そんなの奇跡じゃないよ」というテーマを扱ってくれたことにまずは感謝。
「と学会」運営委員でもある唐沢俊一氏が出演し、監修?にはこれも「と学会」の皆神龍太郎氏が名を連ねていました。

全体の感想としては「イマイチ」。

「奇跡ではない」と言いたいあまりの無理が目立ちます。ぼくが見る限りは、出てきた話はすべて、「奇跡」でいいと思うから。

1.ジグザグ名前
 紀子さんと雅子さんの名前が

おわだまさこ
×××××
かわしまきこ

 と交互に読んでも同じになる、という「奇跡」。

いろいろな名前を調べて「こういうことはよく起きますよ」ということを説明するのですが、その根拠がちょっとなぁ。

日本中のすべての名前同士の組み合わせでは「1兆以上」こういうジグザグのセットがある、だから「珍しくない」というのだけど、それではだめでしょう。紀子さんと雅子さんはそれぞれ(皇室であることは置くとして)礼宮と浩宮という兄弟と結婚したから面白いのであって、何の関係もないふたりが何兆組ジグザグになっていても仕方ない。「あるふたりの名前がジグザグになる確率」を言ってくれればいいのだけど、それだと結構「奇跡っぽい」数字になっちゃうのかな。

2.カンガルーの恩返し
 落ちてきた枝に当たって気絶している主人のことを、家人に知らせて助けたカンガルーの話。
 はじめに「育ててくれた主人に恩返しをした」という美談として紹介しておいて、それを「食欲という本能に従って行動したまでで、奇跡ではない」とするのだけど、こんなものもともと「恩を感じた」という前提が無理。唐沢さんが適切にコメントしていましたが、「食欲による行動の結果、人命を助けた」ことの方が、はるかに奇跡といえるでしょう。「美談ではなくて奇跡です」ということ。
 ところで、カンガルーは〈まず、主人を見つけて、それから家人を呼びに行った〉という映像になっていたけれども、ホントにそうなのだろうか。いきなり家に行って、それから主人のところに行ったのかもしれない。知っているのカンガルーだけだから。(これは、ただのいいがかりですが)

3.なくした指輪が見つかった
 12年前に海に落とした婚約指輪が、少年たちが釣り上げた魚(タラ)の中で見つかり、新聞の通じて本人に戻った、という話。
 これを「奇跡じゃない」という理由として、こんなことをいいます。
(1)タラは雑食(「タラ腹」はそこから来たとか←へぇ)なので指輪を食べるのは不思議ではない。(指輪をエサにしてタラを釣る実験までします)
(2)落とした場所の近くで指輪が見つかったのは、タラが長生きで、かつ同じところに留まっているからである

(1)はOK。(2)の意味がわからなかったのだけど、どうやら「落とした直後にタラが指輪を食べて、しばらくしてから釣られた」と勝手に想定されていたようです。が、そんなもの、「指輪を食べた直後に釣られた」と考える方が自然でしょう。

 いずれにしても、海に落ちている指輪の何%がタラに食われ、かつそのタラが釣られる確率は、かなり小さいわけで十分「奇跡」でしょう。さらに、それを釣り上げた人が新聞社に届けて、それを持ち主が見つけて、となれば、非の打ちどころのない「アンビリーバボー話」だと思います。(1万キロ離れた海で見つかればもっといいけど)

4.高度5000メートルから落下して助かった男
 5000メートルの戦闘機から飛び降りた男が助かったという話。
 助かった理由は
(1)高度400メートル以上だと「終端速度」に達しているので、いくら高くてもそれ以上速くならない。(でも時速200kmだぜ)
(2)モミの木の枝がクッションになった
(3)雪もクッションになった

(1)は、たしかに知らない人も多いだろうから「高度5000メートルだったら、時速1万キロか」と思っ人にとっては「へぇ」だけど、200km/hでも十分速い。
(2)と(3)は「なるほど」ではあるけど、だからといって「奇跡ではない」と言うか? たしかに、同じような枝と雪に落ちた時に助かる確率はそこそこあるのかもしれないけれども、空からランダムに落ちた時に、そういうところに落ちる確率がとれほどあるというのだ。落ちたところを見つけてくれる人がいなければやっぱりダメだろうし。

5.偶然知りあいに会う確率
 友人から、50年前の恋人を探してくれるよう頼まれていた男が、地下鉄で隣り合わせた女性がまさにその人だった、というような話。
 そもそもあまり面白いネタではなかったのだけど、番組では「友だちの友だちの友だち」までたどると、大ていの人とは知りあいだ、という話にこのことが「へえー」のようでいて、現実にはあまり面白いことにならないのは、お互いの「友だちの友だち」に共通の人がいるかどうかを知る術がないからでしょう。あう人ごとに「友人リスト」を見せあうわけにはいかない。

 その点mixiのようなSNSでは、それを機械的に探すことが可能だから、面白いですね。

 番組では、タレントが浅草の町を歩いて、会う人ごとに「この人知って
ますか」とかやっていたけど、共通の知りあいが「タレント」である点が
特別すぎて参考にならなかった。

唐沢さんのコメントが救いでした。

June 1, 2005 at 04:17 PM in 映画・テレビ, 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.05.27

水から生まれた水酸化ナトリウム

小林カツ代さんがCMやっている台所用の洗剤、ではなくて「洗浄除菌水」。

「水から生まれた」とか言っているのでアヤシイなぁ、と思ってツムラのwebで見たらら、

●   水を電気分解して生成したアルカリ電解水100%のキッチン周り用洗浄除菌水
●     界面活性剤や添加物は一切 不使用
●     手肌や環境にやさしい
●     アルカリパワーで、洗浄力と除菌力に大きな効果
●     2度拭きが不要
●     無臭

水を電気分解」したものだと言ってます。
水素と酸素が出て…電極が溶け出して何が出てくるのかなぁ。「アルカリ電解水」が何なのかは、調べていないので、とりあえずおきます。

とにかく「水」を「電気分解」して作った、ということね。
で「成分」は、と見ると、

成分      水酸化ナトリウム0.18%(換算値)      
液性      アルカリ性

ひょえーーーっ! す、すいさんかナトリウムですってぇ。いえ、水酸化ナトリウムが悪いっていうんじゃありませんよ。でも「水を電気分解」しただけで、水酸化ナトリウムってできるのでしょうか。な、ナトリウムは一体どこから??

ツムラのQ&Aを見ると、

Q:添加物は一切不使用となっていますが、成分に水酸化ナトリウム0.18%(換算値)との記載があるのはなぜですか。

A:本品は、アルカリ電解水100%の商品です。水酸化ナトリウム加えておりません。表示の水酸化ナトリウム0.18%はアルカリ度を示す値で換算値です。

うーむ。アルカリ度を表わすのに、わざわざ入ってもいない水酸化ナトリウムに換算しなくてもよいと思うが。と思って続きを見ると、

参考: 水(食塩水)を電気分解すると水酸化ナトリウムができてアルカリになります。

どうしてそんな話が参考になるんだろう。さらに次を見ると、

Q:拭き残り箇所や容器噴霧口に白い粉がありますが、これは何でしょうか。人体に影響があるものなのでしょうか。

A:アルカリ電解水が空気中の二酸化炭素と反応し炭酸ナトリウムの結晶(粉末)ができたことによります。炭酸ナトリウムは人体に影響のない安全なものです。

ふうむ、二酸化炭素と反応して炭酸ナトリウムですか。なんか水酸化ナトリウムっぽいじゃありませんか。 なんて、イヤミ言ってても仕方ないな。要するに、この「キッチンアクアショット」の中には「水酸化ナトリウムが入っている」のでしょ、はい。
もう一度さっきのQ&Aを見ると、

《水酸化ナトリウムは 加えて おりません》

と書いてあるじゃあありませんか。 決して「入っていません」とは書いてないよ。

つまり、こう言いたいわけね、

・水に食塩を加えて電気分解いたしました(それって、「水を電気分解」じゃないぞ)
・よって(できあいの)水酸化ナトリウムは加えておりません(たしかに)
・中で水酸化ナトリウムができていない、とは申しておりません(たしかに)

人をおちょくっとんのか。

「水から作りました」と言えば何でも安全だと思うとでも思っているのかい。

ほんとに電気分解して作っているのかなぁ。水酸化ナトリウムを溶かして薄めた方が楽そうだけど。

May 27, 2005 at 05:51 PM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (0)

2005.05.26

「空の温度・続」放射熱日記 2005-05-26

きのう、きょう、と青空で雲も少なくて空の温度は〈マイナス15度〉くらい。

このくらいの青空だと〈-20~-30度〉くらいでもいいのになぁ。12月の末にはそんな感じだったから。何が違うのか。

当時は外気温はずっと低くて、今はもう夏になろうというところだから、まわりからの影響で高目にでているのではないか、というのは気になるところ。

そうだ、夜に測ればいいのだ。
幸い、きのうの夜は雨も降らずに、雲も少なそうで昼間と条件は近そうだったので測ってみたのです。はたして結果は〈-15度〉。かなり乱暴だけど、

「昼間測っても、(太陽に向けていない限りは)太陽光や、気温の影響はなさそうだ」
といえるのではないか。

上記の仮定の元に、「青空の温度」を考えてみると、

12月末・・・〈-30度〉
 5月末・・・〈-15度〉

これまた、かなり乱暴だけど、「同じような空もようなのに温度がこれだけ違う」といいたいのです。

で、その理由は「水蒸気」だろう、と。
あ、これは、つい先日の「放射熱日記」に書いたっけ。

さて、これまで誤解を恐れずに「空の温度」と言っていますが、実際、この〈空に向けた赤外線放射温度計〉の示す値というのは、何を意味しているのだろう。

放射温度計は、「受光部に入ってくる、ある周波数の赤外線の量」を測っています。赤外線を直接測るわけではないので、実際には、赤外線を受ける受光部の温度を測り、同時にその受光部付近の〈赤外線を受けていない部分の温度〉を別の温度計で測り、その差から「赤外線の強さ」を計算する、というようなことを(あの小さな体で)やっています。 受光部には赤外線以外の光(可視光など)も入ってるるので、それによる熱の影響を受けないようにフィルターが付けられているものと思われます。

この温度計の通常の使い方では、近くにあるものに向けて測ります。1センチ先にある「手のひら」を測ると、手のひらの上の「直径1センチ」の円の部分から放射される赤外線を受けて、上記の方法で温度が計算されます。1メートル先なら「直径1メートルの円」、100メートルなら直径100メートルです。(これは、私の使っている3150円の温度計の場合であって、高級機では例えば1メートル先では「直径12.5センチの円」を測れるものもあります。

では空に向けた場合は一体、どこの何を測っているのでしょうか。「宇宙のかなた」だとすると、絶対0度に近い値になりそうですが、〈-20度〉あたりになっているところをみると、そういうこともなさそうです。 途中に屋根があれば、屋根から上には関係なく「屋根の温度」を測るように、空には雲とか水蒸気などの層があって、これらが屋根のように赤外線を吸収したり反射したりしていると思われます。どのくらいの高度でそういうことが起きているのでしょうか。雲は、ちょっと山に登れば「下に見える」くらいですから1500メートルくらいからありそうです。水蒸気の層はどうなんだろう。 とりあえず「屋根」は2000メートルあたりと仮定すると、放射温度計は「直径2000メートル」の円から放射される赤外線を測っていることになります。 そうそう、これは十分に広くてまわりに何もない場所でやった時の話であって、ぼくが測るようなところでは、どうしても測定角内に建物などが入ってしまうようです。そこからも赤外線は来るはずてすが、経験的にはそういうところで測った値と、何もない所での値には違いは(少)ないようです。

上の数字を使うと、空を測ったら〈-15度〉だということは、
「高度2000メートルのところに、平均温度〈-15度〉の大きな円がある」
ということになります。〈-15度〉といえばずいぶん冷たいはずだけれども、そんなに遠くにあるのなら冷たさを感じないような気もします。実際に今、外に出ても冷たくないのはそのためでしょうか? しかし、まてよ。「2000メートルの彼方」を測っているなどということは、放射温度計は知らないのですよ。別に距離を設定するわけではないから。単に「温度計に飛び込んできた赤外線がそのくらいだった」というだけの筈。 「1メートル先の直径1メートルの〈-15度〉の円」や、「1センチ先の直径1センチの〈-15度〉の円」でも同じ値を示すはずで、温度計としては、それと区別はつかないのです。

うーむ、それだとしたらもっと「ヒンヤリ」してもいいのではないでしょうか。
周囲の空気は〈20度〉以上ありますから、そのせいで感じないのでしょうか。これが冬になって、空気も〈0度〉に近くなってくれば、「空の冷」が効いてくるのではないか、とい気にもなってきます。そして、〈通称「放射冷却」〉の話になるのです。(「冷」が降ってくるわけではなくて、「こちらからは熱が出ていくのに、空からは熱があまり来ない」だけですが。)

湿気もなく晴れた日の空というのは、「ホントに冷たい」のでしょうか。

窓の外 ますます晴れて いい感じ  


May 26, 2005 at 04:17 PM in 科学 | | Comments (6) | TrackBack (2)

2005.05.20

「空の温度」放射熱日記 2005-05-20

「空の温度」の歴史的考察(大げさだな)など書きかけてたんだけど、きのう今日の状態を早く書きたいのであとまわし。

VFMI0057 2005-05-19木
 雲のあい間に青空がみえます。青はかなりきれいな「澄んだ青」これで雲がなければ、まず「-20℃」以下というところだけど、雲があるから「0℃」あたりか、と思って測ってみると、なんとこれが「16℃」。気温も高いし、まわりの建物の影響かなと思って、広いところでもやってみるが結果は同じ。
 ひどく蒸し熱い日なので、これは「水蒸気のせいだな」と予想。
 夜になってから測ったけれども、同じく16℃、ということで太陽の影響もなさそうなので、水蒸気説にちょっと自信を深める。 チンダルの本にも「(空からの放射は、晴れでいるかどうかだけではなく、水蒸気があるかどうかで決まるのである」という趣旨のことが書いてあったのだ。砂漠では晴れているだけでなく、湿度も低いので空からの熱放射が少なくて昼夜の温度差が激し
いのだろう。

2005-05-20金

VFMI0067  きのうと比べて、カラっとした感じ。気温は22~23℃くらいだけど、過ごしやすい。
空を見ると、きのうと雲量はあまり変わらない感じであるが、はたして測定結果は……「2℃」。おお、今日は湿度が低い(=水蒸気が少ない)ので、「空が冷たい」のではないか。

気象台webによれば、
19日の湿度は、朝9時で60%。早朝がやたらに高くて3~5時は80%近い。
きょう20日はといえば朝9時で29%。これほど違うのか。

昼間暖められた地表は、日が沈んでからは熱を放出していくわけだけど、水蒸気がいっぱいあるとそこで吸収されて、また放射し返すから冷めにくい。水蒸気は地表の温度で出るような赤外線は吸収するけれども、可視光は素通しする(だって、見えないでしょ?)から、太陽の光によって暖められる方には影響しない。これぞ「温室効果」というやつ。(本物の温室は、ガラスが赤外線を通さないことよりも、空気の出入りが少ないことの方が大きいのかもしれないけど)

湿度の低い(水蒸気の少ない)日ならば、陽の当たらないところに行けば、空から降ってくる放射熱はあまりないのだけど、湿度が高いと、空気中の水蒸気からもどんどん熱線(赤外線)が放射されて暖く感じる…というのはウソで、汗が蒸発しにくいからムシ暑いのでしょう。だって、日陰に入ったら、上の木の葉や屋根からもガンガン熱線(といっても気温と同じくらいの)が放射されているんだから。(このあたりの放射は、冬期の、いわゆる「放射冷却」で効いてきます)

ところで、ここまでは「水蒸気による吸収・放射」の話ですが、「雲の有無」による「空から放射」の違いの方も、ちゃんと見てみたいと思って、今日はふだんは持ち歩かない、ちょっと高級な方の放射温度計を持ってきました。これは、いつものよりも測定角度がずっと狭いのです。測定物までの距離(D)と、その距離での測定面積(S)の比で表わすのですが、安い方ではこれが「1:1」、高い方は「8:1」。「1:1」というのは、1メートル先の「直径1メートルの円」の中を測っているのに対して、「8:1」なら、1メートル先では12.5cmの円を測ることになります。家が建てこんでいるところで空に向けて測っても「1:1」だと、まわりの建物もひっかかってしまいますが、「8:1」なら10メートルの高さでも1.25mなので、かなり「狙い」がつけられます。

D-S

この「8:1」の機種を使って空の「雲のあるところ/ないところ」を比べてみるのです。
結果は、通勤途中でちょっとやってみただけですが、雲のあるところとないところでは5℃くらいだったかの差がでました。再現性はあります。ためしに「1:1」機でやってみたら、まるで違いは見られませんでした。(向きを変えすぎると、すぐに家などにかかってしまう)

だんだんと「見えなかったもの」が見えてきました。
放射温度計を手にしてから初めての夏。まだまだ面白くなりそうです。

May 20, 2005 at 02:36 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.05.13

放射熱日記 2005-05-12 岩塩(とりいそぎ)

「岩塩は熱線(赤外線)を通す」ということは、チンダルの熱の本(*1)で読んで知ってはいたのだけれども、試してみようとはなぜか思わなかった。いや、単に機会がなかっただけかもしれない。

先日仮説社に行った時に食塩の結晶を発見。天然の岩塩ではなくて、食塩水から丹念に(2年以上かけて!)結晶させたもので1cm立方くらいのもの。ふと思いついて、ポケットから赤外線温度計を取り出して測ってみる。まずは単にその結晶を、次には結晶の前に自分の手をおいて。すると、手をおかない時とおいた時とでは6度くらい違うではないか。つまり、塩の結晶を通して手の温度を測ったのである。

その結晶を買って帰るが、こうなると「岩塩」が欲しくてたまらない。ネットで検索する他に、以前岩塩のへき開などを見せてくれていた長野のKさんのことを思いだしてメールしてみたところ、たちどころに返事があって「モンゴルの岩塩」を持っているとのこと。「スーパーでも売っているかも」とも言われたが、構わず送っていただくようにお願いした。IMGP0497

月曜の朝10時前、会社の席に宅急便で包みが届いた。中身はもちろん「モンゴルの岩塩」。「ふたつかみっつほど」いただければと思っていたら、牛乳パック一杯いただいた。しかも大きなものばかり、さらには平面のでたきれいなものも。なんとありがたいことよ、持つべきものは友(共同研究者)である。

家に持ち帰ると、慣れぬ手つきで、「割る」作業に。平らに割るなら平らな刃物がよかろうと、スクレーパーに刃がついたようなものをプラスチックハンマーで叩いてみた。元の形がよかったからか、意外にもうまく割れて2cm四方で厚さ1ミリくらいの板を作ることができた。これを工作用紙で作ったフレームに挟む。

IMGP0498 そういえば、岩塩はともかく他のものの「赤外線の透過具合」を調べたことがなかった。そう、「放射」と「吸収」にばかり気をとられていて「透過」のことを忘れていたのだ。 というわけで、フレームにいろいろなものを貼ったものを作った。
・サランラップ(塩化ビニルデン)
・ミソの入っていたプラ容器(たぶんPET)
・クッキングシート(ロウ紙みたいなもの)
IMGP0499・お菓子の入っていたポリ袋
・岩塩

これらを通して、温度を測るのである。手軽には自分の手だが、これだと室温との差が小さいからあまり面白くない。台所のガスレンジにやかんがかかって火がついているところに行って、まず直接測ってみると100度を越えている。次に、いろいろなものを通して測ってみると、サランラップ、ポリ袋を通してもほとんど元と同じくらいの温度を示したが、クッキングシートやPETは、まるで熱を通す気配なし。そして「岩塩」は、見事に熱を通してくれた。ガラス(スライドグラス)は、まったく通さず。

こんな実験では「何%透過した」などはわからないが、とにかく一見似たような他の材質が熱を遮断するのに対して岩塩は明らかに「熱を通す」ことがわかったのだ。

これだけでも、意外性はあるのだけれども、〈温度計の示す値〉だけでは、どうにも「感じる」ことができない。なんとか、岩塩を通して直接〈熱を感じる〉方法がないだろうか。大きめの板のまん中に穴をあけて、そこに上で作ったフレームをはめこんで、熱源の前において、「穴のところだけ暖い」というのを見せられればと思う。

IMGP0501

IMGP0502

何もない時は23度くらいなのに、前に手をかざすと31度に!

【ポイント】
・放射熱では吸収・放射,反射だけでなく「透過」も忘れずに
・透過の度合いは材料の厚さで大きく変わりそう。よって、いろいろな厚さで試すべし

岩塩の結晶、うまく割れる人いないかなぁ。

(*1) John Tyndall "Heat: as a Mode of Motion" 186X

May 13, 2005 at 12:18 AM in 科学 | | Comments (6) | TrackBack (0)

2005.05.05

ISSを見た/見よう

きのう(5/4)の晩、ISSが飛ぶところを見ました。

ISSというのは「国際宇宙ステーション」のこと。
スペースシャトルに乗ってそこへ行っていろいろ実験をするために、宇宙に漂って(飛んで)います。日本からは野口さんという人がスペーシシャトルに乗って行く予定ですが、発射が延期されてしまいました。

で、そのISSを「肉眼で見る」ことができる、ということをYPC(横浜物理サークル)の方から聞きました。宇宙を人工物が飛んでいるのを見られるというのはちょっと楽しい。

ややこしい軌道をとおるので、いつどこを通るのかは簡単にはわからず、以下のHPに掲示されています。

http://kibo.tksc.jaxa.jp/

今後の予定は、以下です。(東京から見る場合)
       見え始め     最高位置      見え終り
2005/05/05 20:02:30 278(西) 10 20:04:30 321(北西) 19 20:06:30 11(北) 12
2005/05/07 19:21:30 290(西北西) 12 19:23:00 324(北西) 17 19:25:00 10(北) 11

どんな風に見えたかといえば、明るさは「マイナス1~2等星級」というから、かなり明るい星並み。それが、7分くらいの間に地平線から地平線に動いていくので、「かなり速い」感じです。

HPを見ると詳しく書いてありますが今日は「仰角」が小さくて空の高いところに行かないので、ちょっと見にくいかもしれません。何よりも、「天気が良い」ことが重要ですが。

見られてよかった!
今日も見るつもりです。

May 5, 2005 at 11:46 AM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.05.03

【ICアルファ】マイナスイオン日記 2005-05-03

おとといの漁果に味をしめて、今日もまたハンズ新宿店へ。
連休中だというのに、意外に実演デモが少なくて拍子抜け。
仕方ないので、本来のターゲットではないものから、

■温泉化粧水「スキンプラン」

onsen1
 みやぎ蔵王の温泉の水。「お肌によいといわれるストロンチウム」というのはちょっと気になるけど、医学博士の原 正啓さんによる推薦文には、

 《…皮膚の炎症や難治性の疾患は皮膚科の専門医の元で治療を受けるべきであることは言うまでもありません。》

と書いてあるのは、良心的というべきか。医者だからあたり前か。

感じのいい説明員だったので、話を聞いていたら「ちょっと試してみますか?」といって、ぼくの腕にスプレーしようとしたら、たまたま、ほんとに何年ぶりかにぼくの腕にアレルギーっぽい発疹がでていたので「あ、お肌よわそうですね」と言ってやめました。

でも、その後ぼくが「せっかくだから」といって左腕にスプレーしました。
そして、サンプル品の小ビンをもらいました。

そのあと、他の売り場を歩きながら、さっきスプレーした腕にさわってみたら、さっきまでのカサカサが消えてしっとりとしている。右腕を見ると、ひっかいた跡も痛痛しく白っぽい。「そうだ、もらった水をつけよう」。

……しばらくして、腕を見ると、おお、右腕もしっとりしているではないか。「おお、これこそ温泉水の効果か?」

実は、右腕にサンプル品の温泉水をつけようとして思いとどまったのです。「それでは対照実験にならない!」とね。そして、トイレに行って「水道水」を右腕に塗ったのです。 水の冷たさ、気化熱の冷たさ、気持ちいいですね。もちろん温泉水だからといって何ら悪いことはありませんでした。

■ふたたび「ICアルファ」
 おとといに続いてやっていたのは、ここだけでした。説明員が同じ人かどうかはわかりませんが、今日はひとりだけ。

のぶ:どうして目がよくなるんですか?
説明員:はい、ここから遠赤外線がでますので
の:遠赤外線なら、ここからもあそこからもでてますけど何か特別なんですか?
説:はい(と、嬉しそうに例の測定結果の紙を見せて)この通り、試験所かの測定結果もでています。遠赤外線といえば10から100くらいまでいろいろあるわけですが、その中で人間に害がないのは、ここだけなんですよ。
の:えーっ、そんな。遠赤外線に害なんてあったら大変じゃないですか。それに、これ(測定結果)は、単に黒体と比べて、これだけ放射してるってことだけですよね。50度の測定結果ですよ、これ。
説:これは35度くらいなので、ほぼ同じです。
の:放射率ならたいていのものは95%くらいありますよ。
説:え、そうなんですか。
~~~
 おとといやりそこなったサーモグラフィを試そう。
 
の:じゃ、やってみます。
説:では、まずこれを見てください。
〈視力検査表みたいなものを見せられる〉
の:(メガネを外して)このあたりまでなんとか読めます。
説:よく覚えておいてください。
〈件の蛍光灯スタンドを置く〉
説:ここから遠赤外線がでます。
〈ふつうのスタンドとして使うようで、下は照らされている〉
説:この、黄色いところが青くなったら……。
〈サーモグラフィでは鼻のあたまのところだけ温度が低くて黄色くなっている。
の:で、どうやって良く見えるようになるの?
説:血行が良くなって、
の:顔の表面の温度なんてどんどん変わるし、血行と関係ないでしょ
説:はい、そうですね。(なんだよ)
〈いつまでたっても変わらない。座って落ち遅いていると温度が上がるというオチかとも思ったのだが〉
の:じゃ、見てみますか。
説:はい。
〈スタンドの下にさっきの検査表を置く〉
の:あかりは消しますね。(消す)
説:どうぞ。

以下は略します。まあ結果はわかっているようなもんですが、もしかしたら、「スタンドのあかりをつける」のがポイントだったのかもしれません。加えて、「どうですか、見えるようになったでしょう」とか言われると、「そんな気になる」人がいても責められません。「ナノカーボン」と同じことでしょう。

今日は、ICレコーダーを持っていっていたのですが、途中まで忘れていたので全てを録音できず残念。でも、聞く気しませんけどね。

■おまけ■

 デジタル温度計や騒音計などが並ぶショウケースに混じっていた「イオン測定機」のパンフレット。 0002

 どうということのないチラシなんですが、新聞記事のゴピー風になっているのがおわかりになりますでしょうか?

その新聞名のところを拡大したのが次の写真です。

air-ion2

「××新聞」って、アンタ、学級新聞じゃないんだからさ。

単なる「新聞記事風」ってこと? 別に本当の新聞だったからといって信憑性が高まるわけじゃないけどさ。

May 3, 2005 at 08:21 PM in 科学 | | Comments (5) | TrackBack (0)

2005.05.01

マイナスイオン日記 2005-05-01

いえ、別にマイナスイオンの摂取記録じゃありません。今日、東急ハンズで久しぶりに「アヤシイ商品巡り」をしたので、その記録です。

■トルン・ギア(と、その仲間たち)
 「トルマリングッズ」はハンズ新宿店3階に定位置を構えて何年もたつので、今さらどうこうすることもないのだけど、つい立ち止まって声をかけられるのを待ってしまいました。
・商品名:トルン・ギア (TORUN GEAR)
・ウリ: メインの効果は「遠赤外線効果」だけど、本日目立っていたのは、トルマリンとゼオライトがマイナスイオンを発生させて携帯電話などの電磁波を吸収するということ。
製造元:外谷製紙株式会社
http://www.torun.co.jp/

説明員:肩こりとか気になりますか?
のぶ:いえ、別に。でも、これどうやって「電磁波を防ぐ」んですか?
説:はい、トルマリンとゼオライトからマイナスイオンが出て……
の:えっ! マイナスイオンが電磁波を吸収するんですか?
説:はい…。あのぉ、詳しくはホームページを見ていただければ。
の:マイナスイオン自体わけがわからないのに、それで電磁波吸収っていわれてもねぇ。
説:わが社はトルマリンがウリでして…。
の:そもそも「マイナスイオンって何?」
説:すみません、私、勉強不足で…。
の:えっ? トルマリンがウリの会社なのにマイナスイオンがわからないってことないでしょ。クルマ売ってる人が「勉強不足なんでエンジンのこと知りません」とは言えないでしょう(ダメなたとえだったな)
説:……。
の:わかりましたよ、ホームページ見ますよ。
説:はいっ、ぜひ書き込んでください。

相手が一枚上手って感じ。さわやかに終了。

私トルマリン、トルマリン。マイナスイオンや遠赤外、出してみんなを健康に、してるって、いうじゃなーい。
でも、あんたからホントに出ているのは、ウサン臭さですからぁぁ、ザンネン!
なんでもマイナスイオンのせいにするんじゃねーぞ、斬りっ!

■遠赤外線放射ライト ICアルファ
 トルマリンを離れて上の階に行くと、いきなり妙な商品が。

「遠赤外線放射」というヨダレの出そうなネタに吸い寄せられてしまった。
この蛍光灯スタンドを黒く塗ったようなモノから「遠赤外線」が出るという。そりゃ出るでしょう、出なかったら大変だ。裏側をのぞくと、ふつうの蛍光灯と思われるものがついている。手をかざしても特に暖いとも感じない。

説明員:よろしかったら試していかれませんか?5分くらいで効果が出ることもあります。

のぶ:遠赤外線って、どんな周波数のが出ているんですか?
説:はい、こちらをご覧ください。(と、以下の資料のコピーを見せる)

黒体放射と比べてこれだけ赤外線を放射しますってことね。放射率が高い、というだけなんだけど、これ自体はまともな資料ではあります。ただし、商品の効果(なに?)の説明にはまったくなっていません。

の:遠赤外線なら、ここからも何からも出てますが何か特別なことあるんですか?
説:ICアルファという素材で…。
の:どんな素材でしょうね、放射率は表面の状態で決まるんですけど。
〈何言われたか忘れた〉
の:「仮性近視・老眼の方はお試しください」って書いてあるけど、よくなるんですか?
説:いえ、よくなるとは書いてません。私たちは医者ではありませんので。
の:あ、そうか。「お試しください」ってだけね。
説:いかがですか? 楽になるかもしれませんよ。
の:うん、この点には反論するのやめました。

もういいかなと思って帰ろうとしたら、放射率の紙のコピーを取り上げて「それはお渡しできません」と妙に頑張られちゃった。「何かマズイことあるんですか?」と何度も迫ったけど結局もらえず。写真とってくればよかったかと思ったが、なんだwebにあるじゃないか。
これで3万円くらいとるらしい。いいのかい東急ハンズ。

大きな画面にサーモグラフィーが表示されていたので、これにあたっていると体表温度が上がるとかいう話だったのだろうが、それはやらずじまい(惜しかったな)。

http://www.icalpha.co.jp/

■SEセラミックシャワー ”JSKフリオン”
このトンデモシャワーについては、すでに話題にもなっているし、そのトンデモ度は群を抜いていますが、これを推薦する(売っているだけか?)ページの多さにはあらためてビックリです。
なぜか、製造元(SAISEI KO Co. Ltd.)のページは見つからないけど、他にいくらでも説明ページがあります。例:http://nst21.com/shower/
水道水の塩素を減らすというのに、フィルターではなく《塩素の化学記号も変化させ》などというスゴイことを言っています。

前に一度食いさがったことがあるので、その後は見過ごしていたのですが、今日、近くを通ると家族ずれに何やら説明しているのが聞こえます。立ち止まってみると「酸素が増えます」とか言っているじゃあありませんか。「え、どうやって酸素が増えるんですか?」と聞くと「マイナスイオンがでるので、そこに酸素が集まってくる」というではありませんか。「へぇー、そんなことが起きたらノーベル賞級ですが」などといろいろつっかかると、説明のおばちゃんは「私が確かめたわけではありませんが、そう聞いております」とか「マイナスイオン測定器で測ったところによると」とか言うので、そんなもん「バカ測定器で測った」というのと同じことですよなどと言ってやりましたが。当然ひるむわけもなく「いろいろな考えの方がいらっしゃいますから」とか言いながら、私を無視してお客さんの子どもに水あそびさせておりました。
今さらどうこういう必要のある商品でもないので、早々に切り上げて温度計などを見に、上の階に行く。

□そして事件が……

さて、そろそろ帰ろうかと歩いていると、むこうからやってくる30代後半くらいの男性が寄ってきて「あのー、ちょっとうかがいたいのですが」と言う。奥さんと子どもがいるのを見て「アッ」と思ったら、さっき「フリオンシャワー」のところにいた家族連れであった。

聞けば、さっきは「買おう」と思っていたところにぼくが割り込んでさんざん悪口を言ったので、上の階まで追いかけてきて話を聞きにきたのだそうだ。ぼくとしてはかなりビックりしたけれども、有難い話である。
「酸素が増えるっていうのは私もおかしいと思うんです」と奥様。「でも、塩素が除去される、とも言っているんですけど」と聞かれ、「フィルターであれば塩素を除く可能性はあるけれども、あのシャワーは〈フィルターではない〉と言っていますからねぇ」。そして男性は「この子がアトピーなもんで、これで治るものならと思って買おうとしていたんですが」という。どうやら、売り場に貼ってあった「こんなにひどいアトピーが3ヶ月で治りました」という写真とか、説明のおばさんが「娘がひどいアトピーだったのに治りました」などという言葉を真に受けているらしい。
・「私は治りました」という経験談は、科学的な意味はゼロです
・1000人のうち1人だけうまくいった時に写真かもしれませんよ
(ウソでないとしても)
・シャワーや浄水器を買ったことで、生活習慣が変わって治ったのかもしれませんよ。
などなど、説明しました。 また、「タタミをこの水でふくと雑菌効果でカビが生えないらしいです」とも言われたそうなので、「100万円賭けてもいいですけど、そんなことはありません」と言ってしまいました。
 なんでも、ハンズに来たのは「いい掃除機を買って、ホコリをなくしてアトピーを治そう」ということだったのだけど、このシャワーを見て「この方がいいかな」と思ったそうです。なんということだ。ぼくは「そりゃ、掃除機の方がいいですよ。それでアトピーが治るかどうかわからないけど、仮に治らなくたって部屋がきれいになればいいじゃないですか」と言いました。
「こういうことを研究している方ですか?」と聞かれたので、正直に「大学では化学を専攻したが今は専門ではない。しかし、ニセ科学を批判する活動をしているので、専門家の知りあいはたくさんいる」と伝えました。

結局「またお話うかがいたいので名刺をいただけますか」と聞かれ、名刺はなかったので、メールアドレスを教えてメールをもらうことにした。

「アトピーに効く方法」を教えることはできそうにないけれども、ヘンなものにダマされないヒントくらいは教えることができるかもしれません。

売り場で「やめた方がいいですよ」という勇気はなかったけれども、こうして追いかけてきてくれた人にはちゃんと説明するしかありません。途中何度も「すでに買ってしまった人には決してこういう話はしないんですけどね」といいましたが、もはやこの一家は、「フリオンシャワー」を買ってもプラシボ効果ゼロ(マイナス?)だから、だめだろうなぁ。

今日は、獲物が3件もあった上に、思いもかけぬ訪問者を得て、元気のでる一日となりました。(弘前の桜の話も書かないうちに……)

May 1, 2005 at 10:26 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (1)

2005.04.17

横浜物理サークル(YPC)に行ってきた

横浜物理サークルというのは、横浜周辺の学校の先生を中心にして作られたグループで、科学や教育に関するあらゆる話題を持ち寄って、実験を見せたり意見を交換したりしている。などと、ぼくが説明してもうまく言えないので、ホームページはこちら
本館:http://www.asahi-net.or.jp/~HA4K-MYZK/
別館:http://homepage2.nifty.com/suzukitakeo/

1年くらい前、ちょっと面白そうな科学ネタについて検索していると、しょっちゅう行き着いていたのが、YPCのページだったのです。 特に「アクロバットおじさん」に凝っている頃に、〈かつて、同じ原理のものがダイソーにあった〉ということが書かれていたのがYPC。世話役の鈴木健夫さんはJapan Skepticsのメンバーでもあり、そちらの関係で知りあうことができて、YPCのニュースを送っていただいていたのけれども、なかなか例会に行くことができなかった。

今回も、実は直前まで忘れていたところ、携帯のスケジュール表示を見て、前日に気付いた次第。どうせなや何か発表したいところだけど、もちろん何の準備もしていない。が、「放射熱を感じる実験」として、前にここにも書いたことのある「箱」と「カップ」を持っていくことにした。

会の雰囲気は期待どおりの活発かつ自由なもので、新参者にも居心地よし。
発表者は黒板(会場は学校の理科室)に書いて申告するので、「実験あり」の欄に「放射熱を感じる」と題をつけて参加表明。 お湯が必要なので幹事の方にポットを用意していただいた。

ステンレスのピカピカカップと黒塗りカップにはあらかじめお湯を入れて温度計を差しておき、発表のメインは「面によって放射率の違う箱」。教卓の上で箱にお湯を入れはじめると、ざわざわと集まってきた人たちが早速手をかざし始める。さすが、日本で有数の「科学的好奇心の強い」人の集まり。放射熱のことくらいはご存じだろうとは思うが、ここまではっきりとした違いを感じられることを見て驚いてもらえたようである。放射温度計で各面を測ってみせたのがわかりやすかったようで、このやり方は使えそう。
「フェルトを巻いても保温にならない」(条件にもよるのだけど)というのも意外だという声も。
「白いフェルトも貼ったらよいのでは」という鋭いアドバイスもいただいた。

仮説実験授業研究会でやった時に、4面で比べるよりも、一番差の大きい2面だけをやってみせるのがよい、という話になった。 みんなに考えてもらう「問題」としては、わかりやすさ優先で2面だけ比べて、発展問題として、「白でも黒でも変わらない」などを見せていくのがよさそうである。

放射温度計に興味を持った人も多くていろいろ質問もいただいたので、機種比較や面白い使い方などをまとめてみよう。

2次会(@さくら水産)にも参加。人数が多くて声がよく聞こえなかったのが残念だったけれども、いろいろと話を聞くことができた。

あこがれのYPCにデビューできてちょっと嬉しい一日でした。

April 17, 2005 at 12:01 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.03.30

絵のかけない大人にもかけた

VFMI0130

この写真の左側は「もやし」そのもの、右側は、それをぼくが写生したものです。
「それがどうした」と言われると困るのですが、ぼくにとって「絵をかく」というのは、・・・と何かにたとえようかと思ったけど、たとえる相手に失礼だからやめた、というくらい苦手なことなのです。小学校以来、まともにかけたことはないし、中学生の時は、同じものの写生ばかりしていたし。

どうしてかけたか&「かく気になったか」といえば、「キミ子方式」というやり方に従ったからです。「キミ子方式」というのは松本キミ子さんという人が考案した「絵のかき方」で、詳しくは「キミ子方式とは」を見ていただくとして、その特徴は、
1.絵の具は三原色と白しか使わない
2.下書きはせず直接絵の具でかく
3.描きはじめの一点を決め、となりとなりへと描く
4.画用紙がたりなくなったら、たせばいい。あまったら、切ればいい
5.タイトルをつければ、どこでやめてもりっぱな作品
などです。

「輪郭」というものを描くことはなくて、いつでも中身ごと描きます。
「構図」というものを決めないで、いきなり「部分」から描きはじめるので、途中で紙が足りなくなったり、逆に小さいままで終ってしまうこともあるけれども、速にかれば紙をつぎ足し、小さければ切ればよい、という潔さです。


松本キミ子・堀江晴美『絵のかけない子は私の教師』(仮説社)という本があるのですが、キミ子さんはご自身も夫も芸術家で「絵をかけるのは当たりまえ」と思っていたのに、わが子が絵をかけなかったことをがキッカケのひとつとなってこのやり方を考案したと聞いています。

上の写真の絵は、ぼくが先日(2005-03-27,28)に八王子で行われた「東日本たのしい授業フェスティバル」の講座の中で描いたものです。筆や絵の具にさわったのは20年ぶりくらいかもしれません。はじめに「色づくり」といって、「三原色と白」だけで、15種類以上に色をつくって紙にかくことをして、次にこの「もやし」をかきました。そこまでで2時間くらいはかかっているでしょうか。

もやしの描き方の面白いところは「生えた時と同じ順番に描く」というところ。
「もやしはどこから生えるか知ってますか?」と聞かれるのですけど、「根」からです。で、その根がどこから生えるのかといえば「種から」なのだけど、現時点ではもう種のカラは上の方に行っちゃってるんですね。というわけで、白くて太い茎の部分の下の根から下に向かって描いて、次に同じ起点から上に向かって茎を描くのです。これも「成長する時と同じ方向で」というわけですね。

「キミ子方式」はもっともっと「深~い」のですが、ぼくのような人が3時間の講座を受けるだけでも、突然〈絵をかけるようになる〉ことがあるというだけでも、すごいことだと思います。
キミ子方式については、キミコ・プランドゥのページをご覧くどさい。(上のリンクのホームです)

Windowsの「ペイント」で強引に描いてみました。
moyashi

March 30, 2005 at 04:09 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.03.21

放射温度計疑惑は濡れ衣だった

3150円の温度計が「低温が高目に出る」ということがわかり、少々ショックを受けていた。「0度とわかっているもの」が0度とでないことは、実は大して困らない(だって0度ってわかっているから)のだけど、気持ちの悪さとしては相当なものであったのだ。
04-11-01_23-27.jpg
今日は、いい天気で空は雲ひとつなく真っ青。温度計を向けてみると、[-4~-8度」あたりを示す。「ん、ちょっと変だぞ」。まわりのビルの影響があるにしても、このくらいの青空であれば「-20度」より低く出るはずだから。真冬に比べるとまわりが暖かいので、高目に出るのはわかっているのだが、これはちょっとおかしい。〈ひょっとしてこの季節の太陽光にはいつもより強い赤外線が含まれているのだろうか〉と、また調べなければいけないなぁ、などと思いながらふと温度計の受光部を見てみた。
VFMI0119懐中電灯の反射板のように円錐形の銀色をしたものの奥に受光部と思われるところがある。
 銀色の部分を見ると、なんだかボツボツと斑点のような汚れがついている。まるでスギ花粉のようである。いつもポケットに入れっぱなしなので汚れるのは当然か。「そもそもここは銀色でいいのだろうか」などとぶつぶつ言いながらティッシュを出してふいたらきれいになった。丁度東急ハンズに向かう橋の上に来たところだったので空に向けて測ってみると・・・果して、「Lo」と表示された。-20度(かな)より低いという表示である。「おおお、なんという明らかな違い」 その後家族と落ち合って「桂花」で「ターロウメン」を食べる時にお茶に入っていた氷を測ったら、なんと「0度」!! やったぜ。

つまり、受光部まわりの銀色部分(アルミ蒸着だろうか)は、本来非常に放射率が低く、そこからの赤外線放射は問題にならないはずのところが、汚れのために放射率が高くなって赤外線を多く発していたのだろう。「多く」というのも変だが、その時の温度計自体の温度に相当する赤外線だろう。

その赤外線の量は何を測る時も同じように受光部に入ってくるのだが、測る対象の温度が温度計本体の温度とあまり変わらない時や、もっと高い時には影響はほとんど無視できる。ところが、氷や「空」のように0度付近のものを測る時には、大きく効いてきてしまうのだろう。

この「受光部まわりからの放射」は前から気になっていたのだが、実は、むしろ逆のことを心配していたのである。つまり、まわりに飛び交っている赤外線が、銀色部分に「反射して」余分な赤外線を測ってしまうのではないかということ。これは、(放射率の低い)金属面を測った時に(予想とは逆に)本来よりも高目に出る、ということから類推したものである。だからその時は、「反射傘(と呼ぼうか)は、(まわりの赤外線を反射しないためには)むしろ黒い方がいいのではないか」と思ったほどである。 もし黒くしたら、ひどいことになっていたのだな。なんて思ったら、別の機種(例のオカシナAD-5615)は、ツヤ消し黒の階段状になっていた。ひょっとしてこいつが寒いところでおかしくなるのも、同じような話かと思ったのだが、ちょっと違うようである。(本来よりも低目に出るので)しかし、「指を密着させて測ると、やればやるほど高くなる」という珍現象は、この受光部まわりが暖められてそこから放射される赤外線によるものであろうと、今確信した。(これは欠陥とは言わないが、ちょっとアブないと思う)

そんなわけで、教訓。

「放射温度計の測定値が低温域でおかしくなった時は、反射傘を掃除しよう」

まあ、そこまで汚れるほど持ち歩く人は少ないだろうけどね。

こうして、「放射と反射」をまた少し理解するのであった。

March 21, 2005 at 03:27 PM in 科学 | | Comments (5) | TrackBack (0)

2005.03.06

放射で冷める実験

桜木町のダイソーで買ったステンレスマグ(フタ付)を使って放射熱の実験をしてみました。

同じマグを2つ使って、うちひとつはスプレー塗料で黒く塗りました。(室内でスプレーして臭いがたちこめて家族から大非難を欲びました)

フタの真中にツマミがついていたのを外して、穴を少し大きくしたところに温度計を差し込みました。これがなかなか具合が良い。
VFMI0098

それぞれに、沸かしたばかりの熱湯を8分目くらいいれます。入れた直後の温度はどちらも「87度」ほど。(沸騰している時は100度なのだと思いますが、注いだ直後にここまで下がってしまうのですね。)

あとは、それぞれの温度がどう下がるかを観察します。
間抜けなことに時間を測らなかったので、グラフにもできませんが、とりあえず「黒い方が何度の時に、銀色の方か何度」という対応だけはとりました。


前にやった実験ではステンレスと磁器のカップを比べたので、いろいろと条件が違って厄介だったのですが、今回は同じ材質で表面が違うだけなので、熱容量や熱伝導率はほぼ同じだろうということでわかりやすいと思います。(そのかわり、「磁器」の方が「金属」より冷めやすいか、というような直感的に意外なことを見せられるわけではありません)

カップは発泡スチロールの上に乗せてあります。
結果は以下のとおり。

黒 銀 差
87 87 0
78 82 4
74 79 5
61 69 6
53 62 9
50 60 10
48 58 10
31 41 10
24 32 8

思っていた以上の差がつきました。たった1回しかやってませんが、次にやるときは時間も測ってみよう。

発泡スチロールの上に置いたことで、底からの熱伝導はかなり小さくなっていると思われますし、フタをしたことで、気化熱の影響も減っているので「マグの表面からの放射熱」の違いが大きく出ているのではないかと思います。

知らない人から見れば「意外」だと思いますが、「理屈どおり」でもあるので、これだけだとあまり面白くありません。 「ヤカンをよく磨いておくと冷めないよ」とかいえれば面白いけど、あまり実用には関係ありませんね。

あとは「布を巻いたマグ」も実験予定。これの方が意外性は高いと思います。(先に冷めれば、の話ですが)

March 6, 2005 at 02:01 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (2)

2005.03.04

2005-03-04 雪の日の放射熱日記

雪の温度が3~5度くらいと出るのがどうにも気持ちがわるい。
いや、その程度の誤差はいつも気にしていないのだけど、「寒いところで異常になる」という温度計の話をしていただけに、気にしてしまいます。

「雪は氷」なので、0度以下ではあろうと思うのだけど、放射温度計で測っているのは、〈表面からでている赤外線〉なので、
・表面の温度が実際には何度なのかわからない
・放射率が0.95と大きく違うかもしれない
というあたりでどうなるかわかりません。
(もちろん「温度計の信頼性」も問題になります)

「氷」の放射率は0.96~0.98,「雪」は0.83ということ(http://www.anritsu-meter.co.jp/infrared/table_e.htm)なのですが、雪は空気の入り具合によってかなり変わってきそうな感じです。温度計の放射率の設定は0.95(固定)なので、それより放射率の小さい「雪」の温度は低目に出そうなものですが、まわりの赤外線が反射したものも測られてしまうので、逆に高めに出ることもあるのです。(金属面での経験より)

そこで、雪どけで「氷水」状態になったところを測ってみたところ、0.5~3度くらいだったでしょうか。まあ、このくらいでよしとしましょう。なまじ「氷点=0度」と知っているおかげで、余計なことが気になります。
「余計なこと」なんていっちゃいけないな、これこそが「簡単で正確な」温度の基準にひとつなんだから。

家で、ふつうの「氷水」をちゃんと測ってみよう。

March 4, 2005 at 02:06 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.03.02

放射温度計 AD-5615について

2週間ほど前に、新しく買った放射温度計のことを少し書きました。

機能、デザイン共に気に入ったのでみんなにも薦めよう、と思っていたところだったのだけど、「寒いところで測ると大きく狂う」ということがわかって、メーカーに問い合わせをしてみました。

2005-03-02の時点で"AD-5615"を検索すると、このブログがトップに出るようなので、この温度計の情報をここに見に来る人もいると思うので、これまでにわかっていることを書いておきます。

メールでのやりとりでは「周囲の温度が変わると補償回路が安定するまでに時間がかかるので、30分待てば正しい値になる」という趣旨の回答をもらったのですが、他の温度計がふつうに使えるのに、これだけそんなわけもなかろうということで、この個体が不良である可能性を考えていました。「期待した」というべきかな。この個体だけの問題であれば交換すればいいわけだから。

その後、メーカーから電話をいただくなどして、別の個体でも試してみた結果、残念ながら、「寒いところでおかしくなる現象」は、個体の問題ではなく、「そういうものである」らしいことがわかりました。(メーカーの公式見解というわけではありません。あくまでも、ぼくが、使ってみた2体がそうであったということです)

放射温度計は、入ってくる赤外線をサーモパイルで測るのですが、サーモパイルは「温度の差」を測るだけなので、絶対的な温度を知るためには「基準」となる温度が必要になります。実験室では氷水を使うことが多いのですが、ここではそういうわけにはいかないので、別の温度計が入っていてそれとの差を使うようです。こいつが外部の温度に追従しないのではないか、という話もありましたが、よくわかりません。

夜10時頃に外に出て、AD-5615を含む4台の放射温度計を使ってみましたが、他の3台がほほ同じ数値を示す中で、AD-5615は異常に低い値を表示していました。

寒いところでダメ、ということで冷蔵庫でちょっと試したけど、異常かどうかはわからず。室温では問題ないかと思ったけれども、指の温度を連続的に測っていくと、ボタンを押すたびにドンドン温度が高く出て、ついには40度を越えてしまう、という挙動も見られました。

これ以上「異常さ」を調べても仕方ないのでこのくらいにしておきます。(だったら返品すればよかったようなものなのですが、妙に愛着があるんですよ)

期待した機械だっただけに大変残念なのですが、もしかしたら「この2台だけの異常」という可能性に期待しつつ、どなたかお使いになった方が、ここを見つけてコメントしてくれるのを待つことにします。
AD-5615

うしろに写っているのは、この温度計のメーカーの「エー・アンド・ディ社」のTシャツ。

March 2, 2005 at 11:30 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.02.19

ラジオメーターが来た

待望のラジオメーターが本日届きました。20年くらい前に買ったことがあって、それは「吊り下げるタイプ」だったので、居間に下げてあったのですが、ある時、何かをふり上げたのが当たって消滅したのです。
SANY0002
さて、早速開けてみました。アメリカのwebで見かける「教育用ラジオメーターの定番」という感じで、説明書も大変教育的にできています。さっそくテスト。

あいにく天気が悪くて「直射日光」に当てることはできず。それでも、曇った日のガラス越しの光でも回ってました。

かい中電灯でも回りました。ちょっとした振動でも回ったり、ゆれたりするので、光が弱いと本当に熱で回っているのかどうかなかなかわからないのですが、懐中電灯ではハッキリと回ってました。
radiometer2
さて、今回の最大の目的である「熱湯入りアルミケース」からの放射熱の実験。 この前作った、100円アルミ缶の1面を黒く塗ってあるものの中に熱湯を入れて、黒い面にラジオメーターを近づけます。うーん、回っているのはたしかなんだけど、イマイチはっきりしない。銀色の面にすると・・・、グラグラして回っているようにも見えますが、「熱で回っている」ようには見えません。

そんなわけで、違いはあるのですが、「遠くから見てもハッキリわかる」とうようなわけにはいきませんでした。うーん、ちょっと残念。

体で暖かいとも感じない懐中電灯の光でも回るくらいなので、黒い面からの放射にもっと感じてもいいと思うのですが、最大の障壁は「ガラス」でしょう。ラジオメーターのカラスは、おそらく「普通のガラス」でしょうから、赤外線はほとんど通さないはず。そう考えれば、少しでも回転してくれたのは有難いというべきか。岩塩のように「可視光にも赤外線にも透明」な材質で作ってあればいいのですが、そんなものがぼくが買える値段であるはずもない。

もうひとつ、ちょっと残念なのは、このラジオメーターの羽根の黒い面の反対側が「白」く塗られていること。ここは「銀」にしてほしかった。可視光に対しては、白と黒とでは吸収率に十分違いがあるのですが、赤外線に対しては、白は吸収率が高くて、黒とあまり差がないのではないかと思うのです。メインの利用目的が「太陽光」で回すことなので、仕方ないのですけどね。

悩ましいことに、中村理科にあった1万円ちょっとするラジオメーターの羽根は銀色だったんですよ。もし、あれでやってみてクルクル回ってくれたら、欲しくなっちゃうだろうなぁ。

ところでラジオメーターとは?
 電球のようなガラスの内部は「ほぼ真空」といっていいかどうかわかりませんが、この説明書によれば「2%」くらいの空気が残っている状態です。これは、あまり真空度が高くてもよろしくありません。
 回転する羽根は、片面が黒、他方が白く塗られています。
 光が当たると、黒い方がよく吸収して白い面よりも温度が高くなります。すると、そこいらにいる空気の分子が暖められて暴れて、羽根を押して回る、というわけです。白い面でも分子は暴れるでしょうが、よりおとなしい、ので押す力が弱いので、「黒い面を背にして」回転します。
 初めてこの機械?が作られた時は、「光の力で羽根を回転させる」のが目的だったそうで、白い面は、光を反射することで、より強い力を羽根に与えて「白い面を背にして」回転するはずだったということです。

February 19, 2005 at 06:53 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.02.16

新放射温度計 A&D AD-5615

VFMI0078
また、新しいのを買ってしまいました。いつも使っているのが調子悪いので、買い替えるつもりで秋葉原を歩いていたら、今までに見たことのないのがありました。
4400円+税で、 -33℃~+250℃。後でわかったことですが「放射率」も変更可能です。
飲み屋で氷の温度など測っていたら調子がよかったので、測定範囲も広いし、デザインもいいので推奨品にしようかと思っていたところ、今日使っているとどうも様子がおかしいのです。雨の中を歩きなが傘の内側を測ると「-1.0」、あれ、と思ってあちこち測ると、道路が「-8℃」だったりします、こりゃあきらかにおかしい。部屋に戻ってからも、まるど安定しません。 外気温に影響されてしまっているのか、とにかくメーカーに問い合わせてみるつもりですが、残念です。このメーカー(エー・アンド・ジー社)は、接触型(つまり普通の)温度計をいろいろ出していて、ぼくもプローブ型のデジタル温度計を持っています。放射温度計は初めてだろうと思うのですが、こうして製品を売っているにもかかわらず、ホームページの製品紹介にはまだ載っていません。どうしたんだろ。

February 16, 2005 at 05:55 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

放射熱日記 2005-02-16 近角聰信 『日常の物理学』

放射熱日記 2005-02-16
しばらく放射熱日記をさぼってますが、放射熱熱は冷めてはいません。

放射熱の基礎的なことに関する情報が不足しているのではないか、という気がつねでねしていたのですが、
近角聰信『日常の物理学 ●一物理学者の随想』(東京書籍)
を読んで、また気合を入れ直しました。

同じく近角さんの書いた本で『日常の物理事典』『続・日常の物理事典』があって、これらの中にも「放射熱」に関することが、思いがけずたくさん書いてあって喜んでいたのですが、『日常の物理学』の中には「放射」という項があって、こんなことが書いてあったのです。

この放射というものはなかなか理解しがたい概念である。低温からの放射は目に見えないために、実体が把握できないからであろう。近頃の小学校の理科教育ては、わかりにくいという理由で、放射を教えない傾向があるそうだが、とんでもない話である。放射は伝導、対流とともに、熱の三大移動方式のひとつで、これなしには熱現象を語ることはできない。(156ページ)

まさに「わが意を得たり」というお話。「伝導、対流、放射」と三つあることは、覚えていたけど、
・熱線が赤外線であること
・真空中でも伝わること
・冷たいものからでもでていること
などなど、まるでわかっていなかったから。

「放射を感知する」方法として「ラジオメーター」を取り上げています。

そうか、この手があったか。問題は、こいつが赤外線にどの程度反応してくれるか、である。何しろ「ガラス」という(遠)赤外線に対してはかなり「不透明」な材質で囲われているので、果して中まで通るかどうか。先日中村理科工業のショウルームにあったものに、手のひらを近づけてみたけど、回りませんでした。体温くらいではダメ、と。ぼくとしては、〈熱湯を入れたアルミケースの黒く塗った面〉で回ってくれることを期待したい。買おうと思ったら、1万円ちょっとしたので、ちょっとためらっていたら、ネットでいいのが見つかったので注文しました。早く試してみたいものです。

「金属がなぜ、光(電磁波)を反射するか」について、「金属内の電場が小さいから」という説明がされています。〈電場と磁場のが振動する波〉である電磁波が金属に入ろうとしても、〈金属が電場の入射を許さないから〉反射してしまうのだそうです。また、金属内の電子が熱振動しても、電場の振動を伴わないから、電磁波は出ていかない、とも。 この「吸収しないものは放射もしない」という話は、放射熱の話の中でも中々面白い話で、ぼくはチンダルの本で知ったことだけど、わりと盲点になっているようで気に入っています。その分説明は難しいので、どうしたらこのあたりをわかりやすくできるかを日夜考えております。特に、可視光と赤外線とで、程度の違いが大きいところが難点。

February 16, 2005 at 05:11 PM in 科学 | | Comments (5) | TrackBack (0)

2005.02.04

ヘラクレイトスの言葉

板倉聖宣さんが雑誌『たのしい授業』2005年2月号に「ヘラクレイトスの言葉」という話を書いています。

5BC頃の人といわれるヘラクレイトスが、言ったとされる言葉を集めた「断片集」(fragments)の中に、こういうのがあります。

田中美知太郎訳『ヘラクレイトスの言葉』弘文堂(アテネ文庫 1950, 1)

  予想しなければ、予想外のものは見出せないだろ。それは
  そのままでは捉え難く、見出し難きものなのだから。

これについて、
1.他の訳では「予想」ではなく「期待」になっている。
2.こんなに良い言葉なのに、引用されているものを見たことがない
という話があります。

1については、例えば
日下部吉信編訳『初期ギリシア自然哲学者断片集(1)』ちくま学芸文庫(2000.11) 302ペ,「クレメンス『雑録集』II 17」

  期待しなければ、望外のものを見出すこともないであろう。
  それは[その時には]探究されないもの、道の通じないもの
  にとどまるから。

となっています。「予想」や「期待」は恐らく英語の expect を訳したものと思われます。

英訳(原典はギリシア語)の例は、例えば以下。

Charles H.Kahn "The art and thought of Heraclitus"

He who does not expect will not find out the unexpected,
for it is trackless and unexplored.

T.M.Robinson "Heraclitus"

If doesn't expect unexpected, will
not discover ; for is difficult to discover
and intractable.

以上は板倉さんから紹介されたものですが、さらにwebを検索してみることにしました。
Heraclitus(Heracleitus, Heraclitis等、綴りがイロイロあって少し苦労)と"expect unexpected"で探すと、あるわあるわ、たくさんでてきました。

その多くは「名言集」のようなものでしたが、いくつか興味深いものを発見、中でもこれ、

  "HERACLITUS The Complete Fragments"
Translation and Commentary and Greek text
by William Harris, Prof. Emeritus Middlebury College
http://community.middlebury.edu/~harris/SubIndex/philosophy.html

  断片集の全訳と解説、しかもギリシア語原文までついた42ページのPDF.
  しかも、この解説が、アインシュタインなどが登場する科学っぽいものなので嬉しい。

unexpected
【試訳】
予想できないことを予想しなければ、真実を見つけることはできない。
なぜならば、それは発見し難く、成しえ難いものなのだから。

もうひとつ、ビックリしたのがこれ、

『Expect the Unexpected or You Won't Find It:
  A Creativity Tool Based on the Ancient Wisdom of Heraclitus』
Roger Von Oech

件の言葉をタイトルにした本が出ていたのです。それも、このOechさんというのは、いろいろ書いている人で、翻訳もでていたのです。

『創造力のスイッチを入れろ!』
ロジャー・フォン イーク
ダイヤモンド社

ヘラクレイトスは、日本でよりも、アメリカでの方がずっと人気があるように思えます。

February 4, 2005 at 10:55 AM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

放射熱日記 2005-02-04 白と黒

BlackWhite空の温度にもそろそろ飽きてきたので、このごろは道端のモノをいろいろ測っています。
今日は、「色の違いによる太陽熱吸収の違い」という、ポピュラー(か?)なネタです。

手前に写っている白いのが、道路標識の柱です。むこう側のフェンスの柱がは黒く塗られています。
朝8時すぎの、そんなに強くない朝日が当たっている状態でこれだけ温度が違いました。

このところ、可視光よりも赤外線の吸収/反射に目がいっていましたが、あらためて「結構違うもの」だと感心しました。 赤外線放射温度計で測っている以上は、ふたつの柱それぞれの「赤外線の放射率」が違えば比較になりませんが、経験的には1度以上の差があるとは思えません。 そうそう、手で触っても温度の違いははっきりと感じられます。

February 4, 2005 at 10:14 AM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2005.01.30

ナノカーボンのパフォーマンス

夕方東急ハンズに行ったら、「ナノカーボン」(正式な商品名かどうかは知らん)の実演販売をしていた。
ナノカーボンというのは、ダイヤモンド(つまりカーボン=炭素ね)の細か~い粒を油みたいなものに混ぜたもので、こいつを電気の接点に塗ると、スキ間がカーボンで埋まって導通が良くなる、というシロモノです。

こいつを、客の携帯電話の電池やメモリーカードの接点に塗って見せるわけです。
ぼくのデジカメの電池が、充電したてなのにすぐ残り少なくなると思っていたのが、接点をヤスリで磨いたら良くなった、ということがあったので、「接触が悪いと、切れてしまうわけではないが、よろしくない」ということは理解しています。

しかし、しかしですよ、これを塗った効果を見せるために、何をすると思いますか?
1.まず、塗る前に携帯のカメラで写しながら、左右に振って「この時の画面の(追従の)遅れを覚えておいてください」といいます。
2.次に、カメラの前を手でふさいでからパッと離して「画面にピントが合うまでの時間を覚えておいてください」といいます。
3.携帯の電池を抜いてを切って、接点に「ナノカーボン」を塗ります。(あれこれ言いながら1分くらいかかる)
4.再び携帯の電源を入れて、1,2と同じことをします。
店員:「どうですか?」
客:「うーん、ちょっと速くなったような気がする」

店員はぼくにも薦めたので、よほどいろいろ聞いてやろうかと思ったのだけど、今日は心おだやかでいたかったので「ニヤっ」と笑っただけでその場を去りました。

前の客の「パフォーマンス」の時に、ぼくもうしろから画面を見ていましたが、もちろん速くなったかどうかなんてわかるはずはありません。 「でも、『速くなった』と言っている客がいたじゃないか」と思うかもしれませんが、速くなることを多少なりとも期待していて、さらに店員に「速くなったでしょう」と迫られればそんな気になることは不思議ではありません。

ファイテンという会社のRAKUWAとかいうブレスレットを売る時のパフォーマンスにこんなのがあるそうです。
1.まず、手を伸ばした状態で何かの包みを持たされる
2.RAKUWAを付ける
3.再び同じ包みを持つ
 すると「1」より「3」の方が「軽く感じる」のだそうです。それで「RAKUWAはすごい」と言って、みなさん買って帰る。(全日本のバレー選手もつけているらしい)
ちなみに、「レンガの入った包み」のように「予想外に重い」ものを、それも手を伸ばした状態で持たされると、ひどく重く感じるだろうと思いませんか? 次に、同じものを「重いものだ」とわかった上で持つと・・・。
(読者の中にはユーザーもいるかもしれないので、評価はいたしません)

というような例もあるので、「同じ速さの画面」であっても、2度目に見た時の方が速く見える、ということもあるのかもしれません。

で、「接点の導通が良くなる」のは、きっと本当でしょう。そう信じたい。 しかし、しかし、しかし、

デジタル機器の電源や、メモリーの接触が良くなったからといって、それでプログラムが速く動いたり遅くなったりするわけないだろぉぉぉぉぉが。

同じ客のMDウォークマンのジャックにもおクスリを塗って「ノイズが減りましたよね」くらいなら、まあウソでない可能性も残ってはいるが、携帯電話(=コンピューター)の電源を接触で速くなるだと!??

実は、1年くらい前にもパフォーマンス(ふつうはデモといいますが)をやっていて、その時は「携帯画面のスクロールが速くなります」というものだったのです。今日は、ウォークマンの方を先にやっていたので「さすがに、あれはヤバイからやめたのか」と思って、そう聞いてやろうかと思った矢先に「カメラの画面」だと。

こんなカタログがありました。
「スクロールスピードアップ」って書いてあるなぁ。 「電池長持ち」くらいだったら、まあ、ありえなくもないのだが。

January 30, 2005 at 11:11 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (0)

2005.01.28

『On Radiation』John Tyndall

チンダル先生が1865年5月16にケンブリッジ大学の人たちを相手に「放射」に関して講演したものをまとめた本。

何度もここで紹介してきた『Heat (considered as) a Mode of Motion」の中に放射熱(radiation heat)のことが、詳しく書かれていることを知って、さらには『On Radiation』(放射について)という、そのものズバリを本があるとわかったのでひと月ほど前にBook Finder経由で注文したものが、つい先日届いた。本文が62ページの小冊子。$29.95+送料$7.49は高いようではあるが、江戸時代末期に書かれた原本だと考えると骨董的な価値もあるのだろう。12/27に注文して届いたのが1/24だったかな、船便だろうからまあまあ。

さて、肝心の中身は・・・の前に、まず、この本、あまりに古くてボロボロと表紙やページが外れるので、最初にしたことはコピー。60ページほどなのであまり時間はとられずにすんだ。続いて製本。「製本屋さん」という「手動製本機」を使う。最後に、原本の修復。どうせ読むのはコピーなんだから、原形を留めておいた方がいいかなとは思いつつも、骨董品じゃあないからと割り切って、不細工に修復。

内容は、まだ数ページ読んだところながら期待どおり。プラチナ線に電気を流して熱していくと、まず暖かくなって、赤くなり、オレンジになり、ついには白くなる。そこからの光をプリズムで分けて、などという話から入る。「人間がものを見るためには視神経に何かがぶつからなければならないが」というようなことも。

ここでは、光や熱の波は「エーテル」を媒質として伝わっていることになっている。「ああ、まだそんな時代だったのか」と思う一方で、「ぼくが知りたいようなことは、エーテルで説明がついてしまうのかも」とも。たまたま並行して読んでいる『アインシュタイン 16歳の夢』(戸田盛和著 岩波ジュニア新書)では、エーテル説が打ち破られるところなので、そのちょっと前の時代の人たちがどう考えていたのかを考えると面白い。

January 28, 2005 at 05:10 PM in 書籍・雑誌, 科学 | | Comments (0) | TrackBack (6)

2005.01.26

放射熱日記 2005-01-26

赤外線温度計で測った「空の温度」が、放射冷却の理解に役立つのでは、という話をこの前書きました。

たしかに、晴れている時は-30℃をさしているものが、曇った日には+1℃などになりますから、「違い」はよくわかります。しかし「空の温度」を表わしているわけではありません。宇宙のかなた(絶対零度に近い)ほどではないにしても、雲のあるあたりは、-30℃どころではなくもっと冷たいでしょう。つまり、純粋に「空からの赤外線」だけを測ることはできなくて、まわりから反射してくる赤外線も一緒に測っているものと考えられます。これは、気温が下かってくるにつれて、「空の温度」も下がってきたことからも想像できます。


「空の温度そのもの」でないことが気に入らなかったのですが、さらに進めて考えてみると、ある物体(特に放射冷却を問題にしようとするモノ、クルマなど)の上で、赤外線温度計を上に向けて測った時の温度というのは、「物体が受け取る放射熱」そのものなのではないかと思えてきました。空からの赤外線はもちろんのこと、まわりから反射してくるものだろうが何だろうが、実際に「受け取る」のですから。

こんな時は、安物の赤外線温度計は、ありがたいことに測定角が大きいので「まわりからの赤外線」をしっかりと捕えてくれそうです。こうして測った温度が例えば「プラス3度」であれば、放射冷却で凍ることはなさそうですし、「マイナス30度」であれば、たとえ、まわりの気温が少々高くても、物体が放射する熱を補い切れなければ、零度以下になることが期待できます。 念のため、ですが、物体から熱が放射される速さや量は、「空の温度」とは関係なく決まります。ただただ「空からの放射熱」による、補給が多い少ないか、という話です。

試しに、木かげや、屋根の下で同じように上を向けて測ってみると、「空」よりも、高い温度を示すはずです。だから、放射冷却も少なくなるはず。

これは面白い、と思って、昼間にもいろいろな物体の「受取っている放射熱の温度」を測れるかと思ったのですが、多分それはダメでしょう。何故なら、赤外線温度計は一定の波長の赤外線しか測っていないのに対して、昼間の光は太陽から受取る熱は可視光線からなので、この温度計では測定されないからです。太陽に真っすぐ向けて測っても「0度」などという数字がでます。測定者にはガンガンと陽が当たって暖かいにもかかわらず。

January 26, 2005 at 04:53 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2005.01.25

空気はホントに乾燥しているのか?

メーリングリストで「ストーブで空気がカラカラに乾いた」という話を読んで、ふと「『乾く』ということは、その水分はどこへ行ったのだろう?」と疑問に思いました。

「湿度」は、

  [空気中の水蒸気圧]
────────────── 
[(その温度での)飽和水蒸気圧]

で表わされます。温度が上がると、分母(飽和水蒸気圧)が大きくなるので、空気中の水分(水蒸気圧)が変わらなくても湿度は〈相対的に〉下がります。(だから「相対湿度」か)

というわけで「ストーブをつけると湿度が下がる」というのは納得しましたが、次に、なぜ「体やモノが乾く」か・・・

1.温度が上がると[飽和水蒸気圧]が上がる
2.すなわち、〈空気中に存在できる水分の量〉が増える
3.体やモノの水分は空気中に出ていきやすくなる
4.だから〈体やモノ〉が乾燥する

なるほど「モノが乾く」のはわかったけど、はたしてこれを「空気が乾いている」といっていいのだろうか?
だって、ストーブを付ける前と後とでは部屋の空気中の「水分の量」は変わっていないではありませんか。乾いたのは、あくまでモノや人(の喉)であって、空気はちっとも乾いてないのではないか?

冬に外気が〈乾燥する〉というのは、夏の湿度の高い時と比べると、相対湿度が低いだけでなく、絶対湿度(空気中の水分の量)も小さいのですが、「ストーブによる空気の乾燥」はちょっと違うのではないだろうか?

なんていうのは、言いがかりであって、われわれにとっては「絶対湿度」よりも、「相対湿度」の方が、直感的であり、また役に立つからこそ、湿度といえば「相対湿度」のことを言うのですね。空気中の水分の絶対量が少なかったとしても、気温か低くて湿度が低ければ、結局洗濯物は乾かないのですから。

洗濯物自身の「乾き具合」に関しては、「水分があるかどうか」すなわち「絶対湿度」で決まるけれども、空気が「乾いているかどうか」は、あくまでも相対湿度が問題である、ということで納得。

January 25, 2005 at 10:47 AM in 科学 | | Comments (7) | TrackBack (0)

2005.01.19

放射熱日記 2005-01-19

雨の日以外では久しぶりに雲がたくさんでていたので早速測定。
1~3℃くらい。「放射冷却」の話で「放射する方はいつでも同じように放射している」のだけど、「空から降ってくる熱が少ないから冷える」ということなんだけど、こうして曇の日は「空の温度が高い」ということを見ると、そのことも実感できる。「空の温度」とはいっても直接的には意味はないかと思っていたけれども、もうしてみると結構意味を感じられて楽しい。

葉っぱ、アスファルトの道路、工事現場の鉄製の囲い、などを比べてみると、日中は同じような温度のものが、早朝や夕方では、差がついていて「熱容量」が実感できます。葉っぱの中でも、ちょっと陽の方を向いているかどうかでかなり温度が違うのも面白い。

January 19, 2005 at 11:59 AM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (0)

2005.01.13

熱は温度の低い方にのみ流れるのか?

放射熱日記 2005-01-13
◆放射製氷失敗
 昔の人のマネをして放射冷却で氷を作ってやろうと、発泡スチロールに水をかけて、〈上空に邪魔のないところ〉に置いておいたがダメだった。〈凍らなかった水〉の温度を測ることもしなかったけれども
さわった感じでは、大して冷えることすらなかったのかなぁ、というところ。気温が零下になって凍ってしまうことを心配していたのがおかしい。
 マンションの1階の庭に出しておいたのだけど、「広い野っ原じゃないとダメなんじゃないの?」と息子に指摘された。たしかに「真上」には何もないものの、まわりには建物が迫っているではないか。これではまわりから放たれる熱線は防げない。実は、「まわりの空気で暖められないように」と思って、発泡スチロールの「箱」の底に皿を置いたものもあったのだが、こんなの箱の内側の熱線がバシバシ降ってくるではないか。

◆放射冷却ネタ
 「放射熱」で検索してもあまり面白くなかったが「放射冷却」だと、出るわ出るわ。気象の記事はもとより、建築でも「ビルの谷間は放射冷却は少ない」なんて話がでていた。(これを読んでいたにもかわらず、上の製氷実験では谷間に置いていたのだな)
 放射冷却に関する研究結果もいろいろでていたし、さらには「パラボラクッカー(パラボラ型の反射板の(文字通り)焦点に食料を置いて焼く器具)」による製氷を試みた実験(ダメだったそうですが)も見つかったので、どうやらぼくの出る幕はなさそうです。

■熱は温度の高い方から低い方に流れるとはいうけれど
 さて、今日のメインはこれ。

きのうの温泉カワセミさんのコメントを読んでいて気がついたことだけど、「熱は温度の高い方から低い方へ流れる」というのは誤解を招く表現だと思えてきた。実際放射冷却の説明で「絶対零度付近の宇宙に対して熱を放射するので」などと書かれているのを見ると、物体があたかも〈自分より温度の低い物を探して、そこに向かって赤外線を放射〉しているかの如き印象を受ける。そんなバカなことはある筈もなく、モノはまわりが熱かろうが冷たかろうが、そんなことは何も知らずに淡々と熱を放出し続けるわけで、まわりの方が熱ければ〈放出する以上の熱を吸い込む〉ということでしょう。宇宙が相手だからといって、特別にたくさん熱を放出するわけではなくて、単に「もらう熱が少ない」から冷える(凍る)ということ。
 お天気キャスターの森田さんのHPにこんなことが書いてあった。「放射冷却現象」について、という質問に対して、こう答えています。

「現象」などという大それたものではありません。テレビで放射冷
却「現象」という人がいたら、それは気象をまったく理解していな
い人といってもいいと思います。
すべての物体は、たえず熱を出しています。この熱を出して冷える
ことを「放射冷却」と言っているのです。なんのことはありません
。誤解を承知でいえば当たり前のことを難しい言い方に置き換えて
いるだけなのです。
たとえば熱いフライパンがあるとします。そのままにしておけばフ
ライパンはどんどん冷えていきます。このとき「放射冷却によって
フライパンは冷えている」といいます。ただこの冷え方は条件によ
って違います。もしフライパンにドライヤーの熱い空気をあててい
たら、あんまり冷えないでしょう。
大地も同じで昼間は太陽が出ていますから、放射冷却していてもあ
まり冷えないのです。逆に夜間雲がなくて風が弱いと、放射冷却が
妨げられないので、温度が下がることになります。

少々乱暴な書き方だとは思いますが、放射冷却を「絶対零度の宇宙」とかごちゃごちゃ言わずに「モノはそもそも冷えるものである」という切り口で説明しているところがなかなか新鮮。もっとも、熱の放射ということをよく知らない人(つまりはほとんどの読者)が読むと、〈晴れた冬の日〉には何もかも冷え込みそうに思えちゃいますね。

『熱は、温度の高い方から低い方に〈のみ〉流れて、冷たいものからは〈一切発せられない〉』と思っている人って、案外いるのではないのだろうか?  

January 13, 2005 at 09:45 AM in 科学 | | Comments (6) | TrackBack (0)

2005.01.12

放射熱日記 2005-01-12

きのうの日記に、温泉カワセミさんから思いがけず実体験に基ずいたコメントをいただき感激。汚れまくっていたヤカン(ステンレス製)を磨いたので、放射熱の損失が少しは減ったか。

今朝7時少し前に、パンと牛乳を買いにコンビニに行く途中、100円パーキングに止まっているクルマのガラスが凍っているのを発見。うむ、これぞ「放射冷却」であろう。フロントとリアが凍っているのに対して、横にある窓のガラスはそのまま。空に向いている面がほとんどないからだろうと予想。ただし、すべてのクルマで凍っているわけでもなく、まだわからないことは多い。

庭(といってもマンションなんでほとんど空地がないのだが)に浅い皿に水を入れて置いてみよう。皿は発泡スチロールの上に置こう。ベンガルの人が「ワラ」を使ったように。 気温が零下になると面白くないので、今くらいの気候が丁度良いのかも。 周囲が零度より暖かいにもかかわらず凍る、というところが放射冷却の肝なのだ。

ところで、クルマのフロントガラスに氷が張っていたのは、元から水があったからだろうか?そうではなくて空気中の水蒸気が露になって付いたものが凍ったから、あるいは水蒸気が直接昇華して霜になったか。これは結晶を見ればわかるだろうから、次は近くで見てみよう。

ここまで放射熱について調べた今になっても、そこいらに置いてあるものが、〈遥か彼方の宇宙に向けて熱を放出する〉というのが、どうにも信じられない。

January 12, 2005 at 09:44 AM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (0)

2005.01.11

放射熱日記 2005-01-11

チンダルの本("Heat considered as A Mode of Motion")には、まだまだたくさん radiant heatについて書いてある。「放射冷却」に関する話で、ベンガルでの氷の作り方がでている。浅い穴にワラを敷いた上に置いた皿に一度沸かした水を入れておく。水は放射冷却され、ワラは熱伝導が悪いので地面の熱をもらうことなく、朝までには「氷になる」というわけ。このことは、Dr.Wellsが書いているそうで、そこには「晴れた空」が条件だと書かれているが、チンダルはそれに加えて「乾いた空気」であることが必要だと書いている。水蒸気が強力な「熱吸収(放射)体」であるから。

逆に放射冷却を防ぐためには、「何かが上にあればよい」ので、他は凍っているのに葉の陰は凍っていない、ということも起きるそうで、「クモの巣があるだけでも防げる」とか。
[Lecture XII より]

その気になって読んでみると、いろいろなところに放射熱の話はあるもので、近角聡信さんの『日常の物理事典』、同『続・日常の物理事典』(*)を久しぶりに開けてみたら、いくつもがでていた。中でも「ガスの炎のうち、青い炎は気体なので放射熱が少ないが、赤い炎は炭素の粉が入っているので放射熱が高い」とか「赤外線コタツは、中の空気を暖めるのが目的ではないからふとんは、厚くなくてもいい」とか「アルミ箔による断熱の効果」とか、いろいろと嬉しくなるような話が書かれている。この本は索引に「熱」とか「放射熱」という分類があるし、文中にもリンクが張りめぐらされているので、こうした探し方には非常に便利である。

料理の話がよくでてきて、「ローストビーフを切り分けるのは主人の仕事」なんて書いているのだけど、ぼくは40年くらい前に近角さんの切り分けたローストビーフ(多分ね)を食べたことがあります。

(*) 05-02-16 当初、書名をあやまって『日常の物理学』と書いてしまいました。その後『日常の物理学』という同じく近角さんによる別の書物を読んで、「同じ題名とは変だなぁ」と調べているうちに、自分が間違えていたことに気付いて本日修正しました。

January 11, 2005 at 05:08 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.12.28

『悪魔の辞典』とチンダル

悪魔の辞典』 アンブローズ・ビアス著 という本があります。どんな本かを説明するのは難しいので、Googleしていただくとして、ちょっとビックリした発見がありました。


ぼくが、何度もここで紹介したり引用したりしている1800年代のイギリスの科学者ジョン・チンダル(John Tyndall)が、『悪魔の辞典』に登場していたのです。それも、ぼくが全訳しようかと思うほど気に入っている本『Heat as a mode of motion』が題材になっています。

HEAT [熱] という項目(訳は http://www005.upp.so-net.ne.jp/kareha/trans/dd_h.htm から)

Heat, says Professor Tyndall, is a mode   Of motion, but I know not how he's proving His point; but this I know -- hot words bestowed   With skill will set the human fist a-moving, And where it stops the stars burn free and wild. Crede expertum -- I have seen them, child.

  熱とは運動、チンダル教授はそう言っている
私は知らない、証明するにはどうすれば?
でも知っている、燃えるような激しい言葉
巧みに使えば人の拳を動かすことを
拳の動く先、燃えるように飛びかう星々を
  経験者を信じよ――そうだよ子ども、私は見たことがある

Gorton Swope

チンダルさんが「熱とはものの動きのひとつの形態(mode)だよ」ということをうたったのが
"Heat as a Mode of Motion"なのですが、これが悪魔の辞典のHeat(熱)の項に採用され
たのは、どうしてなのか? 当時、チンダルが流行っていたのか、ビアスが科学が好き
だったのか。

December 28, 2004 at 02:49 PM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (3)

2004.12.23

放射熱を感じる

10月に「コーヒーカップよりもステンレスカップの方が冷めにくい(らしい)」という話を書きました。(「熱しやすく冷めやすい」
そちらの追試もしなくてはいけないのだけど、最近は「放射率の違い」を肌で感じる仕組みに凝っています。(「放射熱」よりも「輻射(ふくしゃ)熱」という言葉の方がなじみのある人もいると思います。漢字制限で変わったのか今は「放射」の方をよく見かけます。「輻」の字はたしか「車のスポーク」にあたるもののことだから、まわりじゅうに放たれている感じがでています。英語のradiationもradius(直径)と同系だろうから同じような話)

熱の伝わり方のうちで「伝導」と「対流」と比べると「放射(輻射)」は、いかにもわかりにくいと感じていたのですか、考えてみれば太陽からの熱がそうやって来ているわけで、もうちょっとわかってもいいなと思った次第です。

こんな道具を作ってみました。
041208_001041208_002

アルミダイキャストの箱の面を、
1.そのまま
2.アルミ箔を貼る
3.塗料で黒く塗る
4.フェルトを貼る
という処理をしたものです。

この中に熱湯を注いで、それぞれの面の近くがどうなるかを調べようというものです。
フェルトはともかく他の面の温度はほぼ同じになると考えられるので、何か違いがあるとすれば、表面の性質によるだろうということ。

答えを先に言ってしまうと、黒く塗った面とフェルトを貼った面に「手」を近づけると2センチくらいの距離から「暖かさ」を感じるのに対して、アルミそのままやアルミ箔の面はギリギリまで近づけないと暖かさを感じません。これは「アルミの方が放射率が低いから」と言ってしまえばそれだけのことなのですが、結構ビックリしました。

放射温度計を使う時にこの「放射率」が問題になります。金属は放射率が低いのでそのまま測ると正しい値がでません。〈金属そのものの温度を測りたい〉という目的からすると、単に「測定上の注意」ということなのですが、「放射率が低い」ということの本質は何かといえば「熱を放出しにくい」ということでしょう。つまり同じ温度の容器であっても金属面の部分からはあまり熱が出てこない。(だから「冷めにくい」という話が前に書いた日記です)

人に見せる実験としては「手で感じる」のがベストかもしれませんが、大勢の人に見せるためには、「黒い面の前に持っていくとパッと動く」ようなメーターとかランプが欲しいところです。デジタル温度計のプローブを置いても反応が鈍くてダメ。コーンを付けたり、プローブの先に何か付けたりしてもダメでした。中村理科工業の店長さんに「熱電対をそのまま使ったらどうか」と助言をいただきました。 実は、この実験は1860年頃にジョン・チンダルがRoyal Instituteで見せたものをマネしているのですが、その時の「熱検知器」がThermo electric pileと呼ばれるもので、まさに熱電対なのでした。 工作も電気も苦手な私としては、熱電対使ったセンサーを作ることもままならず、まだ何か楽な方法がないか探索中です。

さて、箱の4つの面を「放射温度計」で測ってみるとどうなるでしょう。ちゃんと記録していなかったのですが、

1.そのまま・・・・・・・35度
2.アルミ箔を貼る・・・28度
3.塗料で黒く塗る・・・71度
4.フェルトを貼る・・・・・68度

という感じになりました。(あくまでも「ざっと」です)
「1」の面はアルミダイキャストをピカールで磨いたのですが、アルミ箔よりも放射率は高い(反射率が低い)ようですが、ともあれ「金属」と「それ以外」の差は大きく出ました。「面の温度」そのものは、ほぼ同じはずなので、測定結果だけを見ると「放射温度計ではうまく測れない」ということになってしまうのですが、これは測定の問題とうよりも、「面の近くの点が受ける熱線の量」と考えれば、まさにそのままの値が出ているのですから、「アルミの近くは暖くないが、塗料の面の近くは暖かい」ということを示しているともいえます。

その意味で放射温度計は「放射熱の違いを示す道具」として最適なのかもしれませんが、いかんせん「直感的」とはいいがたいので、チンダル先生のような「原始的計測器」が欲しくなるのでした。
thermo
“Heat considered as A Mode of Motion:
being A COURSE OF TWELVE LECTURES
delivered at THE ROYAL INSTITUTION OF GREAT BRITAIN
IN THE SEASON OF 1862”
by John Tyndall

December 23, 2004 at 02:42 PM in 科学 | | Comments (11) | TrackBack (0)

2004.12.11

感じるのはどちら?

放射温度計を持ち歩いていることもあって、モノの温度が気になります。
顔面の温度が外気の温度によって大きく変わることがわかったし、耳たぶは実際冷たくて、「やけどした時に触る」のは根拠のないことではなかったこともわかりました。

ところで、指で冷たいものに触れると「ああ冷たいな」と感じます。
これは指には限らなくて、耳に何かをあてれば「冷たい」とか「暖かい」とか感じます。
あたり前。
では、「指」で「耳」をさわるとどうでしょう。どちらも自分の体ですが、指より耳の方が冷た
ければ「冷たい」と感じるのが普通のようです。耳が主体となって「この指は暖い」と感じ
る人はいないと思います。

では、左右の指同志を触れさせたらどうなのでしょうか? 同じ温度ではわからないから
例えば右の人差し指を冷たくしておいて、左の人差し指と触れあわせたら、果して
「冷たい」と感じるのか「暖い」と感じるのか、それとも同時に両方を感じるのか。

これからやってみようと思いますが、みなさんどう思いますか?

December 11, 2004 at 11:20 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.11.30

三原色は誰のため?

田崎晴明さんが1998年頃に書いたものに「三原色、色覚、聴覚、味覚」というのがあります。

そこに書かれていること、

そもそも、光や色に三原色がある(正確に言えば、全ての単色光を再現する三原色は存在しないそうですが)というのは、一重に我々人間の視覚の仕組みに由来するいわば生物学的な事実です。しかし、子供の読む理科の本などでは、三原色の存在が光の基本的な性質といっしょくたにされて説明されているような気がします。案外、ある程度の理科、科学の知識のある人でも、このあたりを混乱している(混乱させられている)人は多いかも知れません。

つまり、〈モノが原子からできているかのように〉「色が三原色から作られている」わけではない、ということです。
 詳しくは上のページを見ていただくとして、これは「意外」という人が多いんじゃないでしょうか。

「そもそも三原色なんて知らん」という人にはどうということはないでしょうが、パソコンがカラー化され(いつの話だ)て、RGBだのシアン、マゼンタだの言っている人ほど「へぇー度」は高いと思います。

つい先日息子(22才)と写真や印刷物をライトスコープ(ライト付30倍顕微鏡)で見ていて、「点の混ぜ合わせでうまいこと色を出しているなぁ」なんて話をしていたのですが、その時にふと田崎さんの話を思いだして見に行ってきたわけです。

そういえば、三原色のことを習ったのは「物理」の時間ではなくて、「美術」の時間だった。美術の時間にしては、妙に科学っぽくて、芸術家風でいつも怒鳴っていた美術の教師がその時だけは学者風に見えたものです。

その時に「青と黄色の絵の具を混ぜると緑色になるけど、緑の絵の具よりも暗くなる(明度が下がる)」と聞いたと思うけど、それは別の話か。

November 30, 2004 at 11:43 AM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.11.13

空の温度

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ひと月ほど前から赤外線放射温度計を持ち歩いている。後から買ったスティックタイプが気に入ってここ2週間はこれを使っている。

 身近のものはだいたい何でも測っているのだけれども、最近気になっているのが「空」の温度。正確には「空に向けた時にこの温度計が何度を示すか」といった方がいいかもしれない。
 はじめて試した時にマイナス何度という数字が出てビックリしたのだけれども、要するにこの温度計は、センサーに入ってくる赤外線の量を測っているので、向けた方からほとんど赤外線がやってこなければ低い温度を示すわけである。「空」といえば、空気があってその先は宇宙だから何もないようなものではある。この温度計の測定範囲は、「1メートル先では直径1メートルの円」なので、近くに物のないところで測らないと、いくら上に向けてもビルなどが範囲に入ってしまうことがある。少じづつ方向を変えながら測ってみると、「ビルが入ったな」というあたりから急に温度が高くなるからわかる。 直接ビルなどに向いていない場合でも、反射してくる赤外線もあるのだろう。もし本当に宇宙の温度であればマイナス8度くらいでは済まないだろうから。

何回か別の日に測って-11~-8度くらいだったのだけど、きのうはじめて雨の日に測ったらプラス16度くらいになった。雨粒からの赤外線かとも思うが、雨が止んでも温度は変わらなかったので、雲からの赤外線かもしれない。いろいろやってみると、雲の量によって温度が変わるような気もする。

空の温度とは間係ないが、271828さんが持ってきた「ミノルタ製7万円の放射温度計」は測定角が「2度」というすごいもの。これだと1メートル離れたものでも直径8センチほどの範囲を測れる。レザービームがしっかりと円で表示されて、どこを測っているのかわかるようになっている。そのレーザーを動かすためにモーターが回っていちグリグリするのが不思議な感覚。

温度マニアとしては、スポット型も欲しくなってきた。 いやしかし、その前にチンダルのThermoelectric Pileかなぁ、そんなもの売ってないけど。

November 13, 2004 at 11:14 PM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (0)

2004.11.05

地球儀紙風船

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少し前に「透明ビニール地球儀」のことを書いたのだけど、その後「紙風船」の地球儀を手に入れた。これならカバンに入れて持ち歩ける。社会科の先生は、地図の「図法」の説明に、これをハサミでじょきじょき切って、平面に貼ってみせていました。
 「地球がまるい」をわかって航海したコロンブスが、アメリカをインドだと思ったというけど、こうして地球儀で見てみると距離があまりに違うのであきれちゃう。当時の技術じゃ仕方ないのだろうけど、よくそれで大海に出ていったもんだ。やっぱりコロンブスはすごい。

November 5, 2004 at 02:17 PM in 科学 | | Comments (1) | TrackBack (0)

2004.10.23

熱しやすく冷めにくい

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ほぼ同じくらいの大きさのカップふたつ。片方は磁器、もう一方はステンレス製。
これに熱湯を注いで放置すると、〈どちらが早く冷めるか〉というのを調べてみる。
ステンレスのカップの中には、中空になっていたり、さらには真空になっていたりするのがあるけど、これは、単なる1枚板。

1回目にお湯を入れて直後に測ったら、いきなり10度(5度だったかも)くらい違う。磁器カップの方が低い。ビックリしたけど、考えてみたらカップ自身が暖まるためにお湯は冷めてしまったのだった。おお、これだから紅茶を入れる時に「カップを暖めておきなさい」というわけか。それにしても、こんなに下がるとは思わなかった。

というわけで、今度は紅茶をいれる時のように予熱してからスタート。(さっき入れたのをそのままにしておいただけだけどね)
結論からいうと、〈磁器の方が早く冷めた〉でした。 実は期待どおり。
でも、ついこの前までだったら「ステンレスが早く冷める」と思っていた。だって、そんな感じでしょ?お茶いれると、すぐに外側が熱くなるし。

そう、お湯の熱がカップに移るところまでは、たしかにステンレスの方が断然速いのです。ところが、そのカップから外に熱が逃げるところがどうか? そもそもカップから熱が逃げる経路は何か、と考えると、
1.上面から
2.側面から
3.底面から
があります。あえて書かなかったのですが、カップにはラップでふたをして、発泡スチロールの板の上に乗せておきましたので、1と3の熱の出はかなり小さくなりそうです。
残る「2」ですが、側面からはどうやって熱が逃げるのでしょうか。まわりには空気しかありません。ここでの熱の伝わり方は、「伝導」でも「対流」でもなく「放射」です。 この放射が、磁器と金属とでどちらが大きいかというと、磁器の方が大きいので、より多く熱を放出して、「早く冷めた」というわけです。

・・・と言いたいところだけど、まだまだ怪しいですね。ちゃんと実験しないと。
「金属からの放射熱は小さい」というのは、まあ元からわかっていることだから、正しいとしても実は面白くない。
で、現実的に「ステンレスカップの方が冷めにくい」と言うことなら面白いけど、そう言い切るためには、フタしたり、発泡スチロールの上に置いたりしてはいけませんからね。 でも、「カップを予熱しなくても大丈夫」というのは言えそうで面白い。 カップはすぐに熱くなるのに、なかなか冷めない、とすればこの記事のタイトル通りになるではないか。

October 23, 2004 at 12:43 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (0)

2004.10.09

赤外線放射温度計

thermo.jpg

赤外線放射温度計というものを買ってみました。しかも2つも。

大げさな方が1万円くらい、小さい方が3000円。高いといやあ高いけど、以前はシロウトが買うような値段じゃなかったらしいから、嬉しくなって買いました。

何ができるか、といえば「温度を測る」ことしかできないのだけど、「非接触式」だから、ラーメンの表面温度も測れます。さっきの「満龍」のみそラーメンは64度ほどでした。

値段の高い方には、レーザーポインターもついていて、どこを測っているのかわかります。これは必須機能だろうなぁと思っていたのですが、測定の方はレーザーのように指向性が強いわけではなくて、狭い面積の温度を測る時には、近づかなくてはいけないので、実はあんまり関係ないかもしれません。つまりは、「遠くのもの」を測れるわけではないんです。

測定範囲が「-20~+300度」で、小さい方は「-22~+110度」だから、高い温度を測る時には、こちらでないとダメですが、どうやら実用的には安い方で十分って感じです。測定精度はどちらも2~3度。

冷凍室から出したばかりの氷は「-15」で、水に入れておいて測ると「-1」など、ちゃんと測れているようです。
体の表面は32度くらいだけど、口を開けて中を測ると36度。

小さい方はポケットに入れておけるので、当分の間いろんなものを測ってやろう。

October 9, 2004 at 02:20 PM in 科学 | | Comments (4) | TrackBack (1)

2004.09.15

空気の組成

きのうの記事の中で、「空気(大気)の組成」について、書いたら 271828さんからメールをいただいて、なんとこの話題はお父上が科学嫌いになったきっかけだったということで「親の仇」だそうです。(別にぼくが仇なんじゃないけどね)

空気の組成が〈地表と上空とでは異なる〉ということを、理屈だけで書いてしまったが、実際のところは「高度80kmくらいまでは、組成は変わらない」のだそうである。それは、「空気がよく混ざっているから」。なるほど。「対流圏」と呼ぶくらいで、空気は対流してるんですよね。

http://ua.t.u-tokyo.ac.jp/okabelab/izumi/thes/mete1_2.PDF(HTMLバージョン)によれば

空気の組成
∼80km:一定
それより高度が増すと重力による分離が始まり、軽い気体の割合が増大していく。
∼100:窒素が主成分
100∼170:酸素
170∼1000:ヘリウム
1000∼:水素
だそうです。対流圏は11kmくらいで、80kmというと、成層圏の上の中間圏という層で、ここより上は「空気はない」と言われる。たしかに、酸素やヘリウム主成分の混合気体だとすれば、それはもはや「空気」ではないだろう。

ん、してみると「空気の組成は、高度によらず一定」というのは正しいのか。組成の違うものは、「空気ではない」のだから。

September 15, 2004 at 02:57 PM in 科学 | | Comments (2) | TrackBack (0)

2004.09.14

軽いものは上に行くのか?

科学ネタが続きます。
水素やヘリウムの風船が上に行くのは「ヘリウムが軽い」からなのか? YES & NO.
ヘリウムが「空気より」軽いから、というべきでしょう。「空気の浮力」で浮くのですから、水の中で木が浮かぶのと同じ理屈。 ヘリウム(水素)には「軽さ」があるから浮くのだ、という説もあったそうですが

、「軽さ」というのは、あくまでも何かと「比べて」のことであって、どんなものにも「重さ」があるということ。
真空中では、ヘリウム風船も、浮かぶことなく落ちてしまうはです。(やってみたいな)

さて、ヘリウムを風船に入れずに空中にまき散らしたらどうなるだろうか?
目に見えないけれども、風船の時と同じく「上に」行きます。 「風船と同じ」って言ったけど、じゃあ「真空中」ではどうだろう? 真空中にヘリウムを放ったら、下に落ちる? そんなことはない。しっかり上に行くでしょう。いや、上にも下にも、どの方向にも散らばってその(真空の)容器の中一杯に広がるでしょう。容器が大きければ、どんどん上に行くことでしょう。 

もう一度、大気中にヘリウムを放った時のことを考えると、放り出されたヘリウム分子(単原子分子)は、分子運動をでまずある方向に飛ぶ。すぐ他の分子、たいていは窒素か酸素だろうか、に衝突し、それを繰り返すが、一方では、重力を受けているので、全体としては下の方にたまってくる。これは空気でも同じこと。ただしヘリウムの方が質量が小さいので分子が動く速度も速く、また重力の影響が小さいので、、どんどん上空に上りやすい。(ついには地球の引力圏を脱出してしまうものも多い)

こんなことを考えていて、つい先日疑問に思っていたことが解決しつつある。「空気」と簡単にいうけれども、主だったところたけでも酸素と窒素の分子が混じっている。しかし、OとNとじゃ、質量が違うじゃないか。どうして一定の割合で混じっているのだろう? 酸素も窒素も、それぞれの質量に見合った分布のしかたで、地表から上空まで散らばっていて、地表面近くでの割合が、1:4くらいだ、ということなんですね。窒素の方が少し軽いから、高いところまで広がっているんだとすれば、上に行くほど比率は高くなるのかどうだか、そこのところはよくわからない。

「あっ」、「熱せられた空気が上にあがる」というのも、熱気球ならわかるが、バラバラの空気だとわからなかったのだが、「熱い空気=動きの激しい分子」ということであれば、上に行きやすいのはヘリウムと同様か? 

September 14, 2004 at 04:06 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.09.13

『アルプスの氷河』 50円

アイスキャンディーの名前じゃないよ。
チンダル(John Tyndall)の "Glaciers of the Alps, Mountaineering in 1861, and Hours of Exercise in the Alps "のいう長ったらしい名前の本の前半部分を訳したもの。

チンダルは別に『アルプス紀行』という本も出ていて、また日本の雪の大家、中谷宇吉郎の『アラスカの氷河』という本もあって、どちらも持っているので、つい最近まで『アルプスの氷河』も持っていると思い込んでいたのである。検索してみたのは初めてかもしれない。「日本の古本屋」ではなく、Googleでいきなり探したところ、運の良いことにシロウト古書店で「50円」ででているのを発見。送料にいくらかかってもこれは安い。すると、メールが来てヤマトのメール便なら160円なので、合計200円で良いという。(10円まけてくれた!) さて、その200円をどうやって送金するか? 郵便貯金で送金しようとしたら手数料は130円。うーん、ふだんは高いと思わないのだが200円を送るんだからなぁ。よって、切手で送ることにした。それも封書なら80円かかるところ、ミニレター(郵便書簡)なら60円で送れる、と、これも売り主が教えてくれた。かくして、合計260円で貴重なチンダル本が手に入ることになった。早く来ないかな。
ちなみに原書の方は、6月頃に入手済で、そっちは$8+送料$8弱。これも安かったね。

肝心の内容だけど、氷河の研究がこうじて、すっかり山好きになってしまったチンダル先生の、科学と山のお話。このblogのタイトルの「復氷」の話も書かれている。

September 13, 2004 at 09:55 PM in 書籍・雑誌, 科学 | | Comments (0) | TrackBack (5)

もの、みなバネ

乱暴だったかなぁ、タイトル。
オモリをバネの上に置くと、バネがつぶれる。この時バネがオモリを押し返している、ということは誰もがイメージしやすいだろうと思う。 

次に、同じオモリをテーブルの上に置いた時に、今度は「テーブルがオモリを押し返している」というのが、ちょっとトリッキーでわかりにくい。とはいっても、力の矢印を書かされているうちに、多くの子どもは覚える。「そのまま下に沈んでいかない、ということは押し返していることだ」という納得のしかたもある。

「テーブルだって、ほんの少しだけどつぶされて、その分を戻そうとして押し返しているんだ」というのはわかりやすいと思うのだけどどうだろう。バネほど大げさではないけれども、「つぶれるから戻ろうとする」のは同じことだ、と。原子レベルまで入って「原子、分子がバネのようになっている」というと言いすぎかなぁ、でも言いたい。(原子論にこだわるわけじゃないんだけどね、別に論破しなきゃならない相手もいないし)

固体(テーブル)に比べれば液体だって結構「つぶれる」といえるかもしれない。つぶれるから押し返す。流体は押し返すだけでなく、四方八方に当たりちらす。押し返すといいながら、粒自身が押しのけられてしまうから、オモリを支えるのは苦手。自分より軽い(密度小)ものは浮かべることができるけれども。

何とか、気体、液体、固体に共通の話に持っていこうとするのであるが、今日はこんなところで。

September 13, 2004 at 09:37 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.09.12

液体の圧力 その2

液体の圧力について書いたところ、ありがたくもコメントをいただいた。メールもいただいている。

原子論を持ち出したのは、早計だったかもしれないが、まあ「原子論なくしてはパスカルの原理は説明できない」などと大それたことを思ったわけではなく、自分としてたまたまそう考えただけのことです。

同じ流体でも気体と液体とで圧力のきまりかたが違うのにとまどっているわけですが、固体も含めて「物みなバネ」と考えれば納得できるかもしれません。

板倉聖宣・江沢洋の「物理学入門」には、気体の圧力について、とても詳しく親切に説明があって、そのあと「さあ液体だ」と思っていると「気体と同じようなことなので、みなさん考えてみてください」というようなことが書いてあって、ガクッ。

September 12, 2004 at 09:23 PM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.09.10

浮いてるペン

04-09-10_09-54.jpg

トコヤさんみたいな摸様のペンが回転しながら「浮いている」んだけど、わかるかな。
回転させながら撮ったもんで、ブレちゃいましたが、雰囲気がでてると思います。
止まっていても浮いてますが、まわすと模様がきれい。ちょっと不思議なのは、ゆっくりまわしたのに、ゆれが大きくなって飛び出しちゃうことがあること。
「磁石の力でモノを空中に浮かべておく」ことは、ふつうはできないとされていますが、これが「浮いている」のは、もちろんペンの先か壁に当たっているからです。それでもちょっと不思議な感じです。

かりにもボールペンなので、たまに書いてみようとしますが、たいていすぐにはインクは出ません。
ここで買ったのですが、今は売り切れだそうです。

September 10, 2004 at 10:58 AM in 科学 | | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.09.09

液体の圧力

水圧について悩んで考えたことがあるので、メモがわりに書いておきます。
教えてもらえることがあればコメント観迎します。

海の深いところに行くと、「水圧」が高くなります。だいたい10メートルにつき1気圧で、水深100メートルなら、水の10気圧に加えて大気圧分を足して11気圧になります。というか、そう教わっています。1気圧というのは「1cm2あたりにかかる力」だから、底面1cm四方で高さ10メートルの水柱の重さ(+大気の重さ)が11気圧というわけです。

さて、それだけ重いものが上にあれば、重みがかかるのは、まあ直感的にわかります、頭の上に石を置かれたようなもの(したことないけど)だから。 ところが「水圧」というのは、「上から下」にだけ、かかるわけではありません。横方向にも、上方向にもかかってきます。100キロの石が横にあっても、その下敷きにさえならなければ心配ありませんが、水(液体)ではそうはいきません。

実はこんなこと、特に不思議に思わない方が普通でしょう。ところが「気体の場合」を知ってしまうと、かえってわからなくなるのです。

大気圧は「空気の重さ」と表現することがあります。水圧と時と同じように「空気の柱」を考えれば、空気といえども1cm2あたり1kgくらいの重さがあるので、タタミ1枚(約1.61m2)の上なら、1.6トンくらいの重みがかかっているのですが、人もタタミも生まれた時から、こうした大気圧にさらされているので、重くも痛くもありません。

さて「空気の重さ」といいましたが、単純にそう考えてしまうと「部屋の中はどうなの?」という疑問がわきます。だって、屋根には重みがかかるかもしれないけど、支えられている部屋の中にはかからないんじゃないか、と。
もちろん実際には部屋の中にも大気圧がかかっているし、大気圧は横向きにも上向きにもかかっています。
それは、地表近くの空気は上空の空気の重さのために押しつぶされて、その結果として1気圧の空気としての「粒」が飛び回っているからです。(ああ、やっぱり原子論なくしては説明できない)この空気の粒が四方八方にはね回ってぶつかった結果が「大気圧」なので、下向きだけでなく、あらゆる方向を押しているのです。

こうして、大気圧の場合は「空気の重さ」を直接意識しなくても「とにかく。そこに1気圧の空気があるからだ」と納得することができます。 ところが、水の場合は水深100メートルの水だからといって、ふつうの水の10倍も密度が高いわけではありません。つまり、地上の水と比べて10倍の数の水分子があるわけではありません。

流体ということで気体と同じように考えようとしたけれども、ここでは固体のイメージで考えてみよう。
固体、水の話をしているのだから氷がいいや、の上に重いものを載せたら氷の表面の分子は必死に押し返します。耐えられなくなれば壊れてしまうでしょうが、そうでなければ上からの重みと、押し返す力がつりあいます。
つぶれる時、横方向にも多少は伸びるかもしれませんが、上からの重みがそのまま横向きにもかかるということはありません。

液体の水に戻ると、重みがかかると水分子は押し返す。押し負けると下の分子にぶつかって、そいつとも押しあうけど、そうこうするうちに横の分子ともぶつかって結局四方八方に動いて、「まわりじゅう」に向かって「上からの重みの分」の圧力がかかる、ということなんだろうか。

September 9, 2004 at 11:09 AM in 科学 | | Comments (3) | TrackBack (0)